- 視聴率低迷が課題となっている地上波ドラマ。その状況を打破するべく、MBCは、新作ドラマの主演にイ・ジェフンを抜擢。
- 彼は、かつて国民的ドラマとして愛された『捜査班長』の続編で、刑事役に挑む。
- このドラマは、日本の刑事ドラマの金字塔『太陽にほえろ!』の韓国版とも言える作品である。
俳優イ・ジェフンが、MBCの新作ドラマ『捜査班長1963(仮題)』で、刑事役に挑戦することがわかった。
このドラマは、過去に同局で放送された刑事ドラマ『捜査班長』の続編で、俳優チェ・ブラムが演じた「パク・ヨンハン」刑事の若い頃を演じるという。
去る4月15日には、主演を務めたSBSドラマ『復讐代行人~模範タクシー~(邦題)』のシーズン2が最終回を迎えたばかり。視聴率は、自己最高の21.8%と有終の美を飾った。
劇中では、悪者を徹底的に打ちのめすダークヒーローを熱演した彼は、キレのあるアクションをはじめ、タフでカリスマ溢れる演技を披露。
穏やかで優しそうなルックスと、温厚そうな雰囲気を持つ彼とは、少しイメージが異なるようなキャラクターを演じていた。
しかし、次に演じる刑事の役柄は、彼の持つ素朴なイメージにぴったりという声が上がっているようだ。
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イ・ジェフンがキャスティングされたドラマ『捜査班長1963』は、韓国で1971年から1989年まで放送された『捜査班長』の*プリクエル版。
*プリクエル(prequel):物語の前編のこと。続編ではあるものの、オリジナルの作品よりも前の出来事に焦点を当てている。
時代背景は10年前に遡り、原作ではすでに班長だった主人公の刑事パク・ヨンハンが、捜査班長になる以前の物語から始まるという。
MBCは「パク・ヨンハン刑事が、個性あふれる同僚3人組と一つのチームとして一丸となって醜悪な犯罪に対抗し、民衆のための刑事に生まれ変わる」と紹介している。
『捜査班長』は、韓国初の犯罪捜査ドラマであり、放送当時は国民的ドラマとして愛された。
例えるなら、日本の刑事ドラマの金字塔『太陽にほえろ!』といったところだろうか。
『太陽にほえろ!』は、1972年~1986年まで日本テレビ系列で放送された、刑事ドラマの代表格とも称される作品。
主人公の“ボス”こと藤堂係長(石原裕次郎)を中心に、お互いを「マカノニ」「ラガー」「スコッチ」など個性的なニックネームで呼び合う、警視庁七曲警察署の刑事たちの物語である。
それぞれの登場人物の設定やキャラクター描写も魅力の一つで、約15年間の放送の中で多くの人気俳優を輩出したことでも知られている。今なおファンの多い名作ドラマだ。
そんな韓国版『太陽にほえろ!』とも言える『捜査班長』も、約18年間という長きに渡り、お茶の間で愛されたドラマ。
その理由は、他の刑事ドラマとは異なり、人情味あふれるストーリーだったからと言われている。
刑事ものというと、視聴者にドキドキハラハラさせるために、インパクトのある残虐な事件や悪質な犯罪を連想させるが、そうではなく、生計型犯罪と呼ばれる、お金が無く生活に苦しんでいる人が悪事に手を染めたり、犯人が涙を流しながら反省するなど、犯人の哀歓なども描かれたことで人気を得た。
言葉で表現すると少し地味な印象を与えるが、ラストはホロリとさせるような、人間味のある内容が盛り込まれているのである。
最近韓国の地上波ドラマは、動画配信サービスのオリジナルシリーズドラマや、tvN、JTBCといったケーブルチャンネル制作のドラマが台頭し始め、人気が押され気味。
4月28日に韓国で開催される『第59回 百想(ペクサン)芸術大賞』でも、ノミネート作品に地上波ドラマは無し、という残念な結果になっている。
さらに地上波ドラマは、視聴率低迷という現実も突きつけられており、人気を盛り返す必要に迫られているのだ。
そしてMBCが、切り札として発表したのが、イ・ジェフン主演の新作ドラマ『捜査班長1963』。
制作陣は「『捜査班長』を知っている視聴者には、パク・ヨンハンがどのように班長になったのかその過程を知らせることができ、『捜査班長1963』で初めてパク・ヨンハンを見る視聴者には、痛快なカタルシスを与え、キャラクター自体だけで完璧な魅力を伝えることができる」と話す。
かつて人間味のあるストーリーで人気を博した刑事ドラマの主演に抜擢された、イ・ジェフン。人間らしい温かな魅力を放つ彼こそ、まさに適役だろう。
新作ドラマ『捜査班長1963』は、2023年下半期の放映を目標に制作予定。果たして、MBCが期待する切り札になれるだろうか。
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