優れた演技力を持つアイドルとして、韓国ドラマ界を引っ張っている”演技ドル”。現代劇はもちろん、演技が難しいとされる時代劇でさえも、その実力を遺憾なく発揮している。
青春時代劇『花郎<ファラン>』が日本の放送局で始まったことで、再び注目を浴びている韓国の”時代劇ドラマ”。
トップ俳優から演技ドルまで、あらゆるスターが出演していることもあり、日本の韓ドラファンの中でも時代劇だけを”推す”人もいるほど熱いジャンルだ。

NHK BSプレミアムでは、『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』というタイトルでの放送中(画像出典:KBS)
韓国の時代劇は主に、朝鮮時代を背景にした作品が多く制作されている。この時代ならではの伝統衣装を身にまとい、古典的な仕草や言葉遣いから、品のある凛とした姿が見られると人気を集めているようだ。
だが俳優にとって、この”古典的な仕草や言葉遣い”というのが難しいという。
これにばかり気を取られ、演技に集中できないこともあるそうだ。つまり、演技の基本をしっかりとマスターしている俳優でなければ演じることは難しい。
このような理由から、数年前は時代劇に出演するアイドルがほとんどいなかった。演技をしたがるアイドルは多かったが、時代劇に出演しようとするアイドルはあまりいなかったそうだ。
アイドルが出演する場合、演技をするという理由だけで俳優よりも注目を集めてしまう。よって、一定水準以上の演技を見せなければならないという負担があるため、出演を決心するのは容易ではなかった。
また、時代劇は中堅やベテラン俳優の出演が多いことから、彼らの演技力と比較される可能性が高いことも出演を躊躇わせている理由の1つ。実際、あるアイドルは時代劇に出演後、演技力が問題になり、激しいバッシングを受けてしまった。
手厳しい評価を受けることから、時代劇はかつて、”アイドルの墓場”と呼ばれていたそうだ。
最近では正統派時代劇よりも、様々なジャンルを混ぜて現代劇を連想させるフュージョン時代劇の方が多く制作されていることから、演技ドルや若手俳優たちも出演しやすくなったようだ。
また、真摯な姿勢で演技に臨むアイドルたちが増えており、これによってアイドルたちが俳優としての成長のために時代劇への出演をいとわないという。
厳しい目を向けられながらも、果敢に時代劇に出演した演技ドルたち。彼らは揃いも揃って、豊かな表現力で演じ切っている。その中でも特に、多くの称賛が届いた演技ドルたちがいる。
EXO D.O.(ド・ギョンス) / 『100日の郎君様』

EXOのメンバーD.O.は、『100日の朗君様』で世子イ・ユル役を演じた(画像出典:tvN)
聡明な世子イ・ユル役を演じたEXO(エクソ)のD.O.。すでに優れた演技力を披露し、”演技ドル”のトップに君臨する彼だが、意外にも時代劇に出演するのはこれが初めて。
彼は「時代劇は難しかったが、一度は挑戦してみたかった。良い経験ができた」と時代劇での演技を楽しんだよう。
劇中、D.O.ならではの重低音の声と視線の演技で唯一無二のキャラクターを作り上げた。また、皇子の衣装が良く似合うとの称賛も届いている。
BTS V / 『花郎<ファラン>』

BTSのメンバーVが唯一出演したドラマ、『花郎<ファラン>』(画像出典:KBS)
BTS(防弾少年団)のV(ブイ)が唯一出演した時代劇、『花郎<ファラン>』。
劇中、ロングヘアーのかつらにヘアバンド、爽やかな韓服姿で、眩しい程の美少年ぶりを披露。
誰が来ても気付かない集中力や好奇心、かわいい笑顔を持った末っ子の花郎のハンソン役を演じた。
(関連記事)まさに新羅時代のV!韓国ドラマ’ 花郎’ 末っ子ハンソンと高いシンクロ率に驚く
パク・ヒョンシク / 『花郎<ファラン>』

パク・ヒョンシクはVと共に『花郎<ファラン>』に出演(画像出典:KBS)
本作で「真興王が生きているなら、このようなビジュアルだったであろう」と称賛を受けた、パク・ヒョンシク。
幼い年で王の座に就いたが、母の陰に隠れて顔を見せることのないサムメクチョン(真興王)役を演じた。
韓服がよく似合うビジュアルから抜群の発音と発声で、威厳ある王の姿はもちろん、粗雑ながらも優しい”ツンデレ”男子を演じた。好きな女性には気持ちを隠さずに表現する男らしいキャラクターで、多くの視聴者から愛された。
EXO ベッキョン / 『麗〈レイ〉~花萌ゆる8人の皇子たち~』

ベッキョンは『麗〈レイ〉~花萌ゆる8人の皇子たち~』で第10皇子ワン・ウンを演じた(画像出典:SBS)
ヒロインにIUを迎え、彼女を取り巻く皇子に扮した、ベッキョン。
彼が演じた第10皇子ワン・ウンは、気持ちをそのまま表現できず、イタズラを仕掛けるような恥ずかしがり屋だ。
ベッキョンはこれを持ち前の豊かな表現力で演じ切り、ハツラツとした魅力のキャラクターに仕上げた。
イム・シワン /『王は愛する』

イム・シワンの入隊前最後の出演作『王は愛する』 (画像出典:MBC)
2012年に放送された『太陽を抱く月』で、ホ・ヨムの少年時代を演じたイム・シワン。凛々しい韓服姿を披露し、すでに女性視聴者のハートを射止めていた。
その後、入隊前最後の出演作『王は愛する』で、魅惑的な美しさと善良さの裏に歪んだ征服欲がうごめく、ヤヌス的な魅力を持った世子ワン・ウォンを演じた。繊細な感情演技と感情移入してしまうナレーションで好評を博している。
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かつては”アイドルの墓場”と呼ばれていた時代劇に挑戦し、作品を成功に収めた”演技ドル”たち。俳優としても一回りも二回りも成長を見せ、ドラマ界になくてはならない存在となった。
アイドルらしいハンサムなビジュアルと優れた演技力を持つ彼らだからこそ、時代劇の世界観に違和感なく溶け込めたのだろう。時代劇を新しい活躍の場に変えた、彼らの功績は大きい。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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