韓国大統領選挙の候補の尹錫悦氏。次期大統領に選出される事が有力視されているのだが、使ってはならない”あるアイテム”に触れてしまい、厳しい批判が向けられているようだ。
来る3月9日に開かれる、韓国大統領選挙。
韓国の最大野党である、”国民の力”党の尹錫悦氏(ユン・ソクヨル/以下、尹氏)は、その候補者の一人である。

“国民の力”党の尹錫悦 候補者(画像出典:フェイスブック)
彼は保守派の厚い支持を受け、次期大統領に選出される事が有力視されているのだが、使ってはならない”あるアイテム”に触れてしまい、厳しい批判が向けられているようだ。
その”禁断のアイテム”とは、”紫ハート”。
そう、世界的な人気を誇るアイドルグループ、BTS(防弾少年団)の象徴である。
2月8日、尹氏はSNSを通して「私もARMY(アーミー:BTSファン名称)の”紫ハートチャレンジ”に参加します」と発表。若年層の支持者に寄り添い、好感度アップを目論んだ。

“紫ハートチャレンジ”に参加すると公言した尹氏
この”紫ハートチャレンジ”とは、BTSのリーダーRMに対して、悪質なネット攻撃をしている中国ネットユーザーに対抗するために行われたもの。
先日RMは、中国の北京で行われている冬季オリンピックで、スピードスケート・ショートトラックの韓国代表として出場しているファン・デホン選手に、サムズアップのスタンプをつけ、応援メッセージを送った。
彼は男子1000メートルの準決勝で、レーン変更の反則があったとして脱落している。
(関連記事)BTS RM 北京五輪 ショートトラック韓国代表 ファン・デホン選手を応援
この失格判定に対して「中国選手に有利な判定だ」「八百長だ」という、韓国国民の怒りと疑惑が中国にも伝わり、中国のネットユーザーの目には、RMの行動が”失格を否定=審判の不正”と決めつけたと映ったようだ。

BTS リーダー RM(写真提供:©TOPSTAR NEWS)
中国ネットユーザーは、BTSの公式SNSに韓国人とBTSを侮辱するようなメッセージと絵文字を送り付けており、これに対抗するため、BTSのファンを中心に”紫ハートチャレンジ”が繰り広げられた。
尹氏は「RMのインスタグラムを見た。(中国ネットユーザーによる)絵文字攻撃に対するARMYの反撃が素晴らしかった」と感想を述べ、”紫ハートチャレンジ”に参加する意思を表明。
同氏は、日本との関係改善とともに日米韓同盟を重視する一方で、北朝鮮や中国との対決姿勢を貫いてきた。彼にとって、最近若者を中心に巻き起こっている”反中感情”は追い風そのものであり、BTSファンを後ろ盾にできる絶好のチャンスだと思ったのだろう。
しかし、尹氏の予想は大はずれ。尹氏のSNSには「”紫ハート”を政治に使わないで」「”紫ハート”は、BTSとのARMYにとって貴重なもの」「ARMYによる(尹氏の)落選チャレンジが始まるぞ」「アーティスト人気に便乗するのはやめて!」「中国より嫌い」など、思わぬ反発が巻き起こるのだった。
韓国の政治家による、”BTS便乗”は今に始まったことではない。
そしてそれが成功した例はなく、”BTS”の名を使うたびにファンから批判を浴びている始末だ。残念ながら、政治家たちはまだその”取り扱い上の危険性”をよくわかっていないようだ。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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