TVINGオリジナルドラマ『バラマンション』に動物虐待シーンが登場し、議論へと発展してしまった。残忍なシーンが登場した背景には、病んでいる20代の男性が増加傾向だという社会問題が理由のよう。ドラマのワンシーンを通じて、韓国社会が抱える”闇”が浮き彫りになった。
韓国のOTTドラマ、TVINGオリジナル『バラマンション』に動物虐待シーンが登場し、議論となっている。
『バラマンション』は、消えた姉を探すために帰りたくなかった家に戻った女性が、刑事と共に怪しい隣人たちを追跡しながら、予想できなかった真実に出会うミステリースリラー。
失踪事件と関連がありそうな疑わしい隣人たちによる緊張感や、からくりのある展開で好評を得ていたが、劇中に登場した刺激的なシーンにより議論へと発展してしまった。
問題となったのは、第4話に登場した猫を虐待するシーン。
失踪事件の容疑者線上にいるある男性キャラクターが、動物を虐待、殺害するという、思わず目を覆いたくなるような残忍な描写だ。このシーンは現在、削除されているという。
これに対し、演出を担当したチャン監督は「猫の安全に関しては、敏感にガイドラインを守って撮影した」とし「今後、このようなこと(動物殺害シーンの演出)について、もっと悩まなければならないと思った」と説明。
また撮影については、「基本的に動物を使用せずに撮影した。どうしても必要な箇所だけを訓練された猫で安全に撮影をし、その際には撮影現場に専門家が立ち会った」と釈明している。
これに対し、視聴者からは「エグイ」「あえて見せる必要があったのか」などの指摘が相次いでいるという。
残虐なシーン登場の背景にあるのは、病んでいる20代男性の増加
最近、韓国では野良猫への虐待が社会問題となっている。
野良猫を捕まえて虐待、殺害をし、その動画をオンラインコミュニティーで共有するという残忍な事件が発覚した。
コミュニティー参加者のメインが、20代の男性だという。彼らは虐待した様子を日誌感覚で投稿していたようだ。
この事件の発端は、野良猫をケアする活動に関連していると思われる。
韓国では、ボランティアで野良猫たちのお世話をする”キャットマム”なる運動がある。
その内容は、野良猫に餌をあげることや病気になった猫の治療、さらに繁殖制限のためのケアなど、多岐に渡ったもの。この運動に韓国のフェミニストらも参加し、活動を続けていたという。
しかし、フェミニストと、この団体への印象が良くない一部の20代男性らの間で葛藤が起きてしまい、その摩擦の余波から野良猫に危害を加えるという事件が勃発。それが段々とエスカレートしていき、野良猫を殺害するという残忍な事件にまで発展してしまったようだ。
さらに驚くのが、虐待を行っていた側の言い分は、フェミニストのせいでこのような事件が起きた、という一方的なものだという。韓国では今、このような病的に病んだ20代男性が増えているそうだ。
また、韓国では昔から、猫は縁起の悪い動物と言われてきたことも関係しているよう。
猫に対し、社会全体が思わしくない雰囲気を持つことから、虐待のニュースもなかなか取り上げられないことも一因であるようだ。
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今回、議論となったドラマ『バラマンション』では、このような背景を表現したかったのではと推測するが、視聴者側としては見たくもない不必要なシーンであったよう。
チャン監督は「率直に言えば、ここまで事が起こるとは予想できなかった」とし「消えた娘を探す父親が、この人が犯人だと確信する場面が必要だった。必ず必要だと思って入れたが、こうなるとは思わなかった」と打ち明けているという。
批判が殺到したドラマのワンシーンを通じて、韓国社会が抱える”闇”も浮き彫りとなってしまったようだ。
(投稿:星野沙)
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