ドラマや映画のキャスティングは、オーディションや監督、制作陣からの指名、スポンサーの意向など‥様々なケースにより決定する。最近では、ウェブ漫画原作の作品も増え、漫画愛読者が選んだ仮想キャストがそのまま使われることも。

2004年に放送されたドラマKBS『ごめん、愛してる』とSBS『ラブストーリー・イン・ハーバード』。両ドラマとも、当時の月火同時間帯に放送されたライバルドラマとして盛り上がりを見せていたが、この2つのドラマには、意外な共通点があった。それは女主(女性主人公)のキャスティングが難航したことだ。

KBS『ごめん、愛してる』

『ごめん、愛してる』

『ごめん、愛してる』(画像出典:KBS)

主人公のソン・ウンチェを演じたのは、女優のイム・スジョン。『ごめん、愛してる』は、主演俳優のソ・ジソブとともにイム・スジョンにとっても代表作のドラマだ。

女優イム・スジョン

主人公ソン・ウンチェを演じた女優イム・スジョン(画像出典:SBS)

オーストラリアへ養子に出され、その里親にも捨てられた孤独な男性チャ・ムヒョク(ソ・ジソブ)は、観光客から金品を奪うチンピラとして過ごしていた。ある日、ムヒョクは荷物を奪われ途方に暮れているソン・ウンチェ(イム・スジョン)と出会い、2人の運命が動き始める‥。

実は元々、主演のキャスティング候補にはソ・ジソプとイム・スジョンは入っていなかったそうだ。主人公のチャ・ムヒョク役はイ・ドンゴン、ソン・ウンチェ役はキム・ヒソンが有力視されていたという。

イム・スジョンは、2003年に公開された映画『箪笥』の演技が評価され期待の新人ではあったが、当時はまだ認知度が低かったため『ごめん、愛してる』のキャスティングではKBS側から「イム・スジョンは無名の俳優だ」と反対の声が大きかったそうだ。

映画『箪笥』

映画『箪笥』ポスター(画像出典:movie.naver)

しかしドラマ放送終了後「ウンチェ役はイム・スジョンしかいない」と言われるほど、イム・スジョンの人気とともにドラマも大ヒット。最高視聴率29.2%を記録し、”ミサ廃人”という熱狂的なファンを生みだすまでに。当時、女性たちの間で大流行したウンチェの髪型(シャギーカット)、ウンチェが着ていたレインボーニットの洋服、UGG(アグ)のブーツは完売する店が続出した。

*ミサ廃人:韓国タイトル名『미안하다 사랑한다(ミアナダ、サランハンダ)』の頭文字をとって”미사(ミサ)”。

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SBS『ラブストーリー・イン・ハーバード』

『ラブストーリー・イン・ハーバード』

『ラブストーリー・イン・ハーバード』(画像出典:SBS)

視聴率では『ごめん、愛してる』に叶わなかったが、実は最終回の視聴率が20%を超えるほど『ラブストーリー・イン・ハーバード』は人気ドラマだった。ストーリー的に話題性では少し劣る作品だが、隠れた名作ドラマの1つである。

主人公キム・ヒョヌ(キム・レウォン)は、ソウル大学で法律を学び、ハーバード大学のロースクールへ留学。そこで同じ大学のメディカルスクール3年生イ・スインと出会う。様々な困難を乗り越えながら、2人は次第に惹かれあうのだが‥。

主人公のイ・スインを演じたのは女優のキム・テヒ。彼女は日本でいう東京大学に値する韓国ソウル大学出身の才色兼備な女優として有名だ。

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キム・テヒ

主人公イ・スインを演じた女優キム・テヒ(画像出典:SBS)

主演をキャスティングする際、ハーバード大学の学生という設定のため、英語の実力もある知的なイメージの俳優を選ぶ必要があり、ドラマの制作が遅れたという噂があった。

最終的にキム・レウォンとキム・テヒが配役されたが、2人ともネイティブスピーカーではなかったため、英語のセリフを覚えることに苦労したそうだ。特にキム・テヒが演じたイ・スインは、アメリカ移民出身という設定だったため、他の出演者に比べて英語の実力がさらに優れていなければならなかった。しかし劇中では、そんな苦労がわからないほど、2人とも流暢な英語を披露している。

また韓国ドラマではよくあることだが、視聴者からの意見で結末がバッドエンドからハッピーエンドに変わったドラマの1つだ。

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