韓国で公開された映画『犯罪都市2』。舞台をベトナムに移し、スケールアップした続編は早くも爆発的人気となり、5月30日現在の累計動員数が650万人を超えたという。今回のシリーズで初登場となった、今日本でも話題の俳優、ソン・ソックが悪党カン・ヘサンを演じ、役について振り返った。

映画『犯罪都市2』の悪党、カン・ヘサンを演じた俳優のソン・ソックが、作品と自身のキャラクターについて語った。

『犯罪都市2』では舞台をベトナムに移し、壮大なアクションを繰り広げた

『犯罪都市2』では舞台をベトナムに移し、再び壮大なアクションを繰り広げた。(画像出典:movie.naver)

映画公開に併せてインタビューが行われ、ソン・ソックが参席。

彼が演じたカン・ヘサンは、暴力的で残忍なだけでなく、お金に並々ならぬ執着心を持った人物だ。また、このキャラクターは『犯罪都市(2017)』に登場した、チャン・チェン(ユン・ゲサン扮)と必然的に比較対象となった。

「カン・ヘサンは、あまり考えずに真っすぐに突き進むタイプです。今気に入らないことがあったら、すぐに行動してしまう人。それが、『犯罪都市』のチャン・チェンと違う部分だと思います。それにカン・ヘサンは髪の毛が短くて、服もあまり着ませんし、言葉数も少ないです(笑)」

インタビューに応じた俳優のソン・ソック

映画公開に併せてインタビューに応じた俳優のソン・ソック。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS、画像出典:ABOエンターテインメント)

劇中のソン・ソックは表情や立ち姿、歩き方やタトゥーなど、外的な容姿にも緊張感を持たせた。また、カン・ヘサンを演じるために10キロ増量し、衣装やタトゥーの模様についても、スタッフと長考し相談しながら決めたと言う。

「衣装チームのマネージャーさんに、オレンジ色の服が着たいと言ったんです。なぜか分からないんですが、カン・ヘサンにオレンジ色を与えたくて。それで、わざわざ作っていただきました。その色をカン・ヘサンに着せた時は、うれしくて誇らしい気持ちになりましたね。もし僕が実際に、カン・ヘサンの悪事を目撃して、他の人にその話をする時、彼のカラーが刻印されるんじゃないかと思いました。そして、タトゥーも鮮明度を変えてみたり、悩んだりしましたね。実は、胸にある一文の意味はよく分かりません。タトゥーチームのマネージャーさんがおっしゃるには、”一度復讐を始めたら、地獄まで追いかける”だそうです。カン・ヘサンによく似合う言葉だと思います。タトゥーも、様々なコンセプトを試しました。最初は、僕が魚のタトゥーだけやりたいと言ったんです。もう本当に、何でもやってみました」

「カン・ヘサンに橙系を」と思い付いたソン・ソック。

「カン・ヘサンに橙系を与えたかった」と話すソン・ソック。(画像出典:movie.naver)

カン・ヘサンという人物は、衝動的性向強い。そして本音が分からない表情に、戦略家的気質を見せる。そんな彼の姿が、ソン・ソックに会って再び整備された。シナリオの中の基本設定とは少し違うが、さらに冷ややかな人物になったのではと思う。

「ものすごい衝動的な人なんですよね。シナリオの中のカン・ヘサンは、チンピラみたいでした。それが正しい表現なのか分かりませんが。そしてもっと悪態をついていて。監督に、悪口は言いたくないとお伝えしました。もし悪口を言うなら、敵対する警察ではないと思ったんです。それで、シーンを一つ別に作りました。道で警察を刺して、恐怖で青ざめる市民たちに向かって悪態をつくんです。ここがおそらく、唯一(悪口を言っている)場面だと思います。ただ一つだけ、衝撃的なシーンを入れませんかとお話ししました。あとは、口数を減らして行動が先に出るように、役に重みを加えました」

「そしてカン・ヘサンは、お金に無知性に近い執着を見せます。それは、”豊かに暮らしたい”という思いの執着ではなくて、きっと過去にひどい被害を受けたことからなんですよ。そういう情緒が生まれるような人生を歩んで来たんだろうと思いました。監督と、カン・ヘソンの持つ過去はどんなものなのか、たくさん話を交わしました。被害意識が強くて、大したことない物にトリガーが一気に上がって来る、血の気の多いヤツなんです。それで、一度目にしたら見境がなくなって、理性よりまず体が動いてしまうという設定になりました」

