- 2月28日に初回放送を迎えた『予期せぬ相続者』(Disney+)が熱い視線を浴びている。
- “財閥”をメインに、“経営継承”と“私生児”という韓国ドラマ3大定番ネタを盛り込んだストーリーが観る者を虜にしているようだ。
- 長きに渡り愛されている鉄板ネタ3つを、代表例を交えながらその魅力を韓ドラ初心者にお伝えする。
『予期せぬ相続者』が2月28日、Disney+で配信がスタートした。
財閥家の王座を手に入れるために奮闘する若者たちを描いた犯罪サスペンスだ。
イ・ジェウク主演作品とあってすでに熱い視線を浴びているが、どうやら理由はそれだけではないよう。
韓国ドラマにおけるポイントゲッター的存在の“財閥”をメインに、それをさらに盛り上げる“経営継承”や“私生児”という素材が観る者を虜にしている。
韓ドラ界ではすでに使い古されたネタで、複数の作品を観てきたドラマファンなら先の展開がある程度読めるケースも。
しかしいまだ鉄板ネタとして幅を利かせているこの3つ。いつの時代も大衆を惹きつけてやまない魅力があるようだ。
事実、先に挙げた『予期せぬ相続者』をはじめ、『財閥X刑事』(SBS)や『ウエディング・インポッシブル』(tvN)、『涙の女王』(tvN)、『ドクタースランプ』(JTBC)など、現在放送&配信中の作品にも“財閥”が登場。
そしてそれと密接に関係する残り2要素、“経営継承”と“私生児”がそれぞれ盛り込まれている作品も。
そこで本記事では、長きに渡って多くの人を魅了し続けている韓国ドラマの3大定番ネタを、韓ドラ初心者に紹介する。
財閥
まず1つ目は、“財閥”。家族経営が多く系列会社を複数抱え、韓国の経済を支えているというよりは独占しているといった方が適当な企業集団として描かれることが多い韓国ドラマに欠かせない存在だ。
ヒットの方程式と言っても過言ではない財閥は、富と権力を持った人たちが、それをどのように使用するのかによって物語の様相が異なる。
例えばロマンスものの場合、王子様のようなキャラクターの財閥御曹司が登場して遊園地を貸切るなど、ロマンチックなラブストーリーを繰り広げるのがお決まりだ。
しかしサスペンスやミステリー、法廷ものになると一変。多くの場合、警察や政治家との癒着が描かれたり、権力を振りかざして自分の都合のいいように人を動かしたり、時には殺人を犯すことも。
一言でいえば“やりたい放題”。治外法権が存在するのではないかと思うほどの振る舞いを繰り返し、ドロドロとした悪事の数々が物語をよりドラマチックにする。そしてその過程では、時代劇でよく見るような一般市民との身分格差が、弱者と強者という面白い構造を生み出す。
また終盤では、絶対的存在として社会を操っていた財閥の悪行が明るみになることも。視聴者は抜群の爽快感を味わうことになる。
2022年のヒット作『財閥家の末息子〜Reborn Rich〜』(JTBC/2022)がまさにその代表例。財閥家のいろいろがギュッと凝縮された1作となっている。
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経営継承
2つ目は、“経営継承”。財閥が題材として各作品で扱われる以上、切っても切り離せないネタだ。世襲制をとっていることから、必然的に兄弟姉妹感の争いが描かれる。
例えば、昨年話題を呼んだ『キング・ザ・ランド』(JTBC/2023)はロマンチックコメディジャンルのドラマだったが、主人公が財閥の御曹司で姉から敵対視され対立する様がスパイス的に用いられていた。
また昨年Netflix(ネットフリックス)で配信されると、瞬く間に注目を浴びた『優雅な一族』(MBN/2019)は後継者争いの極み。
本性むき出しの家族間のいがみ合いや、相手を蹴落として自分が経営権を手に入れようとする様は壮絶。韓国ドラマ独特の嫌味も視聴ポイントの1つとなっており、強烈な一言を浴びせられた側の悔しそうな表情は見もので、次にどのような方法で反撃をしてくるのか、視聴者はついつい期待してしまうはず。
これに加えよくあるのが、後継者争いの真の目的が、父親に認められたいという欲求に起因するものであったというパターンだ。
兄弟のうち誰か1人がこれに当てはまるケースが多く、幼い頃から能力を比較されて育ってきたことが影響し、大人になってからも愛情に飢えているさみしいキャラクター。
心に空いた穴を埋めるため、言動がエスカレートすることや、誰かそばでそっと支えてくれる人に出会うことも。
財閥ものに欠かせないおまけのようについてくるネタだ。
私生児
3つ目は、“私生児”。財閥もの以外にも登場する設定で韓ドラお決まりのネタだが、財閥と組み合わさることでより複雑な人間関係を生み出し、一気に形勢逆転して大どんでん返しを起こすことも。
特に前出の“経営継承”が絡み、ノーマークだった登場人物がダークホースになるなど、観る者の興奮を誘発させる材料として用いられることもしばしばだ。
またそもそも、私生児を隠し子にするのではなく家族として迎え入れ、本妻及びその子どもと同居するケースも少なくない。もちろん私生児を、後継者候補の1人として有力視している場合もある。
父親に悪びれる様子はなく堂々たる態度で、王に側室がいるのが当たり前であるかのような世界観が繰り広げられ、奇妙な財閥一家の様子が描かれる。
極めつけは、浮気相手の女性も同じ屋根の下に住んでいることもあるという点。正妻とのバトルをはじめ腹違いの兄弟のいがみ合いは避けられず、経営権を巡ってさらに対立を深めるケースがある。
“財閥”をメインに、そこから派生して世襲制が生む弊害や、私生児まで登場する物語は見どころが盛りだくさん。現代劇でありながら王がいた時代を彷彿とさせるアンバランスさが魅力となり、多くのドラマファンを楽しませているのかもしれない。
どの作品から見始めたらよいか迷っている韓ドラ初心者は、“財閥”をキーワードの1つに入れて検索すると、見応えのある王道の韓国ドラマにきっと巡り合えるだろう。
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