11月1日、7年ぶりに”完全体”でカムバックを果たした2AM。彼らが発表したニューミニアルバム『Ballad 21 F/W』には、2つのタイトル曲が収録され、それぞれの曲を2人の大物プロデューサーが手掛けたことで話題を集めている。
世界中に浸透しているK-POPジャンルと言えば、”アイドル”が絶対的なシェアを占めている。
K-POP台頭の2000年代前半から現在に至るまで、世界の音楽ファンは、韓国アイドルが放つきらびやかなパフォーマンスに魅了されてきた。
SMエンターテインメントとJYPエンターテインメント、YGエンターテインメントがその土台を作り上げ、今やHYBEやCJ ENMが加わり、他の追随を許さない巨大なビジネス――アイドル産業を成している(※以下、便宜上、各社の”エンターテインメント”は省略する)。
しかし、韓国国内に目を向けると、”アイドル天下”なわけではない。数ある有名ボーカリストがファンへ贈るバラードも大人気だ。
韓ドラファンなら、一度は切なく響く韓国バラードの旋律に、胸を打たれた記憶を持っているのではないだろうか。
上記の各社が持つ音楽的な色も様々で、SMはR&Bをベースとしたニューメタル、YGはヒップホップがメインのブラックミュージックの基調が際立つ。
JYPとHYBEは、音楽の色は多少なりとも違うが、両社の首長であるパク・ジニョンとパン・シヒョクが、かつて同じ釜の飯を食う仲だったためか、”バラードが得意”という共通分母を持っている。
そして最近、そんな2人を”お父さん”と呼ぶ愛弟子のために、美しいバラード曲をプレゼントして話題となった。
その愛弟子とは、2AM(トゥーエーエム)。2021年、彼らが7年ぶりに”完全体”となって歌謡界に戻ってきたのだ。
2AMは、2008年にデビューして以降、”バラードを歌うアイドル”、”名品バラードグループ”という異名を持つ4人組。
去る1日、彼らが発表したニューミニアルバム『Ballad 21 F/W』には、2つのタイトル曲が収録された。
そして、そのダブルタイトル曲を手掛けたのが、パク・ジニョンとパン・シヒョクなのである。
パン・シヒョクが作詞・作曲をした『近くにいるから気付かなかった(가까이 있어서 몰랐어)』は、早くも一部の音源チャートで1位を記録し、話題を集めている。
では、彼らはどのようにして、大物プロデューサーという肩書を持つ”2人の父”を持つことができたのだろうか。
実は、2AMの誕生には、ある”秘話”がある。
元々2AMは、2PMが誕生したことで知られるMnetの新人育成番組『熱血男児』に、当時JYPE練習生だったチョ・グォン、スロン、ジヌンが参加し、番組内で紆余曲折ありながら結成されたグループ(チャンミンは後に合流)。
パク・ジニョンが、JYPを退社したCUBEエンターテインメント(以下、CUBE)を設立したホン・スンソンと一緒に彼らを作りあげたのだが、JYPとCUBEの葛藤が顕著になり、JYPを退社したもう1人、パン・シヒョクが設立したBig Hitエンターテインメント(以下、Big Hit)がマネジメントを引き継ぐことに。
この独特な契約関係のため「2AMの所属事務所はどこ?」「ちゃんとした支援は難しいのでは」と危惧されていたのだが、その一方で、パク・ジニョンとパン・シヒョクという、実績と才能を持つ大物プロデューサーが書き下ろした、数々のヒット曲に恵まれる。
代表曲としては、パク・ジニョンが書いた『This Song』『友達の告白』『Not Because』、パン・シヒョクが書いた『死んでも離さない』『バカみたいに』『電話に出ない君に』などがある。
2014年にBig Hitとの契約が終了しJYPに所属を戻すも、2人のメンバーがJYPを離れ、兵役の義務を果たす年齢になったため「完全体としての2AMはもう見られそうにない」という懐疑論が広まった。
しかし2020年10月にメンバー全員が兵役を終え、完全体としてカムバックしてほしいというファンの熱い願いが実り、全員で活動再開に踏み切ったと見られる。
そして、パク・ジニョンとパン・シヒョクが、ダブルタイトル曲を提供するというニュースまで加わり、”バラードアイドル”の復活に音楽ファンは歓喜した。
そしてもう1つ、”バラード職人”と称されるパク・ジニョンとパン・シヒョクの楽曲を、同時に聞き比べできる機会としても、音楽ファンを興奮させているようだ。
2曲ともに、”別れの心境”を歌っているが、パン・シヒョクの『近くにいるから気付かなかった』は、自身の未熟さを惜しみ嘆く内容だとすれば、パク・ジニョンの『気を付けて帰ってなんて(잘 가라니)』は、一方的に別れを告げられた虚しさや悲しみを吐露する内容だ。
時に、冷静なビジネスマンに思えるK-POP界の大物プロデューサー、パク・ジニョンとパン・シヒョク。
2AM待望のカムバックは、2人が胸に秘めていた極上の”愛の感性”が楽しめるという、音楽ファンとしてはまさに一石二鳥の出来事となった。
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