8月9日、複数の韓国メディアは、V.Iに対する宣告公判が来る8月12日に行われると一斉に報じた。宣告公判の日程は、ここ日本でもインターネットメディアを通じて報じられているが、その報じ方が”淡泊さ”を超え、”無神経さ”が感じられる。

7月1日、BIGBANG(ビッグバン)の元メンバー、V.I(韓国活動名 スンリ)に対する結審公判が行われた。

V.IはBIGBANGの元メンバー

BIGBANGの元メンバー、V.I(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

京畿道龍仁市(キョンギド ヨンインシ)の普通軍事法院(裁判所)で行われた結審公判で、軍検察は「自身の経済的な利益のために、外国人投資家に性的な接待を行い、ギャンブルなどで交流を深めた」とし「無許可の遊興施設を2年間経営し、法人資金の横領、常習賭博など、重刑に処すことが当然な罪ばかり」と、嫌疑内容を述べた上で、懲役5年、罰金2000万ウォン(約200万円)を求刑。

V.I側の弁護人は「国民世論によって作られた罪。朝鮮時代の地方官吏のようだ」と、検察の求刑を皮肉ると「*バーニングサンの中で、組織的な麻薬流通にV.Iが関わっていないことが明らかになった。服役中の*カカオトークメンバーの性犯罪にも関わっていない」と主張した。

*バーニングサン:V.Iが実質的なオーナーとされるソウル市内のクラブ

*カカオトークメンバー:歌手チョン・ジュニョン、元FTISLANDのチェ・ジョンフンなどが、メッセンジャーアプリのカカオトーク内で性的犯罪を共謀したり、プライベート写真などを共有していた。

V.Iは韓国国民を怒らせた

V.I側の弁護人が釈明したように、V.Iは韓国国民を怒らせた。

では、韓国国民はV.Iの”何”に怒っているのか。主に、それは以下の3つだ。

  1. バーニングサンは、麻薬や売春が横行していた無法地帯で、その黒幕がV.Iだったと言われている
  2. カカオトークで、女性に対する性的犯罪を共謀し、女性を性的対象としか扱わない言動を見せていた
  3. 警察など、高位国家公務員との癒着関係

上述したように、V.I個人の売春は認められたものの、バーニングサン内での麻薬・売春の黒幕説や、警察との癒着関係は、捜査過程で嫌疑を立証できるような証拠や証言はない(外国人投資家への性的接待を行ったという嫌疑と、カカオトークでの言動については、現在も攻防中)。

要するに、大半の韓国国民が怒っている嫌疑内容は、現時点でほぼ”無実”である。V.I側が出した反論にあるように、韓国捜査機関はどうにかして、V.Iを”犯罪者”に仕立てなければならない”事情”が見え隠れしているような印象を受ける。

後述するが、V.I側は「韓国捜査機関が、自らのプライドを守るため(V.Iを犯罪者に仕立てている)」と、悔しさを滲ませる。

宣告公判、8月12日と決定

8月12日にV.Iに対する宣告公判が行われる

V.Iに対する宣告公判が8月12日に行われる(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

8月9日、複数の韓国メディアは、V.Iに対する*宣告公判が来る8月12日に行われると一斉に報道。

*宣告公判:結審公判が終わり、裁判所が最終的に判決を言い渡す公判のこと

一部の韓国メディアは、軍検察とV.Iの攻防内容を改めて振り返りながら、V.Iの反論内容もしっかりと伝えている。

韓国国民を怒らせた嫌疑についても、捜査機関により嫌疑内容を満たすほどの証拠や証言がなく、”無実”であることを一貫して主張。いまだ攻防が繰り返される、性的な接待については「家族連れで韓国を訪問した人たちに、そんな接待が可能だと思うか?」と反論しており、カカオトークでの不適切な言動については「恥ずかしく思うが、性的犯罪には一切関わっていない」と強調している。

