コ・ドゥシム、キム・ヘスク、キム・ヘオク、キム・ミギョンなど、韓国では名前を聞いただけで「あのドラマの母親役」と思い浮かぶような、圧倒的な存在感で母親役を任されている女優たち。日本では特に「韓国ドラマ界の母」と言われ『冬のソナタ』でユジン(チェ・ジウ)の母を演じたキム・ヘスクが有名だが、韓国で「ヒョンビンの母」として有名なのが、パク・ジュングムだ。
“ヒョンビンの母”といえば韓国で知らない人はいないくらいのパク・ジュングム。韓国ではネット検索するために「ヒョンビン」と打つと、関連検索語としてヒョンビンの母、パク・ジュングムが表示されるほど『シークレット・ガーデン』(2010)の影響は大きかった。
今回は、パク・ジュングムのプロフィールや『シークレット・ガーデン』のエピソードを紹介する。
パク・ジュングム
パク・ジュングムは1962年生まれの58歳。1982年KBS『純愛』で女優デビューした。元々このドラマは女優ウォン・ミギョンがヒロインとして決定していたが、この女優の都合で降板。パク・ジュングムは当時、まだ慶熙(キョンヒ)大学に通う学生だったのにもかかわらず、突然ドラマのヒロイン役に抜擢された。
1987年、KBS2『思慕曲』に主演して一時人気を集めたが、1991年に出演したMBC『私の心は湖』以降、女優業をしばらく休止していた。
しかし2006年、SBS『愛と野望』で女優復帰を果たしたあと、2010年に出演した『シークレット・ガーデン』でヒョンビンの母親役を演じ、再び名が知られるようになった。その後もヒットドラマに母親として数多く出演している。
『シークレット・ガーデン』キャスティング秘話
『シークレット・ガーデン』でヒョンビンの母、ムン・プノン役を演じたパク・ジュングム。パク・ジュングムの親友ホン・ヨジンが2017年MBNのトーク番組に出演し、このキャスティングに対する裏話を語ったことがある。
『シークレット・ガーデン』の撮影が終わったあと2人で食事をし、ホン・ヨジンは何気ない話の中でキャスティングのきっかけについて聞いてみたそうだ。
「パク・ジュングムが以前SBSのドラマに出演していた際、化粧室で手を洗っていると誰かが自分を見ており、のちにそれが、キム・ウンスク作家だったことがわかった。キム・ウンスク作家は、トイレでパク・ジュングムを見ながら”次の作品の登場人物はこういう女性だ”と感じ、ドラマが決まるとすぐパク・ジュングムに声をかけたそうだ」ということだった。
財閥夫人の役が似合う理由はリアル令嬢だから?
ムン・プノン役では、実際の財閥夫人と比較にならないほど独特なファッションスタイルで、財閥夫人として自らのコンセプトを確立していたパク・ジュングム。
財閥夫人のイメージを定着させると、それ以降も同じようなステータスの高い夫人役での出演オファーが多くなったが、パク・ジュングムが財閥夫人の役が似合うのには理由があった。
実は、鉄鋼関係の仕事をしていた父親がかなりの富豪だった。令嬢として育てられたパク・ジュングムは、若い頃に父親からの財産を譲り受け、韓国の高級住宅街と言われる狎鴎亭(アックジョン)にマンション、春川(チュンチョン)にビル、大阜島(テブド)に土地を持っているという。
またドラマの撮影の際には、スタッフが用意した衣装や小道具、宝石類ではなく、本人の私物を使用することもあるらしい。よりリアルな財閥夫人の雰囲気が出ていたのは、こういったことも理由の1つかもしれない。
これまで演じてきた財閥夫人
パク・ジュングムがこれまで演じてきた財閥夫人をピックアップしてみた。
・『シークレット・ガーデン』(2010)
ムン・プノン役(ジュウォン(ヒョンビン)の母、ロエルデパート会長の娘)
・『屋根部屋のプリンス』(2012)
ヨン・ソルヒ(ヨン・テヨン(パク・ユチョン)の大叔母、ヨ会長の義妹)
・『相続者たち』(2013)
チョン・ジスク(キム会長の2番目の妻、帝国高校理事長)
・『仮面』(2015)
ソン女史(ミヌ(チュ・ジフン)の継母、夫はSJグループ会長)
・『月桂樹洋服店の紳士たち』(2016)
コ・ウンスク(ミサアパレル会長の後妻)
・『病院船〜ずっと君のそばに〜』(2017)
ハン・ヒスク(ジェゴル(イ・ソウォン)の母、夫は巨済第一病院院長)
など、さまざまな作品で財閥婦人を演じている。
ドラマのタイトルや誰の母親役だったかがわかれば、名前は知らずとも顔はわかる、そういえば出演していたと思い出す人も多いかもしれない。これからもパク・ジュングムのフィルモグラフィーには、視聴者の記憶に残るような母親、そして財閥夫人の役名が並んでいくことだろう。
ヒョンビン
韓国の人気俳優ヒョンビン(ハングル 현빈)。1982年9月25日生まれ。
2003年にKBSのテレビドラマ『ボディガード』(2003)でデビュー。
2005年にMBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005)で大ブレイク。韓流スターとして、韓国や日本、中国をはじめアジア全域で人気を博している。
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