大ヒット映画『パラサイト 半地下の家族』で“成功者の象徴”を見事に体現し知名度を高めたイ・ソンギュンは、近年も話題作への出演が絶えない人気俳優である。デビューから約20年、様々な作品に出演してきた彼のキャリアを振り返るとともに、最新の主演映画『キングメーカー 大統領を作った男』にも注目したい。
大ヒット映画『パラサイト 半地下の家族(2019)』で、豪邸に暮らすパク家の主人を演じ、世界的に知名度を高めたイ・ソンギュン。
本作で主演のソン・ガンホ、監督のポン・ジュノらとともにカンヌの舞台に立ち、世界中から注目を集めた俳優だ。
“格差社会”がテーマとなった本作において彼は、トレードマークの美声とスマートな立ち振る舞いで“成功者の象徴”を見事に体現し、世界中を魅了した。
そんな彼は、『パラサイト 半地下の家族』以降も、話題作への出演が絶えない人気俳優である。デビューから約20年、様々な作品に出演してきた彼のキャリアを振り返るとともに、最新の主演映画にも注目したい。
1975年、ソウル出身のイ・ソンギュンは、演技を学ぶため大学を1年で中退。その後、現在は名門として知られる芸術学校の最難関、韓国芸術総合学校の1期生となり演技を学んだ。
卒業後の2001年、ドラマの端役として俳優デビューを果たすが、当時は“ろくでなし”や“偏屈者”といった役柄を演じることが多く、パブリックイメージからの脱却に苦戦したという。
しかし、2007年に出演したMBCドラマ『白い巨塔(2007)』の実直で誠実な医師役が好評となり、ターニングポイントを迎える。
続けて出演したドラマMBC『コーヒープリンス1号店(2007)』も、韓国で社会現象が起きるほどの大ヒットを記録。コン・ユ演じるハンギョルと人気を二分するハンソン役を演じ、注目度を高めることに成功。日本の韓流ファンにもお馴染みのドラマだろう。
2010年代以降は、ドラマ、映画と幅広く活躍。MBCドラマ『パスタ~恋ができるまで~(2010)』、tvNドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~(2018)』などに出演し、プライドの高いエリートから哀愁をまとった中年男まで様々な役柄で視聴者を楽しませてきた。彼の魅力的な低音ボイスも、いつしか韓流ファンにはすっかりお馴染みとなっている。
そんな彼の代表作は、人気女優やベテラン俳優とのダブル主演が多いことはあまり知られていない。
“正義と悪”、“静と動”、イ・ソンギュンは二項対立のどちらの役柄でも、存在感を遺憾無く発揮する。つまり彼は、相手がベテランであろうと女性であろうと、相手の魅力を引き出しながらも、自身も存在感を発揮する本物の演技派俳優と言えるだろう。さすが韓国芸術総合学校出身といったところか。
映画『最後まで行く(2014)』ではチョ・ジヌンと鬼気迫るスリリングな攻防戦を繰り広げ、映画『PMC:ザ・バンカー(2018)』では北朝鮮と韓国という敵対関係の中でハ・ジョンウとのブロマンスを披露、見方によっては、『パラサイト 半地下の家族』も、主演のソン・ガンホと対峙する重要なポジションを担っていると言えるだろう。
そんなイ・ソンギュンの最新主演映画も、注目のダブル主演作だ。
名優ソル・ギョングとともに主演に名を連ねた『キングメーカー 大統領を作った男(原題:キングメーカー/2021)』が日本でも公開となる。
本作は、5月に開催された韓国最大のエンタメアワード「第58回百想芸術大賞」ドラマ部門で、監督賞等の3冠受賞を果たした話題作である。
し烈な争いを極める韓国選挙戦の裏側を題材に、2人の熱き男の奮闘を描いた韓国映画の人気ジャンル“ポリティカルヒューマンドラマ”だ。
イ・ソンギュンは、理想に燃える熱き政治家ウンボム(ソル・ギョング扮)の成功の立役者となるチャンデ役で登場、選挙戦の戦略の舵を切るブレーンを熱演している。
また本作は、第15代大統領キム・デジュンと、彼の選挙参謀だった人物との実話をベースにしているとあり、ここ最近ヒット作の題材として注目の激動の韓国現代史を学べる点にも期待できそうだ。
イ・ソンギュンの最新の活躍を堪能できる『キングメーカー 大統領を作った男』は、8月12日より全国順次ロードショー。
(投稿:島田元)
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