俳優のコン・ユが主演を務めるNetflixオリジナルシリーズ『静かなる海』が、世界ランキング4位(TVプログラム部門)に浮上。輝かしい記録に喜びの声が聞かれる一方で、憂いのため息も届いているそうだ。その理由は、Kドラマ界に起きている”イカゲームバブル”なる現象だという。
俳優のコン・ユが約5年ぶりにドラマ復帰を果たした、Netflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『静かなる海』。
今月24日に公開された本作は、世界Netflixテレビショー部門で4位にランクインするほど熱い人気を見せている。
世界ランキング4位でも、制作会社の株価は下落
だが、韓国の株式市場ではこの真逆を行くような状況を見せているという。
『静かなる海』を制作したWYSIWYG Studiosの株価が下落したのをはじめ、関連株が軒並み急落。このことで、個人投資家の間では不満の声が上がっているそうだ。
WYSIWYG Studiosが『静かなる海』の関連銘柄に浮上したのは、イ・ジョンジェとチョン・ウソンが設立したコンテンツ制作会社で、『静かなる海』の共同制作をした”アーティストスタジオ”と買収合併したことから。
このことでWYSIWYG Studiosの株価も高騰したのだが、ドラマ公開後、ネットユーザーやメディアの評価が期待に及ばず、この失望感が株価に反映されたものと見られる。
韓国では『静かなる海』が公開されると、「核心コンセプトを説明するのに3時間も割いている」、「ストーリー展開のスピードが遅い」といった声が見られ、途中で離脱してしまう視聴者も少なくはなかったそうだ。
また、ある韓国メディアからは「『静かなる海』は、見る人をそのまま”静かなる海”に陥れる」との皮肉の声も届けられてしまった。
(関連記事) Netflix コン・ユ 新作『静かなる海』好調な韓国ドラマの急ブレーキになる?
ヒットの基準は『イカゲーム』!? “イカゲームバブル”が起こっているKドラマ界
このような厳しい声が聞かれるのも、これ以前に公開された『イカゲーム』がヒットの基準になってしまったためと見られている。
日本でも連日、ランキングのトップを飾っていた『イカゲーム』。
公開されるやいなや世界中を熱狂の渦に巻き込み、世界90カ国で1位を記録する大ヒットとなった。これは驚異的な記録であり、韓国ドラマ史上最高とも言える快挙であろう。
その後、『イカゲーム』続き、『マイネーム: 偽りと復讐』、『地獄が呼んでいる』も公開と同時にNetflixグローバルランキングで1位を記録し、さらに勢いに乗った”Kドラマ”。
続けざまにスマッシュヒットを放ったことで、韓国では”Kドラマ”成功のボーダーラインを『イカゲーム』基準で見るようになってしまった。
『イカゲーム』と同じくらいの人気を得ることが、”Kドラマ”のスタンダードという見方が強まり、まさに”イカゲームバブル”と言えるような状況に陥っている。
『静かなる海』が今回、ランキング4位(TVプログラム部門)に輝いたことは成功を収めたと見ていいだろう。だが、それが輝かしい成績だったとしても『イカゲーム』よりも劣るとなれば、憂いの視線を投げかける対象となってしまう。
“イカゲームバブル”になっている今、『静かなる海』の成績は制作会社の株価にまで影響を及ぼし、今回のようなため息をつかれる状況を招いてしまった。
世界のドラマファンからは高評価も
このような反応を受けながらも、『静かなる海』はじわじわと人気を集めている。
このドラマは、必須資源の枯渇によって荒廃した近未来の地球を背景に、特殊任務を受けて月に捨てられた研究基地に向かった精鋭隊員たちの物語だ。
コン・ユ、ペ・ドゥナをはじめ、イ・ジュン、キム・ソニョン、イ・ムセン、イ・ソンウクら実力派俳優たちの好演と宇宙という神秘的な背景は、ゆっくりしたストーリーテリングに没入感をもたらせている。さらに、息を呑むような映像美に見入ってしまう視聴者は多い。
ストーリー展開のテンポが遅いと言われているが、第3話からは独特のサスペンス性で盛り上がりを見せていくと見られ、視聴者を一気に引き込ませるという好評も。
ひと息つける年末年始に、一気見するには最適な作品でもあるようだ。
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