BLACKPINKのジスとチョン・ヘインがダブル主演を務めている話題作『スノードロップ』。韓国国内で勃発した”歴史歪曲”議論の影響か、3%台の視聴率を記録するなど、その低迷ぶりが顕著だが、その不振の裏には、”歴史歪曲”議論の他に、ジスへの酷評もあるようで‥。
現在、OTTサービスのディズニープラス(Disney+)で世界一斉配信中の韓国ドラマ『スノードロップ(JTBC)』。

BLACKPINKジスとチョン・ヘインが主演を務める、JTBC『スノードロップ』(画像出典:JTBCドラマ)
本作は、K-POP界を代表する女性アイドルグループ、BLACKPINK(ブラックピンク)のメンバーのジスと、次世代韓流スターと呼び声の高い俳優、チョン・ヘインがダブル主演を務めており、放送開始前から大きな話題を集めていた。
しかし、韓国国内で勃発した”歴史歪曲”議論により、決して良いとは言えない滑り出しのまま、物語は中盤へと向かっている。韓国内では、テレビ局のJTBCで放送されており、3%台の視聴率を記録するなど、その低迷ぶりが顕著だ。
『スノードロップ』海外では順調な好成績
韓国国内の不振とは裏腹に、前出のディズニープラスでの成績を見ると、大ヒットとは言えないものの、順調な人気ぶりを見せている。
世界のVODチャートを公開するフリックスパトロール(flixpatrol)によると、1月4日『スノードロップ』は韓国内で、ディズニープラスが配信するコンテンツの中で1位を記録したという。これは、韓国内でも高い人気を誇る、マーベルオリジナルシリーズ『ホークアイ』に打ち勝った快挙とも言える。
韓国だけでなく、香港やシンガポール、台湾でも1位を記録。日本でも7位→3位と躍進ぶりを見せた。
アジアで高い人気を博している、ジスとチョン・ヘインというネームバリューが、海外における本作の人気を支えていると見られているが、ドラマを視聴した海外ファンのレビューを見ても、ドラマ自体への評価は悪くない。むしろ「構成と演出がとてもいい」「主演俳優のみならず、脇役も魅力的」と、高評価が多い。

アジアで高い人気を博しているジス(左)とチョン・ヘイン。(写真提供:©スポーツ韓国、画像出典:JTBC)
また「韓国人は、フィクションとノンフィクションの区別がつかないの?」「(低迷は)BLACKPINKアンチどもの仕業」と、強い口調で韓国視聴者を批判する声も。
残念ながら、ドラマは中盤に入るも視聴率が上昇する気配はない。”第2の『愛の不時着』”を夢見た、制作会社のドラマハウススタジオとJTBCスタジオにとって、本作は”夢”のままで終わる可能性が非常に高いのだ。
議論は”歴史歪曲”だけではない
では、もし仮に”歴史歪曲”議論が払拭されれば、問題は解決するのだろうか?
現在、複数の韓国メディアや大学で歴史を教える専門家たちからは、「実際にドラマを観てみたが、歴史歪曲はなかった」と、『スノードロップ』を擁護する動きが出ている。それに加え、ある有名映像クリエイターは「一部の情報を鵜呑みにし、放送開始前から検閲する集団行為は、創作の自由を奪う侵害行為だ」と嘆く。
こうして徐々に「『スノードロップ』に歴史歪曲はない」という見解が広まっているが、韓国内における本作への評価は、中々改善されていないのが現状だ。なぜなら、”歴史歪曲”が払拭されても(韓国視聴者いわく)、ドラマへの没入度を下げる”もう1つの理由”があるからだという。
ジスへの酷評の背景にある”発声”
それはまさに、ジスの”演技力”。

BLACKPINKのメンバー、ジス(写真提供:©スポーツ韓国、画像出典:JTBC)
韓国の芸能コラムニスト、チョン・ドクヒョン氏は自身のコラム『議論抜きで見ても駄作‥”スノードロップ”はなぜこうなったのか(2021年1月3日公開)』と題し、ジスの演技に対してこう評価した。
ジスはなぜ、ヨンロ役にキャスティングされたのかわからないくらいだ。優しいヨンロというキャラクターを演じているが、実は”あほらしい”キャラクター”になってしまっている‥
このようなジスへの酷評の背景には、字幕や吹き替え版で本作を視聴する海外ファンには、少し理解し難いかもしれない。
韓国視聴者は、海外ファンとは違い表情やアクションだけで演技を評価していない。海外ファンが気付くことのできない”韓国語の発声”に噛みつき、マイナス評価をしているのである。
発声がなぜ大事であるか
字幕なしでドラマを視聴する自国視聴者にとって、出演俳優の”発声”は大事なポイントだ。
俳優の発声が操るそれは、セリフの内容を正しく伝えるだけではない。セリフの持つ感情を視聴者に忠実に伝え、共感してもらうという大切な役割を持っている。
もし発声が上手にできなければ、劇中でキャラクターが表現する喜怒哀楽は視聴者に伝わらず、そのキャラクターは世界観から”浮いてしまう”のだ。
まさに今、ジスが直面している視聴者の酷評。その背景にあるのが、この発声である。
多くの(現役アイドル含む)アイドル出身俳優は、ドラマデビューと同時にこの発声を指摘されるという。
特に、時代劇ドラマにおける発声の重要度は非常に高く、安易に時代劇に挑戦したばかりに、酷評の洗礼を浴びたアイドルは無数にいる(これは本人というより、事務所の判断も大きく左右しているが)。
逆に、時代劇で見事な発声を見せ、役者としての可能性を高く評価されたアイドルも多い。EXOのD.O.(ディオ/ド・ギョンス)や、2PMのイ・ジュノ、パク・ユチョンなどが、それにあたる。
*****
新人俳優やアイドルがドラマや映画に出演し、悪い意味で”期待を裏切る”演技力を披露すると、世間から”足演技(발연기)”というレッテルが貼られてしまう。
“足演技”とは「足で筆を持ち、字を書いたような下手さ」という意味で、日本でいう”大根役者”。その多くが、発声に起因するケースだ。
もちろん、刻苦勉励の末、韓国視聴者から好評を得るようになったアイドルも多い。ジスは今回が連続ドラマ初挑戦のため、韓国視聴者を満足させる役者になるまでは、多少時間が必要なのかもしれない。
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