JYPエンターテインメントの総括プロデューサー、パク・ジニョンが今月24日、自身のインスタグラムを通じてStray Kidsを称賛するコメントを掲載。しかしこれに対して、韓国ネットは冷ややかな反応を見せている。それでもパク・ジニョンがStray Kidsを推す理由を探る。

昨年、日本のオーディション番組『虹プロジェクト』を通して、大衆的な知名度と好感度を手に入れたパク・ジニョン(J.Y.Park)。

同番組で彼が残した数々の金言は、見る人を感動させ「こんな人が上司だったらいいのに」「子育の参考になった」「彼がK-POPで成功した理由が分かった」といった熱い反響を引き出した。

パク・ジニョンは『Nizi Project』をきっかけに、日本でも知名度と好感度を手に入れた

オーディション番組『Nizi Project』をきっかけに、日本でも知名度と好感度を手に入れたパク・ジニョン(J.Y.Park)(画像出典:Nizi Project Instagram)

パク・ジニョンは今や、NiziU(ニジュー)の”生みの親”としてその能力を発揮しており、着実に成功を収めていると評されている。

JYPエンターテインメント(以下、JYP)の総括プロデューサーでもある彼は、新人アイドルの発掘や育成だけでなく、デビューしたアイドルとも常に音楽的な交感を保っていることでも有名だ。

通常、彼のような所属事務所の首長が、所属アーティストを”べた褒め”することはめったにないのがK-POP界。その理由としては、日本と同様「未熟者ですが、どうか~」といった謙遜の美徳が重視される、韓国社会の雰囲気が挙げられる。

にもかかわらず、パク・ジニョンはいつも所属アーティストを”べた褒め”し、それは変わらず続いている。しかし彼の性格から、所属アーティストの宣伝というより、本当に感心しているように思える。

昨夜も、彼の”べた褒め”が韓国ネット上で話題となった。

8月24日、パク・ジニョンは自身のインスタグラムに1枚の写真とコメントを掲載。

自身のインスタグラムでStray Kidsを称賛したパク・ジニョン

パク・ジニョンが自身のインスタグラムでStray Kidsを称賛(画像出典:パク・ジニョンInstagram)

それは、8月23日にリリースされた、Stray Kids(ストレイキッズ)のアルバム『Noeasy』のイメージ写真だ。パク・ジニョンは、以下のようなコメントを写真に添えている。

会社でスタッフと、Stray Kids次のアルバムコンセプトを悩んでいるも、この子たちが作詞作曲した楽曲を聞いて”これで行こう!”

この子たちのクリエイティブ能力は本物です。曲のテーマ、タイトル、作詞、作曲、編曲の全てが、この子たちによって生まれます。だから、この子たちの未来について不安は感じません。Do your thing guys!

音楽プロデューサーとして感じる、最大の喜びを表現したパク・ジニョンだったが、韓国ネットは何故か冷ややかな反応ばかり。

それもそのはず、Stray Kidsのメンバーヒョンジンが、学生時代の暴力議論からいまだ自由になっていないからだ。

JYPとヒョンジン側は、過去の過ちを迅速に認めて謝罪、被害者からも許しを得た。さらに彼の学生時代の担任も、当時のヒョンジンを取り巻く環境に触れ、彼への一方的な非難を止めるよう、韓国ネットユーザーへ呼びかけている。

(関連記事) Stray Kids ヒョンジン、当時の教師が擁護するも聞く耳を持たない韓国ネット

だがネットユーザーは、パク・ジニョンが普段からアイドル育成において「人格を最も優先する」と公言していたことを指摘、ヒョンジンへの積極的な処分を行っていない矛盾に、批判を強める。

そんな状況の中で、Stray Kidsを”べた褒め”することは容易ではない。むしろ、落ち着くまで待ってみるべきだったかもしれない。

では何故、パク・ジニョンは、危険を冒してまでも彼らの新作アルバムに触れたのか‥?

Stray Kidsは8人組ボーイズグループ

JYPエンターテインメント所属、8人組ボーイズグループStray Kids(画像出典:Stray Kids公式FaceBook)

これは、JYPを率いる首長としての、経営戦略の一環であることが考えられる。

去る8月18日、韓国の証券会社ユジン投資証券は、第2四半期にアーニングショック(earnings shock/売り上げ激減)に苦しめられたJYPに触れながら「今年の下半期は、業績の改善が期待される。その鍵を握っているのがStray Kidsだ」と分析。

続けて「Stray Kidsの成長が著しい。アルバム販売高100万枚も難しくないだろう」と、Stray Kidsがトップアイドルへの仲間入りを果たすと予測した。

JYPにとっても、EXOやBTS(防弾少年団)、SEVENTEENのような男性トップアイドルの存在が必要だ。NiziUのデビューで株価が大幅に引き上げられる中、それに続く存在が不可欠である。

そのためにも、過去の議論に引きずられ、猛省している暇はない。敢えて正攻法を選び、アイドルとしての商品価値、才能をアピールし、Stray Kidsのさらなる成長をバッグアップするという、経営判断である可能性が高い。

そしてもう1つ、韓国歌謡界の先輩として、Stray Kidsの優れた才能や実力が”校内暴力”という過去の亡霊に阻まれているという、現実へのもどかしさを伝えたかったのかもしれない。

もちろん、暴力は容認されてはならない。しかし、中学生時代の過ちに足を引っ張られ、明日へ、未来へ進むことが許されない歌謡界の後輩たちが、かわいそうでならないのだと、パク・ジニョンは訴えているように思える。



Stray kids(スキズ)

Stray Kids(ストレイキッズ / ハングル 스트레이 키즈 / 愛称 スキズ)は、Mnetのサバイバル番組「Stray Kids」を通じて選抜された、JYPエンターテインメント所属の8人組ボーイズグループ。

2018年3月25日に、ミニアルバム『I am NOT』でデビューし、2020年3月18日にベストアルバム『SKZ2020』で日本デビューを果たしている。

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