- チョン・ヒョソンが、“光州事件”の被害者を追悼してSNSに投稿した映画『光州5・18』のスチールカットが話題だ。
- 多くの被害者を出した悲しい出来事をリアルに描いたとして、公開当時注目された作品が再び熱い視線を浴びている。
- 主人公ジヌ(イ・ジュンギ扮)がなぜ銃で撃たれたのか理由に触れ、ストーリーを一部振り返るとともに、本作以降、イ・ジュンギにみられた変化(?)を紹介する。
5月18日、韓国現代史における最大の悲劇“光州事件”が43年目を迎えた。
民主化を求める市民が、軍の不当な武力行使によって命を落とすなど多くの犠牲者を出した悲しい出来事だ。
長い年月を経てもなお国民の心に深い影を落としているようで、毎年、SNSなどで哀悼コメントを投稿する芸能人や著名人が。例えば2021年にはBTS(防弾少年団)のJ-HOPEが、Weverse(ウィバース)で言及し熱い視線を浴びた。
今年は、元Secret(シークレット)の歌手チョン・ヒョソンの投稿が耳目を集めている。
彼女は「今、私たちができることをやっていくのが、崇高な犠牲に報いる第一歩ではないでしょうか。忘れません」、という言葉と共に複数の写真を公開。
それは、映画『光州5・18』(2007)のスチールカットだった。
これにより2007年の封切りから数年を経て、同映画が再び話題となっている。
本作は、光州事件をモチーフに製作されたもので、実際の悲劇の過程をリアルに描いたことにより、同事件を取り上げた作品の中でも高い評価を得た1作。
忘れてはいけない悲しい歴史を人々に喚起する物語は、本国で観客動員数約730万人を記録し大ヒットした。
日本でも話題となったため、韓流ファンの中にも観た人は多いのではないだろうか。
イ・ジュンギが高校3年生のジヌ役を、キム・サンギョンがタクシー運転手で彼の兄ミヌ役に扮していた。
※この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。
平和に暮らしていた2人だが1980年5月18日、ジヌの友人が学生の民主化デモ隊と戒厳軍の衝突に巻き込まれ、死亡するという出来事が起こる。これに憤りを感じたジヌは、自ら先頭に立って全校生徒を率いデモに参加することに。
その間、大学生が起こした民主化運動はやがて、光州市民VS軍という構図へと発展し対立は激化していった。
そして5月21日、軍は撤収するというデマを流し、市民が油断したところで無差別発砲。これにより多くの人が殺害され、ジヌも帰らぬ人に。負傷した人を助けようとしていたところ、銃弾を受けてしまったのだ。
逃げ惑う群衆の中からジヌを見つけ出し一緒に逃げようとしていたミヌだったが、なんと皮肉にも弟が撃たれその場に倒れるのを目にしてしまう。
政治には関心がなかったものの、大切な人を失い逆上、ミヌは市民軍に参加することに。まだ観ていない人は、ぜひご自身で結末を確認してもらいたい。
強いメッセージ性を含んだ『光州5・18』は、観客のみならず役者側にも訴えかけるものがあったのか、イ・ジュンギは本作以後、反政府的な発言をする機会が増えていく。
2008年には自身のSNSで、市民の抗議運動を擁護し政府を批判する姿勢を見せたことも。芸能人で影響力があることなどから、当時の政権から嫌われていたという。
また偶然の一致にしては不思議なほど、市民や困った人を助けたり、悪と戦ったりするキャラクターが増えていく。
『イルジメ~一枝梅~』(SBS/2008)にはじまり、『ヒーロー』(MBC/2009)や、『無法弁護士~最高のパートナー~』(tvN/2018)、最近では『アゲイン・マイ・ライフ』(SBS/2022)などだ。
出演作全体で見ると非常に多いわけではない。しかし、イ・ジュンギがヒーローを演じると、その作品は話題を呼ぶ傾向が。水を得た魚のような活躍を見せることが多い。
高い演技力を基盤にしながら、まるで彼の内に秘めた正義感と作品のヒーローキャラが共鳴したかのように、魅力的な役を描き出してきた。
もしもジヌ役がその契機となっているなら、『光州5・18』は観客はもちろんイ・ジュンギにも大きな刺激を与えた作品と言えるだろう。
映画『光州5・18』デモ隊に向かって銃撃する戒厳軍
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