- K-POP界の人気をけん引するアーティストが多数所属する大手芸能事務所のHYBE。
- そんなHYBEの経営方針にファンからは不満の声が殺到し、韓国のK-POPコラムニストも喝を入れている。
- 今回は問題視されているHYBEのダイナミックプライシングに目を向けていこう。
BTS(防弾少年団)をはじめ、TXT(TOMORROW X TOGETHER)やENHYPEN(エンハイプン)、LE SSERAFIM(ルセラフィム)、NewJeans(ニュージーンズ)など人気アイドルグループを続々と生み出し、K-POP界を盛り上げる韓国大手芸能事務所のHYBE。
5月12日にはHYBE傘下レーベルのKOZ Entertainmentが、新ボーイズグループBOYNEXTDOORのメンバービジュアルと、1stシングルアルバム『WHO!』のトレイラーフィルムを公開し、注目を集めている。
日々新たなコンテンツを配信し、ファンを笑顔にしているK-POPアイドルであるが、韓国のあるK-POPコラムニストはHYBEの経営方針に対し、「強欲な経営をやめるべき」と厳しい声を上げている。
5月11日、韓国メディアの京郷新聞(https://m.khan.co.kr/)に、「持続不可能なK-POP」という題名の記事が掲載された。インパクトのある見出しの記事を書いたのはK-POPコラムニストのチェ・イサク氏。
彼女は現在K-POPファンの間でも議論が巻き起こっている”ダイナミックプライシング”に言及し、世間に対して問題提起を投げかけている。
ダイナミックプライシングは、チケットの価格変動制度であり、米国のチケット販売プラットフォーム『Ticketmaster』のサービスだ。
リアルタイム需要をアルゴリズムで算出し、チケット価格を決めるため、飛行機代金やホテルの宿泊料金のように需要が上がればチケット代も同時に上がるシステムとなっている。
料金が需要によって変動することから、チケッティング中にもオークションのように価格が変わり続け、申込者は最終決済価格がいくらかを事前に確認することができない。
2022年には米国会議にてダイナミックプライシングで暴利追求が行われている実態が指摘されており、世間の多くの人々は問題を抱えるサービスであると認識を強めている。
しかしHYBEは5月2日に行われたカンファレンスコールにて、株主に対し「ダイナミックプライシングをBTSのシュガと、TXTの米国のコンサートに適用中」とし、今後公演の売り上げを増やすために、全ての所属アーティストに適応する予定であると明かした。
この事実がSNSで広がるとファンからは不満の声が殺到。人々は”#ハイブチケット価格上げ反対”、”#NoDynamicPrice”などのハッシュタグをつけ、ダイナミックプライシングの導入反対を訴えている。
それらの投稿の中には、シュガの米国コンサートのチケッティングに参加したファンの衝撃的な実経験も綴られた。
あるネットユーザーは自身のブログにチケット購入で感じた虚しさを打ち明けた。彼はチケット購入前に22ドルを払って有料のメンバーシップに加入。
抽選を通してチケットを購入する権利を獲得したが、チケット購入時400ドルだった料金価格がクリックをするたびに急騰。1800ドルまで上がるのを確認し、最終的には購入を諦めたという。
コラムニストのチェ・イサク氏はこの現状について、「消費者が正当な価格で透明な取引をするように管理、監督をしなければいけない主体(HYBE)が、むしろ公演を見たいファンたちの心情を利用して暴利を貪り、市場秩序を乱している」と指摘している。
さらに彼女は、HYBEがこれまでに行ってきたファンとの信頼関係を削ぐような価格設定戦略や、消費者への欺瞞について言及。
HYBEは所属アーティストの商品を独占販売する『Weverse Shop』にて、10万ウォンの雨具や1万ウォンの靴下など、比較的強気な値段設定でグッズ販売を行っている。
しかし、『Weverse Shop』は過去に商品不良や、配送と払い戻しの遅延などが問題視され、2021年にはソウル電子商取引センターの被害多発業者に選定。
チェ・イサク氏は、グッズに関しても商品価格に見合ったサービスが提供されていないと主張した。
HYBEの価格設定に関しては、過去にBTSのジンが直接言及し話題になったことも。
2022年1月にジンは、ファンコミュニティープラットフォームWeverse(ウィバース)を更新し、「パジャマ良い素材を使ってくださいと言ったけど、価格どうしたの‥私も驚いたよ」と自身のグッズの値段に対する戸惑いのメッセージをファンに伝えた。
記事の最後で彼女はK-POPのビジネス形態は、片思いビジネスであると語っている。
人気アイドルたちは前例のない快挙を次々と達成し、各種新事業に進出している。しかし新たな活動ができるのも、ファンからの愛や熱い応援など需要があるからこそだ。
需要が無くなればすぐに売上が低落するK-POPの産業の根幹は、根本的に強いものではない。だからこそ企業が利益だけを追求し、ファンの信頼を削ぎ落とす行為は自分の首をしめることにも繋がっていく。
現在の人気を維持するためにも、「HYBEは強欲な経営を止めるべき」と筆者は喝を届けている。
コラムが掲載された韓国オンラインコミュニティーのコメント欄を見てみると、
「HYBEはダイナミックプライシングを撤回すべき」
「ファンがいなくなったら金が稼げなくなると理解していないのか?」
「この筆者のいう通り、このままだとK-POPは滅びるね」
「HYBEは自分の会社がファンの愛で成長したことを忘れたの?」
と、HYBEの経営方針に反対する意見と共に、呆れの声も寄せられた。今後のHYBEの動きや対応にも関心が寄せられている。
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