歌手であり俳優のキム・ジュンスが、自身の設立した芸能事務所であるPALMTREE ISLANDのミュージカル俳優を引き連れて、単独公演を開催する。アイドルとして活躍した彼が、ミュージカル界で名を馳せ、代表という位置に至るまでの、苦難の12年を紹介したい。
歌手でありミュージカル俳優として活躍するキム・ジュンスが設立し、代表を務める芸能事務所PALMTREE ISLANDが、9月23日から3日間、ソウル松坡(ソンパ)区のチャムシル室内体育館で、単独ガラコンサートを開催することを発表した。

歌手兼俳優でPALMTREE ISLANDの代表、キム・ジュンス。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
東方神起として、またJYJのメンバーとして大声援を浴びてきたジュンスが、ミュージカル界へと足を踏み入れてはや約12年。
そんな彼が個人事務所を設立し、単独公演まで行うにまでなるとは誰が想像しただろうか。その陰には、アイドル出身であるがゆえの重圧や苦労、血のにじむような努力があった。
キム・ジュンスのミュージカルデビュー作は、2010年の『モーツァルト!(初演)』だった。
一度も経験したことのないジャンルで、人前に立つ勇気がなく、オファーを受けた際には辞退するつもりだったという。しかし台本を読み、自由を渇望するモーツァルトに強いシンパシーを感じて出演を決意する。
マイナスから始まったミュージカルデビュー
ところが、いきなり壁にぶつかってしまう。彼がキャスティングされたことに、ミュージカルファンが猛反発したのだ。
今でこそ、アイドルが映画にドラマにと精力的な活躍を見せ、それが業界でも普通の事となっているが、以前はアイドルが芝居をすることに大きな偏見があり、彼もまたその一人であった。

アイドルからミュージカル俳優への道を作ったパイオニア、キム・ジュンス。(画像出典:EMKミュージカルカンパニー 公式Instagram)
また『モーツァルト!』は、クアドラプル(4人)キャストでの上演が発表され、ジュンス以外にはミュージカル界のスターが名を連ねていたことから「アイドルにミュージカルの主役が務まるのか」と、冷たい視線が向けられてしまう。
(関連記事)キム・ジュンス、ミュージカル俳優として歩んだ10年‥それは冷笑から始まった
事実、本人がその時のプレッシャーは「相当なものだった」と後に語っている。
東方神起(TVXQ)として絶大なる人気を得て、JYJとしても多くのファンに愛されていたにもかかわらず、また一から積み上げていく日々が始まった。
もし“人気者”としてのプライドを捨てることができなければ、きっと今の彼はいなかっただろう。
ミュージカルに出演すると決めたジュンスは、腐らず、努力を惜しまずもがきながら、ミュージカル特有の発声を必死に真似して練習を続けたのだ。
そんなある日、『モーツァルト!』の演出家であるユ・ヒソンから「君を観に来るお客さんは、君の魅力を観に来るんだ。どんな役者だって、万人受けしてるわけじゃない。嫌いな人がいて当たり前なんだから、自分だけの武器を持つ役者になれ」と言われ、型にはまる必要がないことを悟り、胸のつかえが取れたそうだ。
こうして吹っ切れたジュンスは、より大きな視点を持ってミュージカルに向き合うようになり、自分だからこそできるスタイルを模索していく。
“アイドル”から抜け出せた『エリザベート』
そして、ミュージカルデビューから2年後の2012年、『エリザベート(初演)』を通して、ようやくそれまでのイメージを払拭することに成功、本人もそれを実感したという。

キム・ジュンスが、アイドルのイメージを払拭したミュージカル『エリザベート』。(画像出典:EMK ミュージカルカンパニー 公式Facebook)
それでも『エリザベート』の幕が上がるまでは、『モーツァルト!』以上に非難の声を浴びた。
“アイドル”という肩書きがまだまだ付いて回っていた頃で、加えて当時20代後半だった彼が、40~50代という重厚な役を演じることになったからだ。
ほぼアウェイという状況で、舞台に立ったキム・ジュンスの胸中はいかほどだったろうか。我々には想像し得ないほどの精神力が必要だったことは想像に難くない。
そして最終的には、良い意味で観客の期待を裏切り、高い評価を得た彼のすごさが伝わってくる。
それを立証するかのように、『エリザベート』で『第18回 韓国ミュージカル大賞』で主演男優賞を受賞し、実力者として認められる俳優へと成長を遂げた。
以降、『ドラキュラ』『デスノート』など、それぞれの作品で自身の個性を生かし好演。
俳優として、事務所代表としてミュージカルに恩返しを
2021年11月、10年以上に渡り籍を置いていたC-JeSエンターテインメントを去り、PALMTREE ISLANDを設立した。おそらく、ミュージカル界に骨を埋める覚悟をしたのだろう。彼の並々ならぬ思いのようなものを感じる。

キム・ジュンスが出演したミュージカル『デスノート』(画像出典:キム・ジュンス 公式Instagram)
こうして自身も表舞台で活動しながら、現在は所属俳優を抱える代表に。
そんなキム・ジュンスの事務所には、既に実績のある役者から、ライジングスターと言われ今後の活躍が期待される新人まで、幅広く所属している。
彼が一段ずつ階段を上り、着実な実績を残して、ミュージカルを愛し真剣に向き合ってきたからこそ、集まって来たメンバーなのかもしれない。
人気アイドルからミュージカル界に飛び込み、勇敢に逆風へと立ち向かった結果、成功を収めたキム・ジュンス。
事務所の代表として新たにスタートを切った彼が、また何か偉業を成し遂げてくれるのではないかと、ついつい期待してしまいそうだ。
(構成:西谷瀬里)
JYJ
2010年、東方神起のメンバーであったキム・ジュンス、キム・ジェジュン、パク・ユチョンの3人により結成されデビューした。
グループ名は3人のメンバー、ジェジュン(Jaejoong)、ユチョン(Yuchun)、ジュンス(Junsu)の英語名頭文字をとってつけられた。
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