Netflix(ネットフリックス)『マイネーム:偽りと復讐』でピルト役を演じた俳優のアン・ボヒョン。本作ではボクシング選手だった経験を活かし、高難度のアクションに挑んだという。JTBC『梨泰院クラス』では憎まれ役だった彼が、愛され俳優になるまで、そう時間はかからなかった。

JTBC『梨泰院クラス』のヒール役チャン・グンウォン、MBC『カイロス』の冷ややかなソ・ドギュン、TVINGオリジナルドラマ『ユミの細胞たち』のスイートなクウンまで。

近年、最も成功的な変身を繰り返している俳優を挙げろと言われたら、断然アン・ボヒョンではないだろうか。

憎まれ役から誠実な刑事へ‥多彩な演技を披露し続けるアン・ボヒョン

憎まれ役から誠実な刑事へ‥多彩な演技を披露し続ける俳優のアン・ボヒョン。(写真提供:スポーツ韓国、画像出典:Netflix)

そんな彼は、Netflix(ネットフリックス)シリーズ『マイネーム:偽りと復讐(以下、マイネーム)』で、新たなアクションキングの誕生を知らせている。

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「Netflixが、『マイネーム』と『梨泰院クラス』のシーンを編集してSNSに投稿したんですよ。まだ僕の認知度はそんなに高くないのに、すごく面白いコンテンツを作ってくださったので、僕のSNSにも再アップロードしました。そしたら、ダイレクトメッセージやコメントで”『梨泰院クラス』のチャン・グンウォンと、ピルトが同じ俳優だとは知りませんでした”と、海外のファンの方からメッセージがたくさん届いたんです。”同一人物だったんだ”という反応はすごく気分が良いですね。『マイネーム』のおかげで、前作までもう一度スポットライトを浴びて、胸がいっぱいです」

当初オファーされた役は、ピルトではなく‥?

10月15日に公開された『マイネーム』は、実父を目の前で殺され、犯人を見つけるため組織に入ったジウ(ハン・ソヒ)が、新たな名前で警察に潜入してから向き合う冷酷な真実と復讐を描いた物語だ。

2020年、Netflix『人間レッスン』を演出したキム・ジンミン監督の新作であり、アン・ボヒョンをはじめ、ハン・ソヒ、パク・ヒスン、イ・ハクジュ、チャン・リュルなどが出演している。グローバルOTTコンテンツ順位集計サイトの、FlixPatrol(フリックスパトロール)によると『マイネーム』は、10月26日Netflix基準世界トップ10TVショー部門で5位にランクインしており、国内では1位を保守した。

「当初はピルト役ではなく、カンジェ役として打合せに参加しました。ですがキム監督が僕に、”悪役はこれまでたくさんやって見せたから、今回は善良な刑事役をやってみるのはどうか”と提案してくれたんです。僕もピルトが気に入ったのが、僕自身に重なる部分があって、魅力的に感じていました。ピルトは長い間、1人で悩みを抱えて生きてきた感じがあるんです。僕も似たようなところがあるので、それがうまく表現できる自信がありました」

アン・ボヒョンが演技したチョン・ピルトは、警察に潜入したジウとパートナーとして共に動く人物だ。長い時間をかけて、入念に捜査していた案件をジウに台無しにされたため、当初は彼女が気に入らず冷淡な態度を取っていたが、事件現場に来て全力で任務を遂行するジウを見ていくうちに、次第に彼女を信じるようになり呼吸を合わせるようになる。

当初オファーを受けた役は、なんとピルトではなかった

当初オファーを受けた役は、なんとピルトではなかった!(写真提供:スポーツ韓国、画像出典:Netflix)

アン・ボヒョンは、能力があって度胸もあるピルトの原則主義な性格を魅力的に具現化し、それが好評を得た。

「ピルトの自分史を僕なりに作って、研究しました。長い間1人で生きて来て、家族と呼べたのは妹だけだった人、自分の痛みを誰にも言ったことのない人、そう考えながら演じました。それ以外にもたくさん気を使いましたね。撮影現場には、本当の麻薬捜査隊の刑事さんたちが来て、チェックしてくださっていたのですが、その中にピルトのような方がいらしたんです。ピルトと職責も似ていて、僕より背も高くて体も頑丈で素敵だったので、似たような雰囲気を出したかったんです。刑事特有のカジュアルな服装でも、体がぎっしり詰まっているような‥。だから洋服が小さく見える印象を与えるために、5kgほど筋肉を付けました」

