是枝裕和監督の最新映画『ベイビー・ブローカー』に出演した、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨンの4人が韓国から緊急来日! 是枝裕和監督と共に笑顔でファンの前に登場した。
是枝裕和監督の最新映画『ベイビー・ブローカー』に出演した、豪華出演陣が緊急来日を果たし、是枝監督と共に日本のファンに舞台挨拶を行った。
是枝裕和監督の最新作にして、<赤ちゃんポスト>をきっかけに出会った赤ん坊の母親、ベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮しようと追いかける刑事――彼らが絡み合いながら繰り広げる、一風変わった旅路を描く、衝撃と感動のヒューマンドラマ『ベイビー・ブローカー』が、6月24日より大ヒット公開中だ。
去る現地時間の5月28日に閉幕した、第75回『カンヌ国際映画祭』では、主演のソン・ガンホが韓国人俳優初となる最優秀男優賞を受賞。
またキリスト教関連の国際映画組織が、コンペティション部門の中から”人間の内面を豊かに描いた作品”に与えるエキュメニカル審査員賞も受賞し、合わせて2冠の快挙を成し遂げた。
この度、公開を記念して、主演のソン・ガンホほか、カン・ドンウォン、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨンら主要キャストが揃って来日し、是枝裕和監督と共に舞台挨拶を行った。
ソン・ガンホは、『パラサイト 半地下の家族』でのプロモーション以来約2年ぶり、カン・ドンウォンは『ゴールデンスランバー』のプロモーション以来約3年ぶり、そしてイ・ジウンとイ・ジュヨンの2人は、映画のプロモーションとしての来日は今回が初めて。
この日は日本のメディアはもちろん、韓国からも多くのメディアが取材に訪れ、舞台挨拶には約500人もの観客が来場。さらに映画館の前にも、約200人ものファンが詰めかけるなど、イベントは大盛況。
それぞれのキャストが、日本のファンに向けて日本語で挨拶したり、撮影で培われた仲の良さが伝わるトークも展開するなど、終始和気あいあいとしたイベントとなった。
大きな拍手に迎えられたソン・ガンホは「こんにちは、ソン・ガンホです」と日本語で挨拶。そして「およそ2年ぶりにみなさんの前でこうしてご挨拶させていただき光栄です。この映画は、日本と韓国に限った特別な話ではなく、私たちが生きている中で感じる様々なことを伝えている映画だと思います」と語った。
カン・ドンウォンも「こんにちは、お久しぶりです。カン・ドンウォンです。来ていただいてありがとうございます」と日本語で日本のファンに語りかける。
イ・ジウンも日本語で「こんにちは、IUです」と挨拶し「空港にたくさんの方が来てくださり、歓迎してくださいました。また、多くの人が既にこの映画をご覧になっていて『良かったよ』という言葉をかけていただけて、とても気分が良いです」と笑顔で語り手応えを口にする。
イ・ジュヨンも3人と同じく日本語で「こんにちは。私はイ・ジュヨンです」と挨拶し「皆さんにお会いできて本当にうれしいです。昨日は、監督と俳優の皆さんとおいしい日本料理を味わいました」と笑顔で明かした。
是枝監督は「さかのぼると、15年ほど前に釜山の映画祭で『韓国人の俳優で映画を撮るなら、誰を主演に撮りたいですか?』と聞かれて、ソン・ガンホさんの名前を出させていただいて。そのインタビューを終えて、帰ろうとエレベーターを待っていたら、扉が開いた目の前にソン・ガンホさんがいたんですね。その偶然を、何かの縁があるんだろうと思っていたんですが、こういう形で作品に結実して、日本での公開をこうやってキャストと迎えられたことをうれしく思っています」と感慨深げに語った。
ソン・ガンホは、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞が発表された瞬間について「カンヌ映画祭は、名前が呼ばれるまで全く結果がわからないので、とても緊張した瞬間でした。ステージに上がってからは『是枝監督と素晴しいキャストの皆さんに感謝申し上げます』と、スピーチをしたことは覚えています」とふり返る。
今回、赤ちゃんの“ブローカー”という役柄をオファーされた時の心境については「約6年前でしたが、釜山映画祭で初めて話を伺った時、是枝監督の作品は全て拝見していてファンでしたし、尊敬する監督でしたので、是枝監督の新しい作品で‥ということでとてもワクワクし、ときめきました。『どのような役でもやらせていただきたいです。光栄です』とお伝えしました」と明かした。
是枝監督は、ソン・ガンホにこの役をオファーしたことについて「映画の中で、ソン・ガンホさんが初めて登場するシーンが思いついて、そこだけ書いたんです。その時は3~4枚の短いストーリーでした。ただその時点のプロットに、ソン・ガンホさんとカン・ドンウォンさんとペ・ドゥナさんの名前は書いていて、夢が叶ってこういう形になりました」とうなずく。
カン・ドンウォンも「監督の作品は大好きで、いつかお会いして、お仕事をご一緒できればという思いがありました。実際にご一緒することになり、お会いしたら、現場でもすごく優しくて最高の監督でいらして、本当に素晴しい経験になりました」と語る。会ってみて抱いていた印象と違った部分は? という問いには「特に印象が変わった点はありません。いつも変わらず優しく、現場で楽しそうに撮影されていて、撮影が終わる頃はとても寂しかった記憶があります」と述懐する。
ちなみにカン・ドンウォンは、韓国で誕生日を迎えた是枝監督をお祝いしたそうで「良いことなのか悪いことなのか‥(笑)。監督がお一人で誕生日を過ごされると聞いて、食事に誘いました」とニッコリ。是枝監督は「2年連続で、ドンウォンさんとソウルで誕生日を祝いました。良かったです」と微笑むと、会場から温かな拍手が沸き起こった。
今回、赤ちゃんを赤ちゃんポストに預ける母親という、難しい役どころを務めたイ・ジウンは「これまでドラマに出演したことはありましたが、長編映画は初めてで、そこは挑戦でした。私が演じたソヨンは、様々な設定があって、キャラクターを説明する修飾がいっぱいある人物でした。このいくつもの設定を、立体的に表現できるようにと監督とも話し合いながら演技しました」と振り返る。
