【韓流20周年企画-『製パン王 キム・タック』編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか‥今回は、韓国で驚異的な視聴率を誇り、日本でも多くの話題に包まれたドラマ『製パン王 キム・タック』の制作秘話に迫ります。

韓国の国民的ドラマとして、現在も多くの愛を受けるKBS『製パン王 キム・タック(2010)』。

主人公キム・タック(ユン・シユン)が製パン王になるために成長していく過程を描いていた作品で、1970~80年代の韓国製パン業界を舞台に、業界を成長させた人物の実話を基に制作されている。

最高視聴率50%を超える大ヒット『製パン王 キム・タック(2010)』

最高視聴率50%を超える大ヒット『製パン王 キム・タック(2010)』

当時、ドラマ制作のニュースがマスコミに知らされると、そのタイトルや、新人俳優が主演にキャスティングされたことで大衆からは悪評が噴出してしまった。

だが、いざ放送をスタートすると、回を重ねるごとに視聴率は上昇。結果、最高視聴率50%を超える大ヒットとなった。

さらに、2010年代視聴率1位、歴代KBSミニシリーズドラマ視聴率1位、KBSHDドラマ視聴率1位という驚異的な記録を打ち出すことになる。

韓国では、このような視聴率の高いドラマは、それを作り出す制作側のチームワークも抜群だと言われている。

しかし、『製パン王 キム・タック』に関しては例外だったよう。制作サイドにさまざまなトラブルが持ち上がったドラマでもあったのだ。

爆発的ヒットドラマの裏側にあった、いざこざ

『製パン王 キム・タック』は、高い視聴率とは別に制作現場では問題が絶えなかった作品のよう。

まず、起きたのが”監督交代”という事態だ。

本作の脚本を手掛けたカン・ウンギョン作家の前作『強強敵たち-幸せなスキャンダル!-』で、ともに制作に携わったハン・ジュンソPD(監督)が、制作序盤に不可解な理由から監督を交代させられる事態となった。

その後、2010年7月1日午前0時より、KBSの新労働組合がストライキに突入。

これにより新監督も現場から外されてしまい、彼らが抜けた席は、当時CPだったチョン・ヘリョンPDが務め、現場を指揮したという。

2010年7月1日勃発したKBSの労働組合のストライキ(画像出典:韓国連合ニュース)

ストライキを起こした新労働組合に属しているのは、記者とPDが90%以上だったそうだ。演出を交代されたPDも参加したと見られ、それにより別のPDが演出担当に落ち着いた。

新労働組合のストライキに対し、KBS側は”不法ストライキ”と規定し、厳正な対処の立場を明らかにした。まさに一触即発の状態だったそうだ。

この一件もあり、『製パン王 キム・タック』の放送が実現するのか心配されていたという。

放送が危ぶまれる事態もあったものの、華々しい成績を収めた作品として、韓国ドラマ界に名を残す名作にまでなった。

逆境を乗り越え放送開始!アジアで大ヒット

これほどの騒動だけにお蔵入りになっていた可能性もあった、『製パン王 キム・タック』。

だが、無事に制作され、韓国だけでなく日本や中国といったアジア諸国でも話題と人気を誇っている。

日本では、2010年12月よりDATVにて放送され、その後、2011年7月よりフジテレビ『韓流α』、テレビ東京『韓流プレミア』でも2015年6月より放送されていた。字幕放送をせずに、佐藤拓也や鈴村健一などの有名声優を起用し、日本語吹替版で届けられたことでより多くの人が楽しめたようだ。

日本のドラマファンからは「とにかく感動した」「タックを応援したくなるドラマ」「泥沼から這い上がるサクセスストーリーに涙」「ドロドロ劇が展開されるが、なぜか引き込まれて最後まで見てしまった」「韓国で人気だったのも納得のシナリオ」などのコメントが見られ、多くの好評を得ていることが分かる。

絶大な人気を得た作品でありながら、このような制作の裏話もある本作。それを感じさせない、人々と魅了する秀逸なドラマに仕上がっている。

(投稿:星野沙)




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