【韓流20周年企画-名作ドラマ編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか‥。韓国ドラマでも特に人気の高いジャンルである、ロマンチックコメディー。現在も多くの作品が誕生し、ドラマファンの間では”ロコ”との愛称で親しまれている。所説あるものの、韓国ドラマ界で”愛される”ロコドラマが生まれたのは、『私の名前はキム・サムスン』がきっかけとなったのではないか。その理由に迫る。
韓国ドラマでも特に人気の高い、ロマンチックコメディージャンル。
ドラマファンの間では”ロコ”との愛称で親しまれ、現在も多くの作品が誕生し、愛を受けている。
所説あるが、韓国ドラマの長い歴史の中で”ロコ”作品が登場したのは1990年代後半だという。
KBS2で放送された『ウェディングドレス(1997)』がそのスタートだという説がある。これに続いたのが、2003年に放送された『屋根部屋の猫』や『1%のもの』で、その後も続々と”ロコ”ジャンルのドラマが世に送り出されてきた。
しかし、韓国ドラマファンが思い描く”ロコ”作品となると、それは、俳優ヒョンビンと女優キム・ソナが主演を務めた『私の名前はキム・サムスン(2005)』ではないだろうか。
最高視聴率50%を超え、大ヒットとなった同作は、ダサい名前とぽっちゃり体型にコンプレックスを持ちながらも、パティシエとして堂々と生きていく30代の独身女性キム・サムスンが、傲慢な年下のイケメン御曹司ヒョン・ジノンと恋に落ちるラブストーリーだ。本作が日本でも放送されると、ヒョンビンはすぐさま韓流スターとして人気を集めた作品でもある。
ヒョンビン扮する男性主人公の”ヒョン・ジノン”は、頭脳明晰、ルックスやスタイルともに抜群のビジュアルを誇り、富裕層の家柄だ。そんな完璧なスペックを備えながらも、人には興味がなくどこか冷たく感じる人物。
一方、キム・ソナが演じた女性主人公”キム・サムスン”は、愉快で情にあふれた性格ながらも、いくつもの現実的な問題を抱えている。それは家族の問題であったり、名前や見た目にコンプレックスを抱いているなど。
まるで二次元の世界から飛び出したような理想的な男性主人公と、現実味あふれる女性主人公。そんな2人がひょんなことから出会い、恋に落ちていく。
しかし、ただラブストーリーを展開するだけではなく、主人公の周辺にある家族のいざこざやあらゆる問題も登場する。つまり、主人公の2人が恋を成就させるだけでなく、彼らの家族愛も同時に描かれているのだ。
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あらゆる愛の形が描かれるストーリーをさらに盛り上げるのは『私の名前はキム・サムスン』がその始まりとされる、女性主人公のナレーションだ。彼女が抱く複雑な心情を、キャラクター自身の視点を通して語られることで、女性視聴者から多くの共感を得た。
コミカルなシーンから、ときめくラブストーリー、そしてほろりと涙する家族愛。
主人公と同じ女性たちが、自身と見つめ合うことのできるテーマをふんだんに盛り込んでいる、そんな”ロコ”ドラマの典型を作ったのは、まさしく『私の名前はキム・サムスン』と言えるだろう。
男女の恋愛、家族とあらゆる愛をテーマに、ドラマが届けたメッセージは「自分をもっと愛そう」というポジティブなもの。仕事も恋愛も、そして人生も頑張る。ヒロインが作品を通じて届けたメッセージに女性たちは共鳴し、そして感動した。
ロマンチックコメディーというジャンルではくくりきれないほど、人間の奥深さが多く描かれた『私の名前はキム・サムスン』。
同作が誕生した後、視聴者が求めたのは、笑いあり涙あり、そして誰もが共感できる出来事。そこに甘い恋愛要素も盛り込んだ作品、つまり『私の名前はキム・サムスン』のようなドラマだった。
このことから本作は、現在も多く愛されている”ロコ”ドラマの、”愛される”法則を作った、また、そのきかっけとなった作品と言えるのではないだろうか。
偶然にも、日本で放送される韓国ドラマのポスターが、同作のヒットを機にがらりと変わったという。ピンクを基調としたポップなデザイン、見るだけで女性心をときめかせるようなデザインになったのも、この頃だと言われている。
あらゆるシーンに影響を与えている『私の名前はキム・サムスン』。驚異的なヒットを飛ばしたのも納得できる、奥深いストーリーだ。あらゆる”思い”を盛り込んだ本作が、”ロコ”の法則を作ったと言っても大げさではないように思う。
『私の名前はキム・サムスン』(動画出典:Youtube MUSIS List)
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ヒョンビン
韓国の人気俳優ヒョンビン(ハングル 현빈)。1982年9月25日生まれ。
2003年にKBSのテレビドラマ『ボディガード』(2003)でデビュー。
2005年にMBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005)で大ブレイク。韓流スターとして、韓国や日本、中国をはじめアジア全域で人気を博している。
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