また、彼らを追う刑事を演じたイ・ジュヨンは「私も是枝監督の大ファンでしたし、先輩俳優の皆さん、普段から気になっていた俳優さんとお仕事することができたので、現場で多くのことを学んで、感じるという姿勢で臨んでいました。プロモーションも含めて、素晴らしい経験を積めたと思いますし、私にとって忘れられない思い出になる作品だなと思います」と、実力派俳優陣と共に、是枝作品に出演できた喜びを口にした。
是枝監督は、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナの3人に関しては以前から面識があり、プロットの時点であて書きをしたことを明かしつつ、イ・ジウンとイ・ジュヨンの2人に関しては「コロナ禍で家で韓国ドラマにハマって、そこで見て本当に『うわっ!』と印象に残った2人にお声がけしました」と説明。
イ・ジウンがアーティストのIUとして、韓国ではもちろん、日本でも絶大な人気を誇る点を踏まえつつ「昔からのファンの皆さんには申し訳ないです、僕はにわかファンなので‥(苦笑)。夢が叶って、理想的な、思い描いた通りのキャスティングが実現して、僕が一番幸せな現場でした」と笑顔を浮かべていた。
イ・ジウンは、是枝監督の言葉に「実は、監督が音楽や作品を通じて私のことを知る前に、一度、韓国で監督を見かけたことがあったんです。その時、私はすでに監督のファンでしたが、監督は私のことを知らない状況だったので、挨拶したいと思いつつ、できずに通り過ぎました。それから1年以上が経って、監督の作品に参加できて、私の音楽も知っているということが、すごく不思議な気分です」と、運命の巡り合わせを口にする。
イ・ジュヨンは「私は大学で、まだ映画のことを学んでいた頃に、監督の作品を見に行く普通の学生でした。数年経って、監督が私の出演した作品を見て、私という女優を知っているということ自体、不思議な経験であり、すごく幸せです」とこちらも不思議な巡り合わせに思いを馳せる。
今回の来日に合わせて、多くのファンが空港で彼らを出迎えたが、ソン・ガンホは「成田空港に降りた時、イ・ジウンさんは日本でも有名なスターであり、日本の多くのファンが来るだろうと話には聞いていましたが、実際に100人を超えるファンが集まったそうです。でもカン・ドンウォンさんを見るために集まったのは3人だったそうです。ちなみに、私は5人来てくださっていました!(笑)。なので、とても気分が良い1日になりました」と茶目っ気たっぷりに語り、カン・ドンウォンとともに会場は笑いに包まれる。
是枝監督は「だいたい現場はいつもこんな感じで、ソン・ガンホさんがカン・ドンウォンさんにちょっかいを出して楽しんでました。僕はこのやりとりが大好きです」とうれしそうに語っていた。
最後の挨拶で、キャストを代表してマイクを握ったソン・ガンホは「この映画は、日本の監督と韓国のキャストが一緒に作ったということが大事というよりは、日本人であっても、韓国人であっても、私たちが生きている社会の中の私たちの姿、私たちの隣人の姿、また人生の価値が描かれた作品となっています。国を越えて、誰にとっても共感できる温かい物語だと思います。皆さんにもその思いを受け取って、共感していただける、そんな意味ある時間として記憶されてほしいと願っています。ありがとうございました」と呼びかけ、会場は温かい拍手で応える。
そして、是枝監督は「6年前に書いたプロットは、実はすごくシンプルな話でした。そして映画を撮るために韓国に渡って、ベイビーボックス(赤ちゃんポスト)の周辺の人たちへの取材を重ねたことが、とても良かったなと思っています。取材をすればするほど、この物語が人間の命をどう考えるべきか? それを登場人物たちが悩む話だなと――ちょっとずつ、最初に思い描いた話から変わっていきました。撮影を始めてからも、変わっていくというプロセスを経て、今日、皆さんに観ていただく作品になってます。僕の映画はいつもそうかもしれませんが、明快な答えが最後に待っているというより、登場人物たちと同じように、見た方たちも旅を続けながら、一人の赤ちゃんの運命を一緒に考えていただけたらうれしいです。楽しんでください」と呼びかけ、舞台挨拶は幕を閉じた。
『ベイビー・ブローカー』
TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国大ヒット公開中!
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:ソン・ガンホ カン・ドンウォン ペ・ドゥナ イ・ジウン イ・ジュヨン
製作:CJ ENM
制作:ZIP CINEMA
制作協力:分福
提供:ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.
ⓒ 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED
配給:ギャガ
【ストーリー】
古びたクリーニング店を営みながらも、借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ扮)と、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン扮)。
ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(IU/イ・ジウン扮)が<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。
「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。
一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ扮)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン扮)は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていくが‥。
<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、特別な旅が始まる――。
IU
歌手兼女優のIU(アイユー / ハングル 아이유)。
歌手活動をしながらドラマや映画などに出演するなど女優としても活動を行い、またバラエティ番組に出演したり様々な広告モデルを務めるなど、マルチエンターテイナーとして活躍中。
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