『マイネーム』は全てのキャラクターが、主人公だと感じさせるほど、ち密な叙事を誇る。彼だけでなく、出演者全員が役とのシンクロ率を最大値に押し上げ、堂々とした演技で新鮮な呼吸を見せた。俳優陣は、本作の撮影を終えて、1年の時が流れた今も互いに”イーグル5兄弟”と呼び合うくらい、親しい関係を続けているそうだ。

「ハン・ソヒさんをとても尊敬しています。アクションスクールで汗を流す姿を初めて見た時、僕より年下なのに学ぶべき点がたくさんありました。全身があざだらけでも、満足そうな彼女の情熱を見て、僕にもエネルギーが湧いたくらいです。本当にアクションシーンが多くて、全員が一緒になって血と汗と涙を流したら、すごく絆が深まりました。今でもグループチャットでは、おしゃべりが絶えません。皆さん、キャラクターと相反する魅力があるんですよ。ハン・ソヒさんは本当に明るいし、パク・ヒスン兄さんはとてもかわいらしい。イ・ハクジュさんはすごくいたずらっ子だし、チャン・リュルさんは物腰が柔らかくて魅力的です。仲が良いからこそ合った呼吸が、画面からも伝わってくるかと思います」

ベッドシーンに込めたアン・ボヒョンの”ある思い”

ピルトはジウと出会った後、一連の事件を経て急激に感情が変化したように見えた。そしてアン・ボヒョンは、難易度の高いアクションはもちろん、ピルトの深い内面を繊細に表現しながら、キャラクターに説得力を持たせた。

特に、それぞれの役の感情が深く描かれる中で、後半のジウ――ピルトのベッドシーンは、多くの関心を集めることに。

ベッドシーンにある感情を赤裸々に伝えた

ベッドシーンに潜むある感情を、赤裸々に伝えた。(写真提供:スポーツ韓国、画像出典:Netflix)

「台本が届いてから、監督とハン・ソヒさん、そして脚本家の方とすごくたくさん話し合いました。このシーンは単純な感情ではなく、怪物になってしまったジウが、ピルトと同じ痛みを共有して初めて人間的に変わっていく‥そういう部分が描かれているシーンだと思います。いろいろな反応と視線を集めましたよね。ただ、ピルトはジウの痛みを知って、自分と同じだと感じたから、それを慰めて抱きしめてあげたいという気持ちだったと思います。その感情が、画面から伝わってほしいです」

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『マイネーム』は、キャラクターの特徴を活かし、洗練されたアクションで世界中の視聴者から大きな話題を呼んだ。長い時間をかけて呼吸を合わせた出演者たちは、素手から銃、刀、三段棒まで、様々な武器を自由自在に操り、強力なアクションシーンを創り上げている。そんな中で、アン・ボヒョンは学生時代にボクシング選手として活動していた経験を活かして、強難度のアクションを完璧にやり遂げた。その実力は、アマチュア大会で金メダルを獲得するほどの実力である。

「運動部だったので、中学2年生の時から宿舎生活をしていて、体育専門の高校に進学してからは寮生活でした。あまりにも運動を長くやっていたので、”もっとできる、この程度ではダメだ”と、自分にムチ打つことに慣れてしまってるんですよね。ただ、足を使う競技をしたことがなかったので、プレッシャーでした。それで撮影の2、3カ月前からアクションスクールで、たくさん訓練を積んだんです。拳を使う部分は、ボクシング経験のおかげで気楽にやれました。いい場面がたくさん登場するので、うれしいです」

“アクションマスター”と呼ばれるために

『マイネーム』でアクションをマスターし、新たな可能性を見せたアン・ボヒョン。彼は新ドラマ『軍検事ドーベルマン』で、精力的に活動を続けていく。彼が披露する新たな顔に、もう一度期待が高まった。

「達成感の大きい年でした。これまで頑張って努力してきたものが、たくさんの方たちに知ってもらえてありがたいし、俳優として自信も付きました。アクションはこれからが始まりだと思います。努力した分、それが返って来るジャンルだから、本当にいいですよね。”アクションマスター”という肩書きで呼ばれるように、もっと頑張らないと。ワイヤーアクション、オートバイアクションなど、色々な種類のアクションがやりたいです。次回作では、どんな新しい魅力をお見せしようか、今から悩んでいるところです」

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