JTBC(Netflix)ドラマ『梨泰院クラス(2020)』の日本リメイク版、テレビ朝日『六本木クラス』の放送が7月に控える中、日本では「“梨泰院”を“六本木”に置き換えるのには無理がある」という、批判的な意見が集まっているという。そこで本記事では、“梨泰院”の歴史を一部紹介する。

コロナ禍の日本で大ヒットしたJTBC(Netflix)ドラマ『梨泰院クラス(2020)』の日本リメイク版、『六本木クラス』が7月からテレビ朝日で放送される。

テレビ朝日『六本木クラス』で主演を務める俳優の竹内涼真

俳優の竹内涼真が主演を務めるテレビ朝日『六本木クラス』(画像出典:テレビ朝日)

しかしリメイクに関し、世間からは冷ややかな反応も見られているよう。

5月10日、写真週刊誌の『FLASH』は、梨泰院(イテウォン)と六本木を“似て非なる場所”だと報じ、『梨泰院クラス』が支持されたのは、背景にある社会問題に焦点を当てていたためで、舞台を“六本木”に置き換えるのは、無理があるというのが世間の主な声のようだと述べた。

では梨泰院とは一体どのような場所なのだろうか。

韓国に足を運んだことがある人なら、梨泰院が繁華街で、外国人が多く集まる場所であることはご存じの方も多いだろう。

ソウルでは江南(カンナム)、弘大(ホンデ)と共にクラブ文化が盛んで、主に、夜になると外国人をはじめ韓国の若者が集まる場所として有名だ。

梨泰院の様子が伺えるJTBCドラマ『梨泰院クラス(2020)』の1シーン

JTBCドラマ『梨泰院クラス(2020)』で、梨泰院の様子が伺える1シーン(画像出典:JTBC)

2010年頃からは、韓国の芸能人が運営する飲食店やおしゃれなカフェなどがメディアに取り上げられ、既存の繁華街イメージに加え、観光地としても人気を得るようになった。

また、各国の大使館や外国人学校、世界各国のレストランや輸入食品店なども多く立ち並び、韓国内では、容易に世界の文化を体験できる。

このように、今でこそ多くの人が集まる場所となったが、実は現在の梨泰院が出来上がる以前の2000年代頃までは、“差別的な場所”として認識されていた暗い時期もあった。

過去、隣接する龍山(ヨンサン)地区に米軍基地が存在し、梨泰院が在韓米軍のナイトライフが楽しめる場所として発展したことが1つの理由だ。

当時、“売春婦の丘”と呼ばれるアメリカ人が集まるバーが密集し、加えて、当時の韓国ではまだ受け入れられていなかった性的マイノリティーを持つ人々が集まった。

また、1980年代には売春目的で梨泰院に足を運ぶ日本人も存在したようだ。

1997年には、後にチャン・グンソク主演の映画『イテウォン殺人事件(2009)』の題材にもなった“梨泰院殺人事件”が起こっている。

映画『イテウォン殺人事件(2009)』は、実際に起こった梨泰院殺人事件が題材となった映画

実際に起こった梨泰院殺人事件を題材にした映画『イテウォン殺人事件(2009)』(画像出典:movie.naver)

韓国人大学生が梨泰院にあるハンバーガーショップのトイレ内で、何者かに殺害されるという悲惨な事件が起こり、2人のアメリカ人が容疑者として浮上。当時、韓国では多くの関心が向けられた。

以上のような背景から、梨泰院にはどちらかというとダークなイメージが定着し、韓国内で人々から避けられ、差別的な目を向けられる場所となった。

そしてもう1つの理由には、“梨泰院”という地名自体も関係している。

朝鮮時代に存在した“梨泰院”という駅院(公営宿泊施設)の名称からとったとされているが、一説には、昔、梨泰院に“異他人(イタイン)”と呼ばれていた、日本人が住むジャパニーズタウンがあったことに由来するとも言われている。

“異他人”説の真偽のほどは定かではないが、漢字からも読み取れるように、あまり良い印象とは言えず、このような説が浮上するほど、“梨泰院”という町が韓国人から敬遠されていたことが伺い知れる。

果たして『六本木クラス』は、『梨泰院クラス』のような大ヒットを記録するだろうか。

いずれにしてもリメイク版の登場で、再び『梨泰院クラス』に注目が集まり、コロナ終息後、さらに訪韓する日本人は増えそうだ。

(投稿:西谷瀬里)






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