ハン・ヒョジュが、tvN『ハピネス』で5年振りにドラマ復帰を果たした。2021年11月より放送をスタートした本作は概ね好評を博しているものの、ハン・ヒョジュのネームバリューから見ると、やや残念な結果を招いてしまった。その理由とは。
日韓で愛されている、韓国女優のハン・ヒョジュ。
SBS『華麗なる遺産(2009)』やMBC『トンイ(2010)』などのテレビドラマをはじめ、韓国映画『監視者たち(2013)』、『愛を歌う花(2016)』と数々の作品に出演し、見る者を魅了。
また、2019年には、アメリカのテレビドラマ『トレッドストーン』で北朝鮮出身のピアニスト、パク・ソユン役を演じ、ハリウッド進出を果たしている。
韓国国内だけでなく海外と、ワールドワイドな活躍を見せているハン・ヒョジュ。そんな彼女が5年振りに韓国ドラマに復帰し、多くの注目を浴びている。
ハン・ヒョジュのドラマ復帰作となったのは、tvN『ハピネス』だ。
このドラマは、ポストコロナの近未来を背景に、階層社会の縮小版であるマンションに孤立した人たちの生存記を描いた、ニューノーマル都市スリラー。
様々な人間が集まり暮らすマンションが、原因不明の感染病によって封鎖されることに。そこで繰り広げられる亀裂と恐怖、生きるための死闘と心理戦を緻密に描き出している。
2021年11月より放送をスタートした本作は、概ね好評を博している。
人気女優のハン・ヒョジュが主演を務めたことに加え、新種の感染病というスリラー要素を盛り込んだ点、さらには感染病で日常が崩れ始めた人々の混乱は、今の状況と重なってリアルな恐怖を掻き立てた。
平凡な日常への回復が切実な今、それを取り戻すために孤軍奮闘する人々の姿は、共感とともに重みのあるメッセージとして投げかけている。
しかし、この一方で辛辣な意見も見られている。それはストーリーの設定が難しいということだ。
例えば、伝染病に感染した者と感染していない人を同じ場所に閉じ込めていることや、1人がワクチンを作るのに必要な抗体を持っているのであれば、どうしてすぐに研究室に連れて来ないのか‥など、ストーリー展開に辻褄の合わない箇所が出てくる。
脚本はこのうちのいくつかについて説明を試みようとしているが、最終回でもそれを回収できずに終わった。主人公カップルや数人の人物を除いては後日談が公開されないままで、急いだ展開に残念がる声も寄せられてしまった。
粗末なストーリー設定は、視聴率にも影響を及ぼしたようだ。本作は、ハン・ヒョジュにとっては、5年ぶりのドラマ復帰作であり、またパク・ヒョンシクにとっては、除隊後初出演作にもかかわらず、3~4%と視聴率が低迷。残念な成績が幕を下ろした。
韓国ドラマのお家芸でもある”Kゾンビ”や”SF”ジャンルの作品を好んで見ている視聴者は、それに対して多くの情報を持ち、目が肥えた人が多い。いくつもの作品から学んだ知識があるため、同ジャンルの新作に対しては決してほころびを許さないといった面もある。
今回はそんな視聴者から辛口の意見が寄せられてしまい、ハン・ヒョジュのネームバリューから見れば”コケた”作品となってしまった。
しかし、このドラマで成功した部分もある。それは”ロマンス”だ。
『ハピネス』は、それを大げさには押し付けずに、キャラクターの魅力と動機を生かすことに成功した。これは決していいかげんにやり過ごせるだけの成果ではない。
これに加え、感染病そのものより、感染したことで変わっていく人間という生き物と現実にスポットライトを当てたこと、さらに感染病の原因として浮上した治療薬の副作用が生んだ惨事など、現実にありそうなエピソードも盛り込まれている。
視覚的恐怖を前面に押し出さなくとも、”リアリティー”が究極のサスペンスを生み出した『ハピネス』。辛口な意見が見られるものの、多くの視聴者からは「これ以上のリアルはない。現実が反映された姿にゾっとする」との好反応が見られている。
tvN『ハピネス』ティーザー(動画出典:YouTube TVING)
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