韓国の時代劇ドラマで長年愛された題材と言えば、朝鮮時代を代表する悪女”チャン・ヒビン”である。当代のスター女優でなければ演じることが許されないと言われる韓国時代劇の”チャン・ヒビン”役。栄光なる悪女役を引き受け、お茶の間の怒りを買った歴代女優を紹介しよう!

朝鮮王朝の歴史の中で“三大悪女”といえば、張緑水(チャン・ノクス)、鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)、張禧嬪(チャン・ヒビン)だが、中でも“朝鮮最大の悪女”と称されるチャン・ヒビンの人生は波乱万丈だった。まずはその生涯を紹介したい。

チャン・ヒビンは、李氏朝鮮の第19代国王・粛宗(スクチョン)に愛された女性だ。朝鮮王朝の歴史書「朝鮮王朝実録」が記したように、彼女は絶世の美女だったと言われている。そのため、粛宗の正室だった仁顕(イニョン)王后よりも王の寵愛を一身に受けた。

王の息子を生み、自分が王妃になるという野望を持っていたチャン・ヒビンは、1688年に粛宗との間に念願の息子を授かる。すると粛宗は周りの反対を押し切り、ヒビンとの間にできた息子を王の後継者として指名。そうしてチャン・ヒビンは、仁顕王后を王宮から追放して1690年に正室へとのしあがるのだった。

その後、粛宗は別の側室である淑嬪(スクピン)・崔(チェ)と関係を持ち、それぞれ息子が誕生。後年仁顕王后を不憫に思った粛宗は、悪女の本性を見せ始めて悪い噂の耐えなかったチャン・ヒビンを正室から降格させ、仁顕王后を復位させる。しかしこれに不満をもったチャン・ヒビンは、仁顕王后を呪う儀式を決行した。

1701年に仁顕王后が病気で亡くなると、淑嬪・崔からチャン・ヒビンの悪行が粛宗に伝わり、最期は死罪で43年の生涯を閉じている。

チャン・ヒビンを演じた女優たち

チャン・ヒビンを演じた女優たち。1代~9代(写真提供:©スポーツ韓国、画像出典:Spring)

この朝鮮最大の悪女、チャン・ヒビンを今日まで何人もの女優が演じ、そのたびに視聴者の心に強烈な印象を残している。

ここでは、今までチャン・ヒビンを演じたことのある女優を5人紹介する。

ユン・ヨジョン(1971年 張禧嬪(チャン・ヒビン))

ユン・ヨジョン

ユン・ヨジョン(写真提供:©スポーツ韓国)

1971年に放送されたドラマ『張禧嬪(チャン・ヒビン)』では、女優のユン・ヨジョンがチャン・ヒビンを演じた。ユン・ヨジョンは1966年にデビューし、1970年代から多くの映画やドラマで活躍したベテラン女優だ。日本では『がんばれ!クムスン』(2005)の祖母役として知られている。

初代と2代目のチャン・ヒビンは映画だったため、3代目がテレビ初登場となる。以降、彼女の演じたチャン・ヒビンが、その後テレビドラマで演じられたチャン・ヒビンの原型となった。

イ・ミスク(1982年 女人列伝 チャン・ヒビン)

イ・ミスク

イ・ミスク(写真提供:©スポーツ韓国、画像出典:sidus HQ)

1979年、映画『モモは世間知らず』で女優デビューしたイ・ミスクは、1980年代の韓国映画界を牛耳ったベテラン女優。

日本では、ヨン様ことペ・ヨンジュンと共に主演した映画『スキャンダル』(2003)でのヨン様の従姉妹役や、俳優チャン・グンソクと少女時代のユナが主演したドラマ『ラブレイン』(2012)でユナの母親役として出演したことで知られているが、その他、様々なドラマに出演しているため、中年女性にしてこの美貌を持つ彼女を記憶している人も多いだろう。

彼女が演じたチャン・ヒビンは、ドラマ『女人列伝 チャン・ヒビン』(1982)だ。当時セクシーで純情な2つの顔を持つ女優として、男性ファンから圧倒的な支持を受けており、この役は適役だったと言われている。

チョン・インファ(1988年 朝鮮王朝500年 仁顕王后編)

チョン・インファ

チョン・インファ(画像出典:チョン・インファInstagram)

チョン・インファは、ドラマ『草原に昇る月』(1985)でデビュー。驚異の最高視聴率58.1%を記録した大ヒットドラマ『製パン王キム・タック』(2010)で、主人公タックを執拗にいじめる義母役や、最高視聴率36.4%を記録したドラマ『いとしのクム・サウォル』(2015-2016)の主人公サウォルの母親役が記憶に新しい。

ドラマ『朝鮮王朝500年 仁顕王后』(1988)でチャン・ヒビンを演じた当時は、ピュアなイメージが強く悪女の雰囲気が出せていないと言われたが、前述したドラマ『製パン王キム・タック』では継母の悪女ぶりが評価され、KBS女優最優秀演技賞を受賞した。

キム・ヘス(2002年 チャン・ヒビン)

キム・ヘス

キム・ヘス(写真提供:©スポーツ韓国)

最近、ドラマの役名でSNSを始めたことで話題になったキム・ヘス。デビューは中学生だった時に出演した映画『カムボ』(1986)だ。日本のドラマ『ハケンの品格』をリメイクしたドラマ『オフィスの女王』(2013)の主演や、日本でもリメイクされ話題になったドラマ『シグナル』(2016)では、20代と40代を見事に演じ分け、百想芸術大賞の女性最優秀演技賞を受賞する。

キム・ヘス

キム・ヘス(画像出典:KBS)

キム・ヘスがチャン・ヒビンを演じたのは32歳の時だったが、すでにベテラン女優の域に達しており、当たり役と言われ、その演技は高く評価された。

キム・テヒ(2013年 (チャン・オクチョン-張禧嬪-))

キム・テヒ

キム・テヒ(画像出典:キム・テヒInstagram)

Rain(ピ)と結婚したことでも話題になったキム・テヒ。ソウル大卒という才色兼備の彼女のデビュー作は、短編映画『新都市人』(2002)だったが、彼女を有名にしたのは、『天国の階段』(2003)で演じた悪女役だろう。『僕とスターの99日』(2011)で西島秀俊とともにダブル主演したこともあり、日本でも知名度の高い女優の1人だ。

キム・テヒ

キム・テヒ(写真提供:©スポーツ韓国、画像出典:SBS)

キム・テヒが演じたチャン・ヒビンは、勧善懲悪の部分にスポットを当てるのではなく、朝鮮時代初のファッションデザイナーという設定で、平凡な女性が情熱的に希望を持って生きていくという、1人の強い女性像が描かれた。

おそらく今後も、チャン・ヒビンを題材とした新たな作品が生まれるだろう。次はどんな女優が演じるのか楽しみだ。