tvN(Netflix)『還魂』の好評を受け、台本を担当した人気脚本家ホン姉妹の『ビッグ ~愛は奇跡〈ミラクル〉~(2012/KBS2)』が再注目されている。『還魂』と一部共通する要素があり、「話題作だったのでは?」と思われるが惜しくも残念な結果に。本記事では、その理由を紹介してみる。

韓国の人気脚本家、ホン姉妹(ホン・ジョンウン、ホン・ミラン)が書き下ろしたtvN(Netflix配信)ドラマ『還魂』。

tvNドラマ『還魂』の台本は、韓国の人気脚本家、ホン姉妹が手掛けた

韓国の人気脚本家、ホン姉妹が台本を手掛けたtvNドラマ『還魂』。(画像出典:tvN)

魂を交換する“還魂術”によって運命がねじれた主人公たちが、これを克服し成長していくファンタジーロマンスで、独特な素材と世界観が視聴者を魅了し、現在口コミで人気が広がっている。

そんな中、本作同様に“魂の入れ替わり”を素材にしたホン姉妹の過去の執筆作品が、再注目されている。

今から約10年前に放送された、『ビッグ ~愛は奇跡〈ミラクル〉~(2012/KBS2)』だ。

『ビッグ ~愛は奇跡〈ミラクル〉~(2012/KBS2)』は、ホン姉妹が台本を担当し、約10年前に放送された

ホン姉妹が台本を担当し、約10年前に放送された『ビッグ ~愛は奇跡〈ミラクル〉~(2012/KBS2)』。(画像出典:KBSドラマ)

『コーヒープリンス1号店(2007/MBC)』でブレイクした俳優コン・ユの5年ぶりのドラマ出演作で、除隊後初めてお茶の間に登場するという点も相まって、大きな期待が寄せられていた。

ドラマ『コーヒープリンス1号店(2007/MBC)』で、ブレイクした俳優のコン・ユ。

俳優のコン・ユがブレイクしたドラマ『コーヒープリンス1号店(2007/MBC)』。(画像出典:MBC)

また、『美男ですね(SBS/2009)』や『僕の彼女は九尾狐(2010/SBS)』をはじめとする、数々のヒット作を生み出したホン姉妹が脚本を担当した点や、人気アイドルグループmiss A(ミスエイ)のメンバーとしても活動していたスジがキャストに名を連ねた点など、話題性は抜群だった。

『美男ですね(SBS/2009)』(上)と『僕の彼女は九尾狐(2010/SBS)』は、ホン姉妹の執筆作品。

ホン姉妹の執筆作品、『美男ですね(SBS/2009)』(上)と、『僕の彼女は九尾狐(2010/SBS)』(下)(画像出典:SBS)

しかし蓋を開けてみると、制作者側の期待とは裏腹に視聴率は低迷、視聴者からはよい評価を得られないまま最終回を迎えてしまう。

ヒットを予感させる要素が揃っていたにもかかわらず、残念な結果に終わったのはなぜだろうか。

その理由の1つは、視聴者の反応を見て台本の内容を変更するという、言うなれば、韓国ドラマの“慢性病”にあったとされている。

最近はあまり見られなくなってきたが以前は、視聴者の多くがハッピーエンドを望めば、病死するはずだったヒロインが急に完治したり、結ばれる予定でなかった男女が恋人になったりと、都度台本を変えることが多かった。

このため、それまでの話の流れに若干の違和感が生じているドラマがいくつか存在する。

そんな作品の1つがまさに、『ビッグ ~愛は奇跡〈ミラクル〉~(2012/KBS2)』だったのだ。

事実、第4話の最後に流れた予告編のシーンが、第5話では放送されないというハプニングや、急に1年後に話が飛ぶといったようなストーリーの急展開が続いた。

それに輪をかけて、見る者の解釈に任せたというよりは中途半端なエンディングを迎え、ホン姉妹は韓国メディアや視聴者から酷評を受けてしまう。

視聴率アップを狙い台本を臨機応変に変更したことが、結果的にはドラマの足を引っ張ってしまったようだ。

当初、ホン姉妹が描いていたストーリーは一体どのようなものであったのだろうか。

現在、『還魂』が人気を博しているだけに気になるところだ。

(構成:西谷瀬里)




コン・ユ

マネジメントSOOP所属の俳優コン・ユ(ハングル 공유)。1979年7月10日生まれ。

“コン・ユ”という芸名は両親の苗字から付けられたもので、本名は、コン・ジチョル。

2000年、Mnet VJ 7期として芸能界にデビューしたコン・ユは、2001年KBSドラマ『学校4』を通じて演技者としてデビュー。

2007年、日本でも人気を博したドラマ『コーヒープリンス1号店』が大ヒットし、この年MBC演技大賞で優秀賞を受賞。当ドラマは、コン・ユの出世作となった。

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