韓国ドラマと言えば、胸キュンや愛憎劇、主人公がセレブの世界に足を踏み入れるサクセスストーリーなど、王道の筋書きを想像してしまい、いまいち何から手を付ければよいのかわからない‥。そんな日本男性に、ぜひとも韓国映画の魅力を知ってほしい! ここではそんな思いを込めて、いくつかの作品を紹介する。
“韓国映画”のイメージを”韓流ドラマ”と混同している人も少なくないのではないだろうか。
韓ドラと言えば胸キュンや愛憎劇、主人公がセレブの世界に足を踏み入れるサクセスストーリーなど、王道の筋書きを想像してしまい、食傷気味だという方もいるだろう。
やや非現実的な展開こそが醍醐味の韓ドラは、多くの女性ファンの心を掴んでいる一方で、日本の男性はなかなか波に乗り切れない印象がある。
もちろん韓ドラ好きの男性もいるだろうが、韓国メディアコンテンツの中には”映画”という、強力なコンテンツがあることを忘れてはならない。
韓国映画は、ドラマとは一線を画す本格的なエンターテインメントとして、近年独自のポジションを確立し始めている。
今回は、韓ドラ鑑賞やK-POPに親しみが無い男性にも(もちろん女性にも)楽しめるコンテンツとして、韓国映画の魅力を紹介したい。
日本の男性に伝えたい韓国映画の魅力
韓国は、国を挙げてエンターテインメントに力を入れ、世界に通用するハイレベルなコンテンツ制作に長年力を入れてきたことを知る人も多いだろう。
1999年、ブロックバスター映画として韓国史上初の大ヒットを記録した『シュリ』は、韓国が北朝鮮との分断国家であるという歴史的背景をベースに、スパイアクションとラブストーリーを掛け合わせた唯一無二のドラマティックな内容で一躍世界から注目を浴びた。
韓国という小さな国が、ハリウッド映画に引けを取らないスケールで大作が制作できるなど、当時は多くの人が予想していなかったのである。
以来、2000年代以降、南北の兵士の禁断の交流をサスペンス調で描いた『JSA(2000)』を筆頭に、アカデミー賞受賞で一躍時の人となったポン・ジュノ監督の代表作『殺人の追憶(2003)』、朝鮮戦争に翻弄された兄弟の絆を描いた『ブラザーフッド(2004)』、サイコサスペンスの傑作『チェイサー(2008)』、人気俳優ウォンビンの新境地開拓となったアクション大作『アジョシ(2010)』など、ハードな世界観や社会の闇を続々と映画に落とし込み、ハイレベルなヒット作を生み出すまでに飛躍する。
前置きが長くなったが、その間の日本映画に目を向けると、大作の減少と反比例するかのように人気コミックの実写化や、ヒットドラマの映画化が増加するなど、”映画”というオリジナルの精巧な脚本や役者の演技力を十分に堪能できる作品が、少なくなっていったように思える。
特に2010年以降は、主に女性にターゲットを絞ったいわゆる”胸キュン系”の作品群が増え、骨太で重厚な作品を期待する映画ファンは、どこか置いてけぼり感が否めない。つまり韓国映画は、比較的男性が好むハードな世界観を題材に、ハイレベルな作品を生み出す鍵となっている一方で、近年の日本映画は、女性や若者に向けたライトな作品がスタンダードになりつつあり、双方のヒットの条件が異なっている状況だ。
世界で唯一の分断国家、韓国が持つコンテンツ力
もちろんライトな日本映画にも傑作はあるが、韓国映画は幅広いジャンルで、世代を超えて人を魅了する作品が生み出され続けている。
先述の通り、朝鮮半島は世界で唯一の分断国家であり、北朝鮮と韓国の間には境界線が引かれている。
そして韓国映画界は、この”分断国家”という性質をを存分に活かしたスパイアクションや戦争映画、ヒューマンミステリーなど、上質な作品を多く発信してきた。
日本に比べ、権力がモノを言う競争社会のブラックサイドを描いた作品も多く、警察や政治家などの権力者の汚職を描いた社会派系作品(実際の事件を題材にすることもしばしば)や、罪なき者たちが権力に立ち向かう法廷ドラマなども続々と登場した。
