2017年に公開され、観客動員数560万人を記録した人気映画『ミッドナイト・ランナー(原題:青年警察)』が3年を経て今話題になっている。表現方法に差別的なシーンがあったという。フィクションを前提とした作品に表現の自由はどこまで許容されるのか――。
映画『ミッドナイト・ランナー』が差別的表現を指摘され、謝罪を表明した。差別的に利用された町に住む住人が悪影響を受けたということで、損害賠償請求の訴訟を起こしたのである。
本作のダブル主演を務めたのは、ドラマ『梨泰院(イテウォン)クラス』が韓流ファンだけでなく、日本のドラマ好きからも大きな支持を得たパク・ソジュンと、昨年放送され爆発的人気を得たドラマ『椿の花咲く頃』でコン・ヒョジンと共に主役を担ったカン・ハヌルだ。
どちらもNetflixで視聴が可能なため、2作品を観た視聴者が今後『ミッドナイト・ランナー』を観る可能性は非常に高い。
『ミッドナイト・ランナー』あらすじ
警察学校で出会った行動派のギジュン(パク・ソジュン)と頭脳派のヒヨル(カン・ハヌル)は、外出先で偶然、拉致現場を目撃してしまう。警察に通報するも事件解決の進展はなく、見過ごすことのできないギジュンとヒヨルは2人で直接捜査に乗り出す。すると予測を上回る状況に出くわすことになり‥。
今回問題となったのは、一体どのシーンだったのか。
*以下の記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。
韓国MBCニュースによると、該当とされたのはギジュンとヒヨルが2人で単独捜査に乗り出し、捜査を開始するシーンだ。タクシーで大林洞(テリムドン/ 韓国のチャイナタウン)に向かう途中、タクシー運転手が町の治安の悪さを2人に伝えている。
ヒヨル「韓国にこんなところ(チャイナタウン)があったのか?」
ギジュン「看板を見てみろ、完全に中国だ」
タクシー運転手「この地域には朝鮮族(韓国系中国人)しか住んでないから、夜には暴力沙汰が多いですよ。パスポートがない犯罪者も多いし、警察もほとんど入ってこないんです。なるべく出歩かないようにしてください」
ちなみに劇中では、この地域で若い女性たちが次々と拉致され、子宮売買が行われていたことが明らかになる。
*********
本作が大ヒットを記録したと制作陣が喜んでいる裏側では、実際に大林洞で生活している子供が学校で仲間外れにされ、町への客足が遠のき、飲食店の売り上げが激減。またある者は就職の道が絶たれたという。
この事態を看過することはできないと、62人の中国人が映画製作会社を相手取り、損害賠償請求の訴訟を起こしたのだ。
裁判所は、一審では“表現の自由”として訴えを避けたが、二審では製作会社に謝罪と再発防止を約束するよう和解勧告を促す。
結果的に、芸術作品が“嫌悪の表現”として法的責任が認められた初のケースとなった。
“表現の自由”か“差別的表現”か
『ミッドナイト・ランナー』制作会社は、「今後、特定の集団に対して偏見や反感をもたらすことのないよう、嫌悪的表現をしていないかを十分に検討する」と謝罪の意を伝えた。
今回の表現が不適切と認められたことで、“表現の自由”と“差別的表現”のボーダーラインは際どいものだということが浮き彫りになった。
本作が“NO”だとして、過去の作品を遡って検証すれば、おそらく枚挙にいとまがない。今回の一件では、実際に生活に支障をきたしてしまったという事実がある以上、和解勧告の条件も致し方ないと取るべきか、これ以降の作品作りで表現が慎重のあまり、山も谷もない作品が増産されてしまうのか‥。
MBCNEWS『映画も例外ではない』映画で初の法的責任を受ける(動画出典:MBCNEWS)
ちなみに、韓国で8月に公開された『ミッドナイト・ランナー』から2ヵ月遅れて公開されたマ・ドンソク&ユン・ゲサン主演映画『犯罪都市』は14人の朝鮮族を殺人未遂容疑で逮捕した事件と、チャイナタウンを拠点につくられた組織“ブラックサファイア”の7人を逮捕した実際の事件を基に制作されたフィクション映画である。
本作は『ミッドナイト~』と同時期に公開されたため、新たな朝鮮族論争を生まないよう映画開始前にスクリーンに「この映画は事実をモチーフにしたもので、映画に登場する人物や事件は架空のものである」と表示。映画への反感を減らそうと努めた結果、そのような策を取ったのだという。
『犯罪都市』も観客動員数688万人という大ヒットを記録し、『犯罪都市2』が制作されることも発表された。
*********
“表現の自由”を免罪符に何をしても良いわけではない。しかし、映画はあくまでも芸術作品であり、いかなるジャンルでもほとんどが“ファンタジー”である。この認識をおいて、映画を楽しむ精神は作り手も観客も忘れてはいけないのではないだろうか。
[su_spacer size=”30″]
編集部おすすめ記事
こちらも投票お願いします!
