今年の6月20日から放送が始まり、12話まで放送を終えたドラマ『サイコだけど大丈夫』。キム・スヒョン除隊後のドラマ本格復帰作として呼び声の高かった本作だが、視聴率は当初の期待値を超えていない印象だ。しかしながら、現地でもあまり“不振”という声は耳にしない。その理由を考察してみた。

キム・スヒョンといえば『ドリームハイ』(2011)以降、出演作が軒並み人気を博しており、『サイコだけど大丈夫』も放送前から注目度が高かった。

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『サイコだけど大丈夫』メインビジュアル

『サイコだけど大丈夫』メインビジュアル。(画像出典:tvN)

しかし、ドラマは全16話のうち12話までが放送されたが、視聴率はいま一つ伸び悩んでいる。とは言え決して悪い数字ではなく、地上波を含む全チャンネル同時間帯では1位をキープし続けている。ただ“キム・スヒョン主演”という枕詞を入れると、対外的にヒット作とは言い難いという話。

このドラマは案外スルメ系の要素を持っている作風と思われ、じわじわと人の心に残る作品になる予感がしている。その要素をいくつか紹介したい。

心の機微に触れたストーリー

『サイコだけど大丈夫』の制作発表でキム・スヒョンは復帰作を選んだ理由について「ムン・ガンテというキャラクターが持っている傷を通して、多くの人々の共感を得たいと思った。そしてその傷が癒されていく経緯を、演技できちんと伝えたい」と言及。本作に登場する人物は、目に見えない心に傷を持っているため、セリフに加えてわずかな目の動き、表情の変化などの技量が必要となる。

ほんの少し、遠くへ来て2人の世界を楽しむガンテとムニョン。

現実生活から離れ、2人の世界を楽しむガンテとムニョン。(画像出典:tvN)

様々なジャンルに挑戦してきたキム・スヒョンは同会見で「軍隊に行く前は演技に不足な部分が多かったが、服務中に不足分を補うことができたと思う。その分緊張も大きいが、一生懸命演じたい」とも話しており、“今”なら繊細な心の機微を表現できるのではないかという、彼の中で余裕ができたように感じ取れる。

本作を観ていると、ガンテやコ・ムニョン(ソ・イェジ)が初めて心からの笑顔を見せた回、ガンテの兄ムン・サンテ(オ・ジョンセ)がガンテを見て喜びの涙を見せた回など、あらゆるシーンで彼らのガチガチに凍っていた心が溶けていく瞬間を目撃することができる。

ガンテが笑顔で眠っているのを見たサンテは彼の感情を理解して…

ガンテの寝顔を見たサンテは、彼の感情を理解して涙を流す切ないシーン。(画像出典:tvN DRAMA 動画キャプチャー)

新進気鋭作家 チョ・ヨン

本作には原作がなく、チョ・ヨン作家のオリジナル脚本だ。彼女のプロフィールはベールに包まれている部分が多く、どのようなバックボーンの持ち主なのかは明らかになっていない。

ドラマのメイキング映像で一瞬だけ映ったチョ・ヨン作家

ドラマのメイキング映像で、チョ・ヨン作家の顔(右)が一瞬だけ確認できる。(画像出典:tvN DRAMA キャプチャー)

これまで手掛けたのは、ドラマ『*ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』(2017)『秋夕特別ドラマ After The Rain』(2018)の2作品で、特に『After The Rain』は親子の相容れない複雑な心境や脱北者の痛みを描き、秀作だと高評価を得ている。彼女は現代人が共鳴する、繊細な心の動きを描くことが得意なようだ。

*『ジャグラス~』が縁で、主演のチェ・ダニエルが『サイコだけど大丈夫』の特別出演が実現した。

『サイコだけど大丈夫』でも登場人物が抱えていた心の闇が、気が付けば別の誰かのセリフでふっと心が軽くなっていることが多い。喉につかえていたものが、何かのきっかけで取れたような不思議な感覚を味わえる、新しいドラマではないだろうか。

ながら見ができない繊細な演出

心の機微がメインテーマなため、上述の通りわずかな動きや言動がこのドラマの重要な部分であり、ながら見することが少々困難な物語である。

劇中に登場した絵本は実際に販売もされている。

劇中に登場した絵本は、実際に販売されている。(画像出典:教保文庫/YES24)

Netflix(ネットフリックス)でも配信されているため、本作は恐らく視聴率以上に支持者は多く存在すると見られ、また時を経て愛される、息の長いドラマになりそうだ。

ムン兄弟とムニョンは果たして家族になれるだろうか

ガンテ&サンテ、ムニョンは果たして家族になれるのだろうか…。(画像出典:tvN 公式Twitter動画キャプチャー)

派手なアクションや分かりやすく感情が揺さぶられるシーンは少ないヒューマンドラマ『サイコだけど大丈夫』。自分の心が疲れていると感じたら、本作をじっくりゆっくり鑑賞してほしい。



キム・スヒョン

キム・スヒョンは韓国の俳優。所属事務所はゴールドメダリスト。1988年2月16日生まれ。

デビュー作は、ドラマ『キムチ・チーズ・スマイル』(2007)。

ドラマ『ドリームハイ』(2011)で初めて主演を務め一躍注目を浴び、2012年2番目の主演ドラマ『太陽を抱く月』では初めて時代劇に挑戦、視聴率40%を越える国民ドラマとなり、名実ともにトップスターになった。

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