2010年以降を見ると、『トガニ 幼き瞳の告発(2011)』『新しき世界(2013)』『シークレット・ミッション(2013)』『国際市場で会いましょう(2014)』『ベテラン(2015)』『コンフィデンシャル 共助(2016)』など、韓国の複雑な社会構造を見事にエンターテインメントへと昇華させたビッグヒットが生み出されている。
その重厚な内容から、「韓国映画は、グロテスクで残酷な内容が多い」と評されることもあるが、華やかで胸キュンな世界観はドラマが担い、社会に一石を投じる深いテーマは、映画が担っているようにも感じる。
俳優陣の高い演技力
そして、こうした映画作品の質の高さを支えているのは、魅力的かつ演技力の高い俳優たちの存在だ。
韓国では、ドラマ出演を登竜門としてスターダムに上がった後は、映画を活動拠点に置く俳優も少なくない。ドラマを主戦場に活躍する俳優ももちろんいるが、ハードなシーンや極限の感情表現が求められる韓国映画界で評価されることは、役者冥利に尽きるであろう。
その証拠に『パラサイト 半地下の家族(2019)』の世界的ヒットをきっかけに、韓国映画のクオリティーと韓国俳優たちは、世界から注目を集め始めている。
別の作品では全く異なる役柄、表情を見せる芸達者な俳優が多く、お気に入りの俳優を追いかけていくのも韓国映画鑑賞の楽しみの一つだ。若手からベテランまで、彼・彼女たちが映画の中で見せる挑戦的な表現には、徹底した役作りの成果を感じ取ることができる。
話は戻り、最近日本の作品は「ドラマも映画も、似たような作品ばかりで見たいものがない」かと言って「韓国ドラマに手を出すにはためらいがある‥」という状況の男性は少なくないだろう。
特に、見ごたえのある作品を求める映画好きな男性は、日本のメディアコンテンツにハマりきれていないかも知れない。
そんな人こそ、ぜひ一度韓国映画に触れてみて欲しい。そのジャンルの広さ、俳優陣の体当たり演技、壮絶な展開と精巧なストーリーに満足できる作品に、きっと出会えるだろう。
近年は、Netflix(ネットフリックス)オリジナルドラマにおいても、10話未満のコンパクトでハイレベルなドラマが増え、映画に近い空気感の作品も登場して話題を呼んでいる。次なるステップとして、韓国のメディアコンテンツに手を広げてみようと思う人がいたら、韓国映画に触れて、その深みにはまって欲しいものである。
ミステリアスで親しみを感じてしまう韓国映画
とは言え『パラサイト 半地下の家族』はとりあえず見たけれど、後が続かなかった、という方もいるだろう。
そんな方たちには、『タクシードライバー 約束は海を越えて(2017)』『神と共に 第1章・第2章(2018・2019)』『エクストリーム・ジョブ(2019)』など、バラエティーに富んだヒット作をおススメしたい。
tvNドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~(邦題/2016)』で、世代を問わず多くの日本女性の心を掴んだ俳優、コン・ユの主演作『新感染 ファイナルエクスプレス(2016)』は、”Kゾンビ”と呼ばれる新ジャンルを打ち出し話題を呼んでいる。
バラエティーに富んだ、韓国映画の数々に触れていくうちに、距離は近いのにミステリアス、けれどどこか親しみを感じる韓国について、もっと知りたくなると同時に、映画鑑賞の幅がより一層広がるだろう。
コン・ユ
マネジメントSOOP所属の俳優コン・ユ(ハングル 공유)。1979年7月10日生まれ。
“コン・ユ”という芸名は両親の苗字から付けられたもので、本名は、コン・ジチョル。
2000年、Mnet VJ 7期として芸能界にデビューしたコン・ユは、2001年KBSドラマ『学校4』を通じて演技者としてデビュー。
2007年、日本でも人気を博したドラマ『コーヒープリンス1号店』が大ヒットし、この年MBC演技大賞で優秀賞を受賞。当ドラマは、コン・ユの出世作となった。
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