韓国に住む女性にとって憂鬱なイベントとして知られている”名節”。俳優コン・ユ主演の映画『82年生まれ、キム・ジヨン』では、既婚女性たちが感じる名節の苦痛をリアルに表現しているシーンがあり、韓国で涙する女性が多かったと言われている。

*この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。

“今、韓国国内で名節のストレスが深刻だ‥”

名節というのは、伝統的な祭日のことであり、韓国では旧暦の1月1日の”旧正月”と、8月15日の”秋夕(チュソク)”が二大名節と言われている。ちょうど今年は10月1日が旧暦の8月15日に当たるため、現在韓国は秋夕連休の真っ只中だ。

映画『82年生まれキムジヨン』名節のシーン

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』名節のシーン(画像出典:SK B tv Youtube capture)

“名節”は、韓国に住む女性にとって、非常に憂鬱なイベントとして知られている。既婚者ならば大抵は夫の実家に帰省することが習わしとされており、妻たちは姑とともに名節で食べる料理の買い出しから料理作り、後片付けをこなす。

近年では、名節が嫌でたまらないという女性が増えており、名節になると頭痛が生じたり、体調不良を訴える人々が多く、韓国ではこのようなストレス症状を”名節症候群”と呼んでいる。

このように、韓国の女性たちを苦しめる”名節”。まさにその様子が見られる作品がある。2019年に韓国で公開された映画『82年生まれ、キム・ジヨン』だ。

韓国女性が涙した『82年生まれキムジヨン』名節のシーン

韓国女性が涙した『82年生まれ、キム・ジヨン』名節のシーン(画像出典:SK B tv Youtube capture)

名節を迎え、大荷物を抱えて釜山(プサン)に帰省したジヨン(チョン・ユミ扮)は、姑とともに20人分をも越える料理を作る。苦労している妻を痛ましく思うデヒョン(コン・ユ扮)が皿洗いをしようとすると、姑はジヨンに向かって「あなたはいい旦那を掴まえたわね」と称賛なのか嫌味なのかよく分からない言葉を発する。

翌朝、祭事を行い朝食の後片づけをしているジヨンに、デヒョンが「荷物をまとめたから早く君の実家に行こう」と目配せをするが、デヒョンの妹家族たちがやってくる。台所にいるジヨンの手伝いをしようとデヒョンの妹立ち上がろうとすると、姑は「あなたは座ってなさい」と話し、ジヨンに対して「ジヨン! あなたも疲れているなら向こうの部屋に行って休んでいなさい」と声を掛ける。

この時ジヨンはもどかしさが爆発し「お義母さん。休んでほしいと思うなら自宅に帰らせてくださいよ。お義母さんも名節に自身の娘に会ったから嬉しいでしょう。私も娘に会いたいんです」と、ジヨンにジヨンの実母が憑依されたシーンだ。

コンユ、チョンユミ主演『82年生まれキムジヨン』

コン・ユ、チョン・ユミ主演『82年生まれ、キム・ジヨン』(画像出典:NAVER MOVIE『82年生まれ、キム・ジヨン』HP)

結婚し、娘を出産したキム・ジヨンは、ある日突然、自身の母親や友人の人格が憑依したかのような異常な行動をとるようになる。『82年生まれ、キム・ジヨン』の物語の中では、学生時代、受験、就職、結婚、育児と、彼女の人生を振り返りながら、女性の人生に立ちはだかる困難や差別を克明に描き出している。

特に、名節のシーンを見た女性たちは、名節ごとに祭事と数十人の親戚たちに振る舞いをしなければならない大変さを思い出して涙を流したと言われており、現代社会に残る”名節”が、どれほど女性たちにとって大きなストレスなのかということが分かる。

K-POPグループBTS(防弾少年団)のRMや、Red Velvetのアイリーン、少女時代のスヨンなども小説を読んで言及するほど、社会現象となった『82年生まれ、キム・ジヨン』。主人公ジヨンの精神を崩壊させた、男尊女卑の風習が根強く残る韓国社会の構造をリアルに描き出した同作は、日本で生活している我々にも当事者性を感じさせる部分が多々盛り込まれているように思う。

『82年生まれ、キム・ジヨン』は、10月9日(土)から日本全国の映画館で公開される予定で、今秋最大の話題作になるに違いないと予想される。



コン・ユ

マネジメントSOOP所属の俳優コン・ユ(ハングル 공유)。1979年7月10日生まれ。

“コン・ユ”という芸名は両親の苗字から付けられたもので、本名は、コン・ジチョル。

2000年、Mnet VJ 7期として芸能界にデビューしたコン・ユは、2001年KBSドラマ『学校4』を通じて演技者としてデビュー。

2007年、日本でも人気を博したドラマ『コーヒープリンス1号店』が大ヒットし、この年MBC演技大賞で優秀賞を受賞。当ドラマは、コン・ユの出世作となった。

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