世界中を魅了し続けている7人組ボーイズグループBTS(防弾少年団)。彼らがまたしても偉業を成し遂げ、その人気の高さを証明した。しかしこの一方で、メンバーをはじめファンは、急上昇を見せる人気に戸惑いを隠せない様子だ。彼らが現在の状況を諸手を挙げて歓迎できない理由とは。
次々と新記録を樹立し、世界が認めるワールドスターへと成長した、韓国の7人組ボーイズグループBTS(防弾少年団)。
もはや説明不要のK-POPスターである彼らが、今回成し遂げた偉業。
それは、米ビルボードのメインシングルチャート”Hot 100″の1位を10週連続で守り抜くといった、音楽史に残るような記録だ。
まず、シングル曲『Butter』が6月5日にチャート入りすると同時に”Hot 100″で1位を獲得、7週連続でトップの座を守り続けていた。その後、7月24日のランキングでは、彼らの新曲『Permission to Dance』に1位を受け渡し、”1位をバトンタッチ”している。
かと思えば、7月31日付のチャートでは『Butter』が再びトップに返り咲き、最新チャートでも1位に輝いた。
これにより、1月から3月に渡って8週間1位をキープしていたOlivia Rodrigo(オリヴィア・ロドリゴ)の『Drivers License』を抜き、”今年最も多く1位を獲得した楽曲”となった。
(関連記事)BTS 米ビルボードで10週連続1位!’Butter’が’Hot 100’で今年最も多く1位を獲得
“高空飛行”人気を不安に思う声も
新曲をリリースする度に驚異的な記録を打ち立て続ける、BTS。
大ヒット爆走中の彼らに喜びの声が上がる一方で、あまりに高すぎる人気に、”高空飛行”を心配するファンもいる。
もちろん、嬉しい悲鳴の方が圧倒的に多い。彼らの世界的な活躍はファンにとっては嬉しい出来事だ。
だが、爆発的な人気に陰りが見えた時、彼らに熱狂していた人々が手のひらを返すような態度を見せるのではという不安の声も聞かれている。
拭えない、アジア音楽に対する”優越感”
このような喜びと隣り合わせにある、”一抹の不安”に気付く人もいる。
ワールドスターとして不動の地位を築く前からファンだったARMY(アーミー:BTSファンの名称)は、彼らが世界的なスターであっても、そうでなくても、応援し続ける姿勢を見せている。つまり、彼らの活動を純粋に応援し見守っているからだ。
だが、世界的なスターとなった”今のBTS”の楽曲を聞いて応援するようになった、いわゆる音楽ファンは、ARMYと同じような想いで居続けるのかは分からない。
というのも、欧州の一部では残念ながら、アジア人やアジアのエンターテインメントに対して冷たい視線を向ける人も少なくはない。
世界中を魅了しているK-POPにも眉をひそめ、「深みのないティーンポップ(Teen Pop)に過ぎない」といった言葉を投げかけることも。その根底には、K-POPをはじめとしたアジアの音楽は、洋楽よりも劣っているという”優越感”があるようだ。
これほどの人気を得ていながらも、アンチとも言える意見も少なくないのが現実だろう。
だとすれば、もしBTSの人気が”低空飛行”となってしまった場合、彼らが格好の餌食になることは目に見えている。
(関連記事) BTS 人種差別は現実になるか? グラミーが恐れるアメリカ人の声
過去『江南スタイル』で一世を風靡したPSY。後続曲の不振により彼の才能は、アーティストのそれではなく、単なる”アジアン・ギャグ”と低評価されたことがある。
不安やプレッシャー‥心境を吐露したBTS
あまりに高い人気に、BTSのメンバーらも戸惑いを見せていたこともあった。
今年3月、BTSが人気バラエティー番組、tvN『You Quiz on the Block(ユー・クイズ・オン・ザ・ブロック)』に出演した時のことだ。
この日、BTSメンバーが語った数々の言葉からは、現在抱えている不安とプレッシャーの大きさを伺わせていた。
まず、SUGAが「地面が見える状態の飛行ではなく、雲の上に行ってしまうと飛んでいる気がしない」と、突然訪れた大きな人気に、プレッシャーを感じている心境を語っていた。
続いて「”これで合ってるの? ここまでやる事を我々は望んでいたの?”と、たくさん考えてきた」と告白し、自問自答していたことも明かしている。
また、リーダーのRMも、感じている不安とプレッシャーを飛行に例えている。「巨大なバルーンを浮かばせて、それに乗っているけど、ずっとずっと上昇している感じだ」とし「まさか宇宙にまで上がるとは思わなかった」と、信じがたい人気の高さについて語っていた。
ステージ上では堂々とした完璧なまでのパフォーマンスを披露しているメンバーでさえ、今の状況を嬉しく思う反面、多大なプレッシャーを感じていることが分かる。
*****
この人気がどこまで続くのかは誰にも分からない。メンバーですら分からないだろう。
しかし1つ言えるのは、楽曲やパフォーマンスの完成度はもちろん、彼らの礼儀正しい姿勢や屈する姿を見せないプロ根性は、万国共通で人々を魅了する要素であるということだ。
いくつもの魅力を持ったBTSは、パフォーマンスを披露する度に世界中の人々を笑顔にさせている。
そんな彼らの”高空飛行”は、世界でも殿堂入りとなる人気を得る予感を感じさせ、同時に、メンバーの望むような”安全な着陸”を意味しているようにも見える。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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