- 現在放送中のKBS週末ドラマ『本物が現れた!』の視聴率が、10%台と伸び悩んでいる。
- 土日夜8時から放送されるドラマ枠は、かつては高視聴率を叩き出し、KBSを“養ってきた”枠。
- しかし今、以前ほどの高視聴率が取れず、KBSにとっては屈辱的な状況となっているようだ。
KBSの看板枠である「週末ドラマ」が、不名誉な数字を記録していたようだ。
ニールセンコリアによると、現在放送中のKBS新週末ドラマ『本物が現れた!』は、5月21日放送回の視聴率が19.8%。
初回視聴率は17.7%で始まり、4月には最高23.1%まで上昇。このまま巻き返しなるかと期待されたが、再び10%台に下落したという。
視聴率が20%近いのであれば、立派な人気ドラマなのではと思いきや、実は土日夜8時から放送されるKBSの「週末ドラマ」枠は、視聴率20%を超えても「大コケ」と言われてしまう“特別”な理由がある。
それは、この枠が韓国の“お母さん世代”を長年楽しませてきたから。「週末の夜のリモコンはお母さんのもの」と言われるほど人気が定着し、高い視聴率を誇ってきたのだ。
KBSの「週末ドラマ」の歴史は、すでに約40年。韓国ドラマ史上最高視聴率の65.8%という、とんでもない数字を叩き出したドラマ『初恋(1996)』も、この枠で放送された名作。
テレビ局全体が低迷期を迎えた2010年以降も、ターゲットである中高年女性向けの“泥沼劇”を放送し、「視聴率30%は保証されている」と言われるほどの健在ぶりを見せた。
そのため、揺るぎなく高い視聴率が獲得できるという意味から、“コンクリート視聴率”とも呼ばれ、韓国のドラマ視聴率ランキング1位の常連になった。
ちなみに、現在Netflix(ネットフリックス)の“今日のTV番組TOP10(日本)”で、連日上位にランクインしているドラマ『紳士とお嬢さん(2019/KBS2)』も同枠での放送。
韓国では全52話からなり、2021年9月から約6カ月に渡って放送された長編作品だが、放送直後から視聴率は20%超えを記録。さらに、最高視聴率38.2%という、驚異的な数字を記録している。
ストーリーは、日本の“昼ドラ”のようにドロドロの展開が続くが、韓国では“막장(マクチャン/ドロ沼劇)”として高い人気を誇った。
しかし、これまで高視聴率を叩き出してきたKBSの「週末ドラマ」が、最近は「不振に陥っている枠」として注目されるように‥。
長年“お母さん世代”を楽しませてきた「週末ドラマ」人気に、徐々に陰りが見え始めたのだ。
『紳士とお嬢さん』の後続番組となった『ヒョンジェは美しい(2022)』は、初回放送の視聴率が24.5%。最終話は29.4%で、決して悪くない数字ではあるものの、前作に比べ残念な結果と言われてしまった。
さらにその後続番組の『三兄妹が勇敢に(KBS2)』も最高視聴率28.0%まで上昇したが、平均は22%台となり、惨敗と酷評を受けている。
そして次に放送開始となったのが、現在放送中の『本物が現れた!』。前出の通り、最新話の視聴率は20%台をきり、19.8%となった。
不振の原因の一つに考えられるのは、作品のストーリー。ここ数年でOTT市場が急成長し、斬新でおもしろいコンテンツが増え、過激なストーリー展開や演出が盛り込まれた作品が急増した。
一方、KBSの「週末ドラマ」は、ドロドロの似たようなストーリーが繰り返されてきた。
また50話近い長編作のため、視聴者から「ストーリーが物足りない」「どこかで見たことがあるような展開」といった反応も多く、新鮮味に欠けると指摘されている。
しかし、KBSのドラマには規制が多い。なぜなら、日本のNHKのように公共放送だからである。
例えば、KBSの音楽番組では、過激な歌詞が含まれると判断された場合は不適切判定を受け、その曲を披露することができない。日本語が歌詞に盛り込まれても“放送不可”を食らうほどだ。
また、事件を起こした芸能人は出入禁止になったり、物議を醸している場合でも出演が許されないことがある。
よって、ドラマにおいても表現や描写に規制が多く、奇抜な作品にチャレンジすることも難しい。
そうなると、既成概念にとらわれず、自由な発想や演出ができるコンテンツには太刀打ちできないのだ。
公共放送という局柄、時代の変化に合わせた対応ができないKBS。
週末ドラマ『本物が現れた!』の視聴率下落は、韓国メディアが「KBSを養ってきた週末ドラマの屈辱」「KBSの惨劇」などと、辛らつな表現で伝えている。
これまでKBSを支えてきた「週末ドラマ枠」は、このまま、かつての栄光だけが語り継がれていくのだろうか。
『本物が現れた!』は現在18話までの放送が終わり、折り返し地点。巻き返しを図れるか、注目したい。
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