現在世界的に人気を博している9人組ガールズグループ”NiziU(二ジュー)”を生んだ、JYPエンターテインメントの名プロデューサー、パク・ジニョン(J.Y.Park)。そんなパク・ジニョンを師匠と仰ぎ、韓国初の世界的トップアイドルグループBTS(防弾少年団)を生んだ、Big Hitエンターテインメントの代表、パン・シヒョク。2人がスターを育てる方法の違いとは?
パク・ジニョン(J.Y.Park)とパン代表は、プロデューサーという顔を持っているが、アイドルをプロデュースする上でのやり方に、明確な違いがある。今回はその違いについて、比較してみた。
パク・ジニョンは称賛の達人
パク・ジニョンは、最近『Nizi Project(虹プロ)』の中で出た数々の名言が話題となったが、それらはすべて前向きな言葉だった。最初は自信のなかった候補生たちが、彼の言葉で少しずつ自分を信じ始め、努力を続け成長していく姿が、画面からも見て取れた。
Part.1の東京合宿中、当時候補生だったマヤが”スター性”をテーマに行った特技審査の中で、得意な絵を活かして『みにくいアヒルの子』の紙芝居を披露。マヤは、みにくいアヒルの子に自分を重ねながら涙を見せたが、パク・ジニョンはそんなマヤを始め、候補生全員に向かって「1人1人が特別でなかったら、生まれてこなかったはずだ」と言及。「たとえ今回選ばれず、デビューできなかったとしても、自分自身の姿をしっかりと見つめれば、自分は自分のままで充分特別だということが分かる時が来る」という言葉を伝えた。
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次世代K-POPスターを発掘する、SBSサバイバルオーディション『K-POPスター』シリーズに審査員として出演した際も、「生まれ持った才能と素質が恐ろしい」「僕よりずっと上手い」など、才能豊かな出演者に対して、数多くの称賛の言葉を述べている。
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また、パク・ジニョンは自身のインスタグラムでも、例えば所属アーティストのStray Kidsについて「本当に自分たちの世界を、自分たちの歌詞とメロディーで表現することができる子たち」と公に褒めることを忘れない。まさに褒めて育てる達人と言えよう。
しかし、驚くべきことにJ.Y.Parkにも鬼のような時代があった‥。
パク・ジニョンがプロデュースし、2005年に歌手デビューしたIVY(アイビー)。すでにJYPからは離れているが、現在も歌手兼ミュージカル女優として幅広く活躍している。
彼女が過去に出演したMBCバラエティー『ラジオスター』で、自身の練習生時代を回顧しながら「昔のパク・ジニョン代表は、レコーディングの時はすごく怖くてとても頑固で、腹が立つほどだった」と語ったことがある。今と昔があまりに違いすぎるため、事務所の関係者たちはパク・ジニョンのことを、”*歯が抜けたトラ”と言っているそうだ。 *歯が抜けたトラ:人間が丸くなったという意味。
パク・ジニョンが変わったきっかけは、所属歌手のプロデュースに忙しかった2000年代、自身のやり方で良くない結果を生んでしまった経験から、責任を感じてメンタルケアを重視するようになったそうだ。
(関連記事)かつて鬼だったJ.Y.Park、突如として’歯が抜けたトラ’になったきっかけ
パン代表は毒舌の達人
対してパン代表は、毒舌家として有名だ。MBCオーディション番組『スターオーディション 偉大な誕生』(以下、スターオーディション)に、審査委員として参加していた当時、パン代表は参加者の外見とファッションセンスに対して苦言を呈し、ネットユーザーから非難されたことがあった。非難の理由は「歌よりも外見を重視している」ということ。しかし、彼の指摘には全て理由があり、それは「歌謡界は歌の実力で点数をつけるオリンピックではない」という持論だ。「『よくやっている』といった甘い言葉は、参加者にとって何の役にも立たない」と説明した。
また、BTSのメンバーV(ブイ)がデビュー前、パン代表が1年間自分の名前を覚えられず、いつも「君は誰?」と聞いてきたと語ったことがある。1年間、一生懸命頑張ってきた練習生に向かっての言葉にしては、かなり厳しいものがあるだろう。
しかしパン代表は、他人にだけ厳しいわけではない。自分が作った曲に対して「自分が作曲した歌に興味がない。作曲に弾みがついたという表現は、自分には合わない」と、自分の評価に対しても毒舌ぶりを発揮する。
『スターオーディション』で、毒舌キャラとして固めることとなったパン代表は、番組から「(アメリカのオーディション番組)『アメリカン・アイドル』の毒舌家”サイモン”のキャラクターを要求されたが、カメラの前で性格を作って演技する自信はなかったので、自分自身のサバサバした性格が放送に出ている」と演技ではないことを語っている。
実はパン・シヒョク、毒舌には自分なりの哲学と持論を持っている。2011年韓国メディア 中央日報とのインタービューでこう語っている。
「甘い称賛は何も役立たない。そうそうたる実力者が集まっている芸能界で生き残るためには、自分自身を痛烈に反省し見直す姿勢が必要だ。称賛と激励を受けながら、先生と10歩前進するより、一人の力と意志で1歩前進するほうが望ましい‥(中略)‥’毒舌’の本来の意味を考えると、私の言葉は毒舌ではない。練習生たちへの最高の礼遇であり、真心を込めた言葉である」
***
パク代表とパク・ジニョン、どちらのやり方でも一長一短はあるが、アイドルやアーティストを育てる上で、その相手に合ったやり方で言葉をかけていくことが大事だろう。アイドルの平均寿命は、5年と言われているが、そんなアイドルたちのメンタル面を、時には優しい言葉で、時には厳しい言葉で上手にケアしながら、世界に羽ばたくトップアイドルたちを、これからも生み出していってほしい。
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