こちらの検定もチャレンジ!
この記事と関連度が高いトピック
現在読まれています!
最新記事
-
7時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWSさすが年男!「88年生まれ」韓流スター5人の2024年の活躍を振り返る
-
【視聴率】1強1中3弱‥今韓国で最も話題の新作ドラマ5作 肝心な滑り出しとは
-
X:IN「2024年秋版 K-POP新人女性グループ人気決定戦」で1位に!
-
日本ファン530人が選定!BTS ジンに似合う”最強彼氏ルック”は「カジュアル」
-
12時間前
PHOTO:©TOPSTAR NEWS韓ドラVODの2強!NetflixとDisney+が送る2025年の「切り札」主演カップル 4組
-
RIIZE ショウタロウ、11月のカレンダー一面を飾ってほしいK-POP男性アイドルの1位に!
-
aespa、世界最大級のK-POP授賞式「2024 MAMA AWARDS」に出席するため日本へ出国!(PHOTO7枚)
-
ビョン・ウソク、世界最大級のK-POP授賞式「2024 MAMA AWARDS」に出席するため日本へ出国!(PHOTO5枚)
-
L5ST、12月に2度目の長期来日公演「L5ST LIVE in JAPAN 2nd scenario ~FREEFALL~」の開催決定!
-
韓ドラVODユーザー要必見!Netflix 他 12月配信終了予定の韓国ドラマ15選
-
韓国版「半沢直樹」はどれ?サラリーマンの奮起を描いた日本配信中の良作ドラマ5選
-
CS視聴者なら要必見!24年12月放送開始予定 韓国ドラマスケジュールまとめ
-
おかえりなさい!2024年除隊俳優の出演確定 韓国ドラマ5選
-
12月 WOWOW放送!「韓国社会の闇」が垣間見える良作映画4選
-
SAY MY NAME、プロモーションのため日本へ出国!(PHOTO2枚)
-
2025年の韓ドラを盛り上げる「演技ドル」は誰!? 来年公開予定 注目アイドル&作品10選
-
Red Velvet ウェンディ、SBSパワーFM「ウェンディのヤングストリート」の収録に参加!(PHOTO6枚)
-
NewJeans ハニ、スケジュールのため日本へ出国!(PHOTO2枚)
-
1位は日韓共演のあの話題作!今秋、日本の韓ドラファンが最も興味を示した作品トップ6
-
早くも日本に上陸!12月CSで初放送予定の最新韓国バラエティ4選
-
東方神起、大衆音楽授賞式「2024 KGMA」のレッドカーペットに登場!(PHOTO3枚)
-
NewJeans、大衆音楽授賞式「2024 KGMA」のレッドカーペットに登場!(PHOTO11枚)
-
aespa「TikTok Awards Korea」に出席!(PHOTO9枚)
-
このジャンルは韓国が世界トップ!日本でも好評「ドロドロ」歴代人気ドラマ5選
RECENT TOPICs
COMEBACK & DEBUT
-
BTS JIN ‘The Astronaut’ MVALICE ‘DANCE ON’ MVATBO ‘ATTITUDE’ MVEPEX ‘恋歌’ MVグループ名がT1419からTFNに! ‘AMAZON’ MVNCTテン ‘Birthday’ MVCLASS:y ‘ZEALOUS’ MVCLASS:y ‘Tick Tick Boom’ MV
ご意見を自由にコメントしてください!
記事に関するご意見や情報提供はこちらのフォームをご利用ください。