上品で柔らかいカリスマ性のある”ジェントルマン・イメージ”を持ち、ドラマや映画を通じて上質なラブストーリーを世に送り出してきた俳優のイ・ギョンヨン。幅のある演技力で多くの人々を魅了していた彼だが、ある事件により芸能界から姿を消すことに‥。その後、再起を果たした彼の新しいステージは、これまでと真逆である”悪役”だった。
イケオジ、ちょい悪オヤジといった渋めの不良がかった雰囲気を持ち、劇中の重鎮として活躍する俳優のイ・ギョンヨン。
グループ会社のトップ、裏で権力を握る影の実力者、ドラマのラスボスなど、あらゆるタイプの”悪役”を演じ、老若男女から多くの人気を得ている。
最近では、ドラマ『夫婦の世界』で不倫女性の父親に扮し、地元権力者に太いパイプを持ち、逆らうものには容赦ない事業家を荒々しく演じた。
また、キム・ヘスとチュ・ジフン主演の『ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-』では、法曹界の大統領と呼ばれ、法曹界だけでなく政界にも強大な影響力を持つキャラクターに扮し、ストーリーに緊張感とともに箔を付けていた。
恐ろしく、そして憎々しいまでの悪役を演じるイ・ギョンヨンは、現在の韓国ドラマになくてはならない存在だ。
成功した演技派俳優
1987年、映画『燕山日記』で俳優人生をスタートしたイ・ギョンヨンは、1990年代半ばまで映画界でパク・チュンフン、アン・ソンギ、チェ・ミンスらと共に”*チュンムロ4大俳優”と呼ばれ、成功した俳優のうちの1人だった。
*チュンムロ:忠武路、過去映画製作所が多くて韓国映画のメッカと呼ばれた街。
上品で柔らかいカリスマ性を持ったイ・ギョンヨンは、メロドラマの分野できめ細やかな感情線を強調する演技に特化し、ヒロインと恋に落ちる素敵な男性役を多く演じて主婦層の人気を独占していた。
さらに、このような優男な役どころに留まらず、むしろ広い演技の幅を誇ったイ・ギョンヨン。
1994年にムン・ソングンと共演した『セサン・パクロ 外の世界へ』という映画では、脱獄囚という設定らしく、終始セリフに悪欲が飛び交う破格的な役割を演じ、さらにコメディー作品にも出演するなど、多ジャンルにおいて活躍を見せた。
演技変身に対して常に厳しい要求を強いられていたにも関わらず、常に合格ラインの演技を披露する彼は、実力と人気を兼ね備えた演技派俳優として位置付けられていた。
再起をかけた”悪役”への転身
俳優として絶頂期だった2002年、未成年者との援助交際容疑により起訴されたイ・ギョンヨン。
世間から多くの非難を受け、地上波テレビ局から出演禁止俳優という烙印を押されてしまった彼は、愛されていたお茶の間から姿を消すこととなってしまった。
その後、長い自粛期間を経て、スクリーンでの活動を再開。
これまでメロドラマのジャンルで長きに渡り活躍を見せていた彼だが、一転、カリスマ性のある悪役を引き受け、再起を図った。この選択はイ・ギョンヨンを知らない新世代にも深い印象を与えることとなった。
映画『折れた矢』で悪役に扮したのを筆頭に、同監督作である『南営洞1985~国家暴力、22日間の記録~』では凄惨な尋問をする拷問技師イ・ドゥハンを演じ、同時期に公開された『26年』や『ベルリン』でも印象深い演技を見せた。
さらに、渡部篤郎が主演を務めた日本映画『外事警察 その男に騙されるな』でも、カメオでありながら悪役である北朝鮮軍将校として出演を果たしている。
2013年には『テロ、ライブ』でハ・ジョンウと呼吸を合わせ、互いの技量が光る優れた演技を披露。その後、チャン・ジュナン監督の『ファイ 悪魔に育てられた少年』ではファイの実父であるイム・ヒョンテク役で出演し、可哀想な被害者役も演じてきた。
さらに、2014年と2015年にはわずか2年間で20本の作品に出演し、途方もない多作を演じている。
このように、以前から認められてきた演技力を基に多くの映画にキャスティングされ、地道に活動を続けてきたイ・ギョンヨン。
悪役という新境地を切り開き、持前の演技力で見事なまでに演じ切った彼は、これまで築いてきた”演技派俳優”というキャリアを取り戻している。
現在、韓国のドラマ、映画界において”悪役”として欠かせない存在とまで言われているイ・ギョンヨンの活躍は、今後もまだまだ続く。
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