- 少女時代(SNSD)のスヨンと演技力に定評のあるチョン・へジンが主演を務める『ラブ・パッセンジャー ~私たちの恋愛事情~』(GENIE TV)が、韓国のネット上で話題だ。
- 人気獲得の過程をはじめ、物語で扱われている内容が『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(ENA/2022/以下、ウ・ヨンウ)と似ているという。
- 『ウ・ヨンウ』を振り返りながら、両作が共通していると言われる部分を紹介する。
現在韓国で放送中の『ラブ・パッセンジャー ~私たちの恋愛事情~』(GENIE TV/以下、ラブ・パッセンジャー)が、昨年の世界的大ヒット作『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(ENA/2022/以下、ウ・ヨンウ)と同じ匂いがするとして、韓国で話題となっている。
自由気ままな母とクールな娘が友達のように過ごす同居生活や彼女たちの恋を描いた物語が、果たして本当に法廷ものの『ウ・ヨンウ』と似ているのだろうか。
本記事は、視聴者をはじめ各メディアから類似しているとの声が上がっている部分を紹介する。
日本でもU-NEXTから視聴可能な本作、『ウ・ヨンウ』にハマった人なら『ラブ・パッセンジャー』にも夢中になってしまうかもしれない。
口コミによる人気
初回視聴率わずか1.2%でスタートした『ラブ・パッセンジャー』は毎話自己最高記録を更新し、最新話である第8話で第1話の3倍以上にもなる3.9%という数字を叩き出した。
また月火ドラマのトップに輝き、ENAの作品としては歴代2位となる記録を樹立、7月3週目には話題性ランキングで4位を獲得、主演のチェ・スヨンとチョン・へジンがそれぞれ1位と3位にランクインするなど、話題性までもほしいままにしている。
当初はさほど注目されていなかった本作が、快進撃を繰り広げている理由は口コミによるもの。0.9%でスタートし徐々に成績を上げていった『ウ・ヨンウ』と同じ道を辿っている。
この状況に韓国のオンライン上では一部から、「”第2の『ウ・ヨンウ』”になるのではないか」との声が上がり、残すところあと4話でどこまで視聴率がアップするのか注目視されている。
苦い過去を持つひとり親家庭
『ウ・ヨンウ』では主人公ウ・ヨンウの聞くに堪えない出生の秘密が描かれ、それに付随してなぜ彼女の父親がシングルファーザーになったのか苦しすぎる理由も明らかにされていた。ウ・ヨンウと彼女の母親が対話するシーンに涙した人もいたのではないだろうか。
一方『ラブ・パッセンジャー』はシングルマザーの設定だが、ひとり親家庭である点は『ウ・ヨンウ』と同様。またなぜ女手一つで娘を育てることになったのかという事情についても触れており、若かりし頃の思い切った選択が回想シーンで登場する。
韓ドラの定番”出生の秘密”を盛り込みながらも、ドロドロとした感情の描写はなく比較的ライトにさらっと取り上げている点も両者の共通点だ。
偏見
『ウ・ヨンウ』の最大のテーマとなっていたといっても過言ではない“偏見”。ウ・ヨンウ自身が自閉症スペクトラム症によって偏った見方をされていたのをはじめ、彼女が準強制性交容疑で逮捕された青年の弁護をする放送回では、障がいを持っていた女性の証言が認められないというシーンが描かれていた。
一方『ラブ・パッセンジャー』では、ひとり親家庭に対する世間の固定観念や差別が取り上げられ、周囲の心無い言葉に傷ついた娘が自身の気持ちを爆発させる。過去に経験した悲しい出来事を置いて、母娘の苦悩がクローズアップされたシーンがあった。
叶わない恋
『ウ・ヨンウ』ではウ・ヨンウと、彼女がインターンとして入った法律事務所に勤務するイ・ジュノ(カン・テオ)とのラブストーリーが盛り込まれていた。イ・ジュノの誠実で甘い言動の数々にノックアウトした女性視聴者が多かったため覚えている人は多いだろう。
しかし、イ・ジュノの姉が「面倒を見る子じゃなく、ジュノを幸せにしてくれる子を連れてきて」と言ったのを偶然耳にしてしまったウ・ヨンウ。ハッピーエンドに思えた2人の恋は、ウ・ヨンウ自ら彼に別れを告げてピリオドを打つことに。
『ラブ・パッセンジャー』では、今まさに母親ウンミ(チョン・へジン扮)の恋の行方が注目を浴びている。
29年ぶりに初恋の相手に再会し、事情を抱える2人だが友人として傍にいさせてほしいという男性側の言葉に目頭を熱くするウンミの姿が描かれ、互いに惹かれ合いながらも交際には発展しない微妙な関係性が物語を盛り上げている。
叶わない恋となれば、この点においても『ウ・ヨンウ』と共通しているといえるだろう。
韓国社会が抱える問題
『ラブ・パッセンジャー』は放送回序盤から、児童虐待や家庭内暴力、ストーカーなど、韓国で次々と起こりなくなることのない様々な事件や事故を物語に盛り込み、視聴者の共感を呼びドラマへの没入度を高めている。日本はもちろん、もしすると世界中が抱えている問題かもしれない題材を用いた作品だ。
『ウ・ヨンウ』も韓国社会が抱える問題を取り上げ、裁判のシーンでは観る者に様々なメッセージを投げかけていた。
前出の障がい者への偏見をはじめ、同性愛者に対する偏った見解、夫に殴られる妻、夫婦間の立場の差、過度な教育、宗教観、子に対する親の支配など様々。海外でも無視できないような題材が毎話登場していた。
****
韓国ドラマの世界的ヒットにより、莫大な製作費をかけ趣向を凝らしたスケールの大きい作品が増えつつある中、派手さはなくてもメッセージ性の高さで視聴者を魅了することができるのを証明した作品が『ウ・ヨンウ』だった。
それと同じように『ラブ・パッセンジャー』は、家庭内での問題から韓国社会が抱える深刻な面を取り上げ、比較的身近な素材を用いて観る者の共感を呼んでいる。しかも、ややもすると暗くなりがちなテーマを、重たくならないよう演出しているのもポイント。
韓ドラ特有の持ち味がふんだんに感じられる本作、果たしてどこまで視聴者の心を掴むだろうか。残すところあと4話、今後の展開が気になる作品だ。
『ラブ・パッセンジャー』ティーザー
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