LGBTI(性的少数者) “インターセックス”を主人公にしたドラマ、tvN『XX+XY』が話題を集めている。これまではドラマに登場しても脇役に留まっていたが、本作では前面に登場。このような流れは、韓国ドラマの強みが一役買っていることもあるだろう。現在、韓国ドラマ界で主流になっているのは、社会の動きをキャッチしドラマ化するという流れのようだ。
韓国で話題となっているドラマ、tvN『XX+XY』。
この作品は、5月9日から10日にかけて放送された4部作のドラマで、男女の性別を持つ”XXXY”で生まれたある高校生が、自分の未来を自ら決めていくことから経験していくストーリーを描く。
主人公のジェイ(アン・ヒョンホ)は、男女の性別を両方持って生まれた*”インターセックス”。
ジェイはどんな”選択”を下すべきかを決めるために、直接体でぶつかって悩みながら成長していく。ドラマは、その過程を通じて「ありのままの君の姿が美しい」というメッセージを届けている。
*インターセックス‥女性または男性という典型的な二分法的規範から外れた性別特徴を持つ人々をあわせて呼ぶ言葉
見慣れない題材を前面に掲げた『XX+XY』
これまで、彼らをはじめたとした性的少数者を主人公にした作品は、韓国ドラマ界では見られたことがない。
同性愛者やトランスジェンダーなどが登場したことはあるものの、大半が脇役や端役に留まり、周辺的に扱われていた。これは、韓国社会の性的少数者への包容性が低く、視聴者の抗議にぶつかる恐れがあるためだ。
そのような中、『XX+XY』では、これまで性的少数者の中でもあまり扱わなかったインターセックスの主人公を前面にストーリーを展開している。
本作は、CJ ENMが新人作家を支援する”O’PEN”の公募展当選作から出発したドラマだ。それだけに、身近な社会の動きが主軸に展開され、韓国社会でもこのようなテーマの作品が誕生した。
社会の流れをいち早くキャッチする。それが、韓国ドラマの強み
韓国ドラマが人々を魅了するのは、このような理由からではないだろうか。
今の韓国で社会問題となっているテーマや大衆が向き合うべきことなど、社会全体の動きをキャッチし、ドラマ化している。
性的少数者にフォーカスを当てた『XX+XY』をはじめ、学歴社会の現実を生きる母親と”ママ友界”の話を描いたJTBC(Netflix)『グリーン・マザーズ・クラブ』、様々な人々の人生が交差し、感動とともに自分を振り返らせてくれるtvN(Netflix)『私たちのブルース』など、いずれも背景は身近なことであり、考えなければならない社会問題、さらに韓国文化なども盛り込まれている。
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つまり、韓国ドラマの強みとは、現代社会を反映した作品が多数、制作されているということだ。
視聴者はドラマを通じて、”韓国社会”の今を、さらに文化まで間接的に体験できる。さらに、それぞれの主人公が歩む様々な人生を、大衆が考察していけるのだ。
視聴者に届きやすいよう、身近なテーマを盛り込んで展開
今回、『XX+XY』を通じて描かれたのが、インターセックス人権を尊重する設定。ジェイの両親が子どもに向け、性別を自ら決められるように助けるのが、その代表例だ。
ドラマは、ジェイをありのまま愛する友達が1人、2人と増える方向に展開される。友人らとともに、性別アイデンティティーや性的指向を探求しながら成長する、初々しくて清涼な学園物の形式を取った。
主人公の悩みは、性的好奇心あふれる同年代の文化の中に自然に溶け込んでいる。
ドラマは、10代が「私は何を、誰が好きなのか」、「私の体はどこにどのように反応するのか」を悩む過程を描いた。これは性的少数者の青少年に限らない普遍的な話でもある。
見慣れない素材を前面に掲げているものの、視聴者にメッセージが届きやすいように、インターセックスを周辺の友人、普通の友人と感じられるようにする視線で描いた。
本作を見た視聴者は、「このドラマは挑戦的だね」「韓国でこんなドラマを見られるなんて」と驚きつつも、拒否感なくドラマを楽しんだ様子だ。
また、ある視聴者は「性別二分法でもう少し自由な社会になってほしい」という感想を残している。
****
視聴者に考察させ、さらに何かを残すことができる韓国ドラマ。
作品を通じて、直面している問題を深く知ることもできる。娯楽でありながらも考えさせられるという韓国ドラマ界の強みを、本作が証明しているように思う。
tvN「XX+XY」予告編
(投稿:星野沙)
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