V.Iは自身の境遇について「韓国捜査機関が、国民世論を意識して(V.Iを)審判の場に立たせた。しかし、徹底した捜査をしたにもかかわらず、何も見つかっていない。彼らは、自らの信頼を回復するために必死だ」と、”無能”と指さしされることを恐れた捜査機関の暴走が原因という見方を示している。

日本でも報じられたが‥

宣告公判の日程は、ここ日本でもインターネットメディアを通じて報じられた。

が、何故かその報道には、韓国の報道からは感じられない”淡泊さ”を超えた”無神経さ”が感じられる。

8月5日、韓国芸能を専門とする日本のメディアは、宣告公判が決まったこと、現在9つの嫌疑(容疑)が持たれていること、V.Iが国民に対して謝罪したことだけを羅列するという、非常にシンプルな記事を掲載したのだ。

V.I側が、何をどう反論しているかという詳細には一切触れず、「国民の皆様にご心配をおかけして申し訳なく、ファンの方々を失望させて申し訳ない」と、謝罪の意だけを伝えているため、日本の音楽ファンは、あたかも彼が罪を認めたかのような印象を受けてしまっている。

V.Iは日本でも爆発的な人気を誇っていた

日本でも爆発的な人気を誇ったV.I(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

日本の音楽ファンも、彼には概ね韓国国民が感じた怒りの原因(上述した3つ)と同様の内容を疑っており、厳しい目を向けている。しかし、捜査や裁判の過程で明るみになった事実については、実際にはあまり把握していないと思われる。

“バーニングサン・スキャンダル”が勃発し、3年という年月が経った今、彼に対する日本での報道は非常にシンプルになっており、全てにおいて“極悪な犯罪者”のままだ。

その背景には、日本のメディアの、”責任ある報道の不在”という理由がある。

今年6月、一部の日本メディアは、韓国兵役関連法律の改正を伝えながら、韓国記事をそのまま翻訳し「V.Iの入隊は逃亡のため」と、ほのめかした。

(関連記事) 元BIGBANG V.Iを’逃亡入隊’と決めつける韓国メディアと世論【韓国見出し】

しかし、厳密に言えばV.Iは”逃亡入隊”ではない。

韓国兵務庁は、同年2月「V.Iの捜査が終了したことにより、公正な兵役義務のための入隊通知書を発送した」と明かしており、V.Iは”適齢期”になったため、入隊しただけである。

***

日本は、BIGBANGの”第2の本拠地”だ。

いまだに多くのファンがBIGBANGを応援し、彼らの復帰を心より待ち望んでいる。脱退してしまったV.Iに対しても、格別な愛情と思いを抱いて応援していたはずだ。

V.Iが全く”無実”とは、断言できない。仮に”無実”だとしても、このような不祥事を招いた道義的責任はある。

しかし残念ながら、多くの音楽ファンが”罪”と”道義的責任”を混同している。それを払拭するためにも、メディアの”責任ある報道”は非常に大事なのだ。

世界の多くの法治国家が採択している”推定無罪の原則”には、このような言葉がある。

「100人の罪人を逃がしても、1人の罪のない人間を処罰してはならない」

この言葉は、法廷だけに適用される言葉ではない。”世論裁判”をそそのかすメディアにも、適用されるべき言葉ではないだろうか。



BIGBANG

BIGBANG(ビッグバン / ハングル 빅뱅)は韓国出身の4人組男性アーティストグループ。
メンバーはG-dragon、TOP、SOL、D-LITE(元メンバーV.Iは2019年3月に芸能界引退)で、YGエンターテインメントに所属している。2006年に韓国でデビュー。メンバーは、MTVコリアの「リアルドキュメンタリーBIGBANG」を通して選ばれた。
2006年デビュー後から若い世代のファッション、トレンドに大きな影響を与えたグループであり、これ以降にデビューするアイドルグループのコンセプトなどにも影響を与えたグループだ。

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