日本のTwitterトレンドに登場した”SM買収”のキーワード。そのきっかけとなったのは、韓国の経済専門メディアであるアジア経済の記事だ。SM買収が現実になる可能性が高まった理由‥まず、SMエンターテインメントの不透明な取引構造を知るべきだろう。

本日(8月25日)、日本のTwitterトレンドに突如として浮上した”SM買収”という文字に、驚いた人も多いだろう。

SMエンターテインメント

日本のTwitterトレンドに”SM売却”が登場した理由とは‥?(画像出典:SMエンターテインメント)

当サイトのDanmeeでは、これまで数回にわたり、韓国の投資家たちの間で話題となった”SM買収”の真相について報じてきたが、Twitterトレンドに登場することにより、ようやく現実味を帯びる”ネタ”となった。

※まだ、Danmeeの記事をご覧になっていない方のために、以下に記事リンクをまとめてみた。

「イ・スマンが手放したい?」SMに4兆W売却説浮上・・買い手はHYBEかCJか

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Twitterトレンドに”SM買収”というワードが登場したきっかけになったのは、韓国の経済専門メディア・アジア経済の記事(8月25日掲載)だ。

「SM、ライク企画を吸収合併後、持ち分を売却”新オーナーを迎える”」という見出しの記事には、SMエンターテインメント(以下、SM)が本格的に売却に向け、動き出していると伝えている。

まず、見慣れないワード”ライク企画”について解説したい。

ライク企画とは、現在SMの総括プロデューサーであり、SMの実質的なオーナーであるイ・スマン氏(以下、イ氏)が所有している会社だ。ちなみに、イ氏の持分は100%。

SMの外注先に当たるライク企画は、SMに対して”アーティストのプロデュースをする”という名目で、年間100億ウォンを超える報酬を請求している。

SMが、自社の持分18.6%を保有している大株主イ氏の会社に仕事を発注し、毎年大金を支払っている‥経済や企業に愚鈍な人でも「あれ?」と思う構造である。

このため、SMは売り上げに対する収益構造が悪く、一般株主への配当も行っていないため、株主からの怨声が後を絶たないという。

イ・スマンはSMエンターテインメントの統括プロデューサー

SMエンターテインメントの統括プロデューサー、イ・スマン(画像出典:SMエンターテインメント)

実際に2019年に、SMとライク企画は、SMの持分を保有している機関投資投資家、KB金融グループから「内部取引が疑わしい」と問題を提起され、韓国国会の国政監査の対象となった。

当時、韓国の公正取引委員会は、SMとライク企画の取引きには「法的な問題はない」と判断したが、イ氏に対する株主たちの不信感は日々強まっていく。

おまけに、韓国の国税庁は2020年9月から、SMとイ氏に対する強力な税務調査を行い、今年2月には約200億ウォンの追徴金支払いを命じている。

SMの収益構造を歪ませている内部取引、SMのイメージを蝕む巨額脱税に泣かされた株主たちは、SMによるライク企画の吸収合併を要求していたが、イ氏の判断は”NO”。

何故なら、イ氏にとってライク企画は、大きな収入源であるためだ。SM内で肩身の狭くなる思いをしても、株主やSM所属アーティストのファンからブーイングを受けても、手放したくないほどに大きな収入源なのである。

そんなイ氏の頑固なスタンスは、株主だけを困らせているわけではない。

自身の持つ、SMの持分を売却する意向を固めたとされるイ氏だが、既にKAKAOグループやCJグループが名乗りを上げており、これが実現すれば、巨額の売却になると見られている。

しかし、買収を希望する会社にとっても、ライク企画の存在は目障りだ。

その理由は、以下の3つ。

  1. ライク企画が別の法人会社として存続すれば、SMの収益構造の改善が容易ではない
  2. ライク企画との取引を継続すれば、SMの経営及びアーティストの管理全般にイ氏の影響力が残ってしまう
  3. ライク企画との関係により、韓国政府にマークされ続けることに対する危機感

イ氏にとって、持分をより高額で売却するためには、買い手の不安を払拭する必要がある。ライク企画を別法人として運営した場合、思い通りに売却が進まない可能性を案じ、SMによるライク企画の吸収合併という苦渋の選択を迫られたかもしれない。

今回韓国メディアは、SM売却において最も大きな障害とされていたライク企画の去就が「買い手や株主の要望通りになった」ということを受け、”SM買収”を既成事実と見ているようだ。










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