【編集長コラム】去る10月28日、韓国の有名オンラインコミュニティー・theqooには『BTSメンバーが、趣味生活に躍起になった理由』というスレッドが立ち、ファンのいるステージでないと、自我の価値が見い出せていない7人が辿り着いた”ある方法”が紹介された。

10代から本名の代わりに芸名で呼ばれる人たちがいる。

キム・ナムジュンはRM(アールエム)、ミン・ユンギはSUGA(シュガ)、キム・ソクジンはジン、チョン・ホソクはJ-HOPE(ジェイホープ)、キム・テヒョンはV(ブイ)‥。

もちろん、パク・ジミンとチョン・ジョングクのように、本名で呼ばれている人もいるが、名字の代わりにチーム名である”BTS”が付く。BTSジミン、BTSジョングクという具合にだ。

BTSのメンバー

2013年6月13日にデビューしたBTS(防弾少年団)。(画像出典:BTS公式Facebook)

物心がついてからは、1人の人間として生きる時間より、BTS(防弾少年団)のメンバーとして生きる時間がの方が長い。もちろん、それらは彼らが選択した”時間”である。

そして、その”選択”から10年近い時間が経った。

最年長メンバーは、韓国の年齢(数え年)で30歳を迎えており、1人ずつ”30″という年齢を意識するステージに入っている。目標を掲げ、ひたすら走ってきた彼らにも、”分岐点”が訪れたのだ。

だからなのか、BTSの7人は、いつものやんちゃな笑顔より、真剣な面持ちで”我が人生”を語る機会が増えているように感じる。

去る10月28日、韓国の有名オンラインコミュニティー・theqoo(theqoo.net)には『BTSメンバーが、趣味生活に躍起になった理由』という、スレッドが立ち、ファンのいるステージでないと、自我の価値が見い出せていない7人が辿り着いた”ある方法”が紹介された。

まず、彼らの持つ悩みから。

「キム・ナムジュンという人は、自然を満喫し、1人の時間を楽しんで、友人とも1杯やるという‥そんなところがきっとありますが、私が”キム・ナムジュン”でいる時間はあまりありません(中略)。このアイドルという仕事をするためには、2つの自我が必要です。BTSのRMという自我に、あまりにも多いものをつぎ込んだ。そこがジレンマです(RM)」

「ストレス解消法は、BTSのコンサートです。唯一幸せを感じる瞬間です。ストレス解消法が分からなくて、休みなのに何もしない日もありました(ジミン)」

「(RMからの”仕事が大好きだよね”という言葉に)そうです。だから、恐怖がどんどん大きくなるから、さらに抜け出せなくなる(ジミン)」

「賞もありがたい‥しかし、もっとステージに立ちたいです。こんな音楽とパフォーマンスをしている人たちであるということを知らしめたい(SUGA)」

「いつもそれが不安。こんなに上手くいってるのに、全てを失うのではないかと‥墜落は怖いが、着陸は怖くない(SUGA)」

「大変だけど、愛されるということはまるで中毒のよう‥ 目が覚めたら、早速ステージをお見せしたい(J-HOPE)」

自分の仕事に全うするという素晴らしさは、大いに褒められるべきである。が、”喪失”への恐怖と、忘れていた本来の”自我”に対する”探求”の境界線で迷っているメンバーの様子が垣間見える。

スレッド主は、本来の”自我”が感じ得た幸せのために、そして大好きな”BTS”という仕事から離れると押し寄せてくる不安と虚しさを忘れるために彼らは「趣味生活を開始した」と説明。

登山を楽しむBTS(防弾少年団)のジョングクとジン

登山を楽しむ、BTS(防弾少年団)のジョングク(左)とジン。(画像出典:BTS公式Twitter)

友人とジョンヒョンさんとジョングク

友人と実兄のジョンヒョンさんと牛島(ウド)に遊びに行った、ジョングク。(画像出典:BTS公式Twitter)

不安障害。

仕事や日常生活など、様々な出来事や活動に対して過剰な不安や心配をするようになる症状である。BTSメンバーが抱える心理状態は、軽重はさておき、不安障害に近いものだろう。

症状が重くなると、頭痛や発汗、動悸など、自律神経の乱れに繋がり、正常な生活が難しくなると専門医は警告する。

治療のためには、薬物治療が用いられるが、適度な休息や趣味生活による心理的な安定も必要だという。

BTSが不安障害であると決めつけているわけではないが、彼らにとって趣味生活というものは、非常に”有効なケア”であることは間違いないだろう。

7人は、旅行、散歩、美術館巡り、登山、釣りなど、本来の”自我”を楽しんでいる‥が、残念ながら、その様子もSNSを通してファンに発信している。どうやら、彼らはまだ仕事と実生活を分離できずにおり、一人のファンとして、そこが気がかりである。

SUGAの生まれ育った都市、大邱(テグ)には、SUGAくらい有名で音楽ファンに愛され続けている歌手がいる。

彼の名は、故キム・グァンソクさん(享年31歳)。SUGAは、幾度となく故人の歌を披露してきた。

キム・グァンソクさんの最も有名な曲で、多くの韓国人に愛されている曲がある。

それは『三十の頃に』という楽曲で、以下の歌詞に心を打たれる人は多い。

だんだんと遠ざかっていく。ずっとここに停まっている青春だと思っていたのに。また1日忘れ去られていく。毎日お別れを告げながら生きていく‥

30歳。もしくはその手前。

BTSメンバーにとって、二度と戻らない青春を嘆く”暇”はないかもしれない。忘れ去られる本来の自我を惜しむ”余裕”もないかもしれない。

だからこそ、もっと手遅れになる前に、たまには自分の”名札”を外して、楽しい時間を過ごしてもらいたいと願う。

そして本名である、キム・ナムジュン、キム・ソクジン、ミン・ユンギ、チョン・ホソク、パク・ジミン、キム・テヒョン、チョン・ジョングクと書かれた名札を付ける時間を、増やしてほしいのだ。

投稿:Danmee編集長









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