「カン・ヘサンは考えるよりもまず体が動くやつ」と話すソン・ソック

ソン・ソックは「カン・ヘサンは考えるよりもまず体が動くやつ」と話す。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS、画像出典:ABOエンターテインメント)

映画『犯罪都市2』は、公開前から前作を超えた作品だと好評を得ていた。そして公開当日の5月18日も、変わらず熱い反応が続いた。

また、圧倒的な前売り販売率を記録するなど、新型コロナウイルスパンデミック以降に公開された韓国映画の中で、最も関心を集めている作品の一つとして名を連ねている。

「僕は今、韓国にはおらず『カジノ』というドラマの撮影で、フィリピンに2カ月ほどいます。時間ができると、作品レビューを見たりしますが、限界がありますね。正直、(良い反応に対して)ピンと来ないんです。でも、良かったと言う話をたくさん聞くのでありがたいです。浮かれないように、ここでやるべき事をやります。『犯罪都市2』は、チームワークが良かったです。『犯罪都市』を作られた方たちが引き続き作られたので、作品の長所をよく知っていました。今作を通して、『犯罪都市』というブランドが定着して、そこで僕が一助になれてうれしいです」

『犯罪都市』は、マ・ソクド(マ・ドンソク扮)を中心に、ソウル南部の衿川(クムチョン)署強力班刑事たちが、悪事を働く犯罪者たちを捕まえるために孤軍奮闘する物語。また、本作のシナリオが、Vol.8まで完成していることがすでに伝えられている。

現在も『犯罪都市 ユニバース』の本格的な始まりと、悪党たちの次期作登場についての関心が続いている状態だ。これについて、ソン・ソックは意外な返答を口にした。

『犯罪都市』の出演は今回で終わり

「『犯罪都市』の出演は今回で終わり」と驚きの発言。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS、画像出典:ABOエンターテインメント)

「『犯罪都市』にもう一度出るつもりはないです。それは『犯罪都市』にとっても、僕にとってもその方がいいからです。『犯罪都市』というブランドが愛されるために、挑戦し続けないと。そしてカン・ヘサンにも始まりと終わりを明確にしてこそ、人々に意味のあるものとして残るんだと思います」

ソン・ソックは俳優としてだけでなく、演出家としても活動中だ。映画『再放送』などの作品を通して、その演出力が認められている。

そのため、彼は誰よりも監督の気持ちが理解できる俳優になった。

「演出をしながら、監督の気持ちがとてもよく分かるようになりました。(監督業は)責任が大きいポジションです。僕は、演出に挑戦する前に『犯罪都市2』の撮影に参加したんですが、監督の情熱がとても大きかったです。なので撮影現場に行ったら、たった1シーンでも、監督が首をかしげながら家に帰るのが嫌でした。20テイク、30テイクを撮っても、監督を幸せにして家に帰すことが目標でした。僕が(演技に)満足するよりも、監督が満足して帰宅してもらう目標の方が大きかったです」

監督に満足してもらいたかった

「自分の満足度より監督に満足してもらいたかった」(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS、画像出典:ABOエンターテインメント)

ソン・ソックはデビュー以降、様々な作品に出演して来た。映画、ドラマを行き来しながら活躍を続け、作品ごとにオリジナリティー溢れるキャラクターを生み出している。

彼がこれまで披露してきた役柄は全て新鮮で、それゆえ大衆に愛されて来た。

「似たようなキャラクターは、やらないようにしています。もう少し正確に言うと、さらに新しいものを見つけたいんです。作品を選ぶ基準は、無条件に人。僕は台本よりも、人を見て作品を選んでいて、一緒に仕事をする人たちが信頼できればそれでいいんです。どんなに良い台本でも、信頼できない人と仕事をしたら、面白いものも面白くなくなってしまいますから。逆に、まだ未熟な内容でも良い人たちに出会えば、面白くなる可能性があります。そうなると、ますます一緒に働く人を見るようになるんです」

映画『犯罪都市2』は5月18日より、韓国で公開が開始となった。

(TOPSTAR NEWS イ・ウネ記者)

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