- 韓国ドラマ界に、1948年~1980年代の激動の時代を背景にした“セミ時代劇”が新たな風をもたらすかもしれない。
- 日本の“昭和”を彷彿とさせる活気があり、人々が最も生き生きとしていた頃の物語だ。
- 本記事では過去の作品を振り返り、『オアシス』や『京城クリーチャー』など新作ドラマを紹介する。
今後韓国ドラマの人気を牽引するのは、“セミ時代劇”かもしれない。
韓服を着た人が主な登場人物である“時代劇”ではなく、韓国の歴史の中でも比較的最近のもの。
日本統治時代を経て独立した1948年から、激動の時代を送った1980年代までを背景にした作品だ。
1950年から約3年間続いた朝鮮戦争をはじめ、戦後の混乱、1960年から始まった軍事政権など、国民が政治や生活に不安を抱えながらも、たくましく生きなんとか這い上がろうとしていた頃。
デモや民主化運動が盛んで警察の横暴が目立ち、中には拷問を受けるようなこともあったが、街は活気に満ち、人々が最も生き生きしていたと言われる時代を描いている。
覚えているだろうか、日本にもそんな頃があった。古き良き時代と言われる昭和だ。
スタートした時期や期間に若干の違いはあるものの、韓国とほぼ同時期に高度経済成長期を迎え、当時学生運動が活発で歴史に残る大規模デモなどもこの頃に起こっており、国民はエネルギーに満ちあふれていた。両者にはどこか似たような風情や情緒が。
そんな時代を生きた人なら共感する部分が多く、若者にとっては青春が持つ情熱を感じられる“セミ時代劇”。韓ドラファンに注目してもらいたいジャンルだ。
すでにこれまでも好評を得ており、最近ではチョン・ヘインとジス(BLACKPINK)が主演を務めた『スノードロップ』(邦題/JTBC/2021)が、民主化運動の盛んだった1980年代を舞台にしていた。
加えて、若手有望株と言われているイ・ドヒョン&コ・ミンシ主演の『五月の青春』(KBS2/2021)は、1980年5月に多くの犠牲者を出したことで有名な光州民主化運動を背景にしたロマンス作品。
また、無線機を通じて現在と過去が繋がるストーリーで好評を得た『シグナル』(tvN/2016)では、主人公イ・ジェハン(チョ・ジヌン扮)のいる時代が1989年だった。
韓ドラ史に残る名作『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』(tvN/2015)は、韓国で初めてオリンピックが開催され、国中が活気に溢れていた1988年に生きた若者の姿を描き、ノスタルジックな雰囲気が支持を得た。
そして現在は、1980年代~1990年代を背景にしたロマンスドラマ『オアシス』(KBS2)が韓国で放送中。激変の時代に、夢や友情、初恋を守るために身を投げうった若者の姿が描かれている。
また、パク・ソジュン&ハン・ソヒの共演が話題の『京城クリーチャー』(Netflix)も今年のラインナップで配信を控えており、生きることが最優先だった1945年、2人の男女が怪物に立ち向かうファンタジースリラーだ。
2025年にはパク・ボゴムとIUが主演を務める『本当にお疲れさまでした』(Netflix)が放送される予定。1950年代に済州(チェジュ)で生まれた反抗者のエスン(IU扮)と、芯の強いグァンシク(パク・ボゴム扮)の冒険に満ちた生涯を描いた物語だ。
その他、放送日は発表されていないものの、『サムシクおじさん』もお茶の間を楽しませることが期待されている。銀幕のスターとして活躍してきた韓国が誇る名俳優ソン・ガンホのドラマ初出演作品だ。
1960年代初頭、激動期を生きてきたサムシクおじさん(ソン・ガンホ扮)とキム・サン(ピョン・ヨハン扮)の熱い欲望とブロマンスを描いているという。
ロマンスやミステリーなど様々な作品がドラマファンを楽しませてきたが、次に来るのは韓国激動の時代を描いた“セミ時代劇”かもしれない。
現在放送中の『オアシス』
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