近年韓ドラ界は、ノスタルジックな雰囲気漂う作品が増加傾向にある。

特に韓国激動の時代と言われる1980年代から1990年代を舞台にしたものが多く、トレンドや音楽、ファッション、小物などはもちろん、当時実際に起こった出来事や社会情勢などもふんだんに盛り込みながら、懐かしさを呼び起こさせる。

また、時代の波に翻弄されながらも泥臭く熱く生きた人たちの話は、単なる現代劇では得られない独特の面白さが。強い意思と強烈なエネルギーで逆境に正面から立ち向かう様が、観る者に「自分も頑張ろう」というパワーをプレゼントすることもある。

国は違っても、懸命な姿や古き良き時代を彷彿とさせる風景は胸を打つものがあるようで、日本でも支持されているタイプのドラマだ。

2025年下半期には、韓ドラ界のトレンドはこれだと言わんばかりに、そんなレトロな感性で描かれた新作が出撃を待機中。気になるラインナップを紹介する。

パイン ならず者たち (ディズニープラス)

『パイン ならず者たち』は、1970年代に韓国の新安沖で発見された宝船事件をモチーフにした犯罪ミステリー。国民が、懸命に生きようと孤軍奮闘していた時代の物語だ。

『パイン ならず者たち』(画像出典：Disney＋ Korea)

『パイン ならず者たち』(画像出典：Disney＋ Korea)

沈没船の宝物で一攫千金を夢見る者たちの冒険と葛藤をはじめ、島という孤立した空間で絡み合う人間ドラマを描く。登場人物は、時に連帯し時に競い合う過程で、欲望や友情、疑心など様々な感情を見せるという。

主演を務めるのは、演技力に定評のあるリュ・スンリョンとヤン・セジョン。その他、イム・スジョンやキム・ウィソンなども出演しており、実力派俳優＆女優が海底に眠る財宝を巡って繰り広げられる争奪戦を大いに盛り上げてくれそうだ。

●韓国配信開始予定日：2025年7月

メイド・イン・コリア (ディズニープラス)

『メイド・イン・コリア』は、産業化と政治的激変が重なった1970年代を背景にした犯罪政治スリラー。富と権力に野望を抱く財閥2世と、彼を止めるために全てを懸けた正義感の強い検事の対立構造を描いた物語だ。

『メイド・イン・コリア』(画像出典：Disney＋ Korea)

またその過程では、混乱を極める時代のなかで起こる大事件の数々が緊張感たっぷりに描かれているそうで、当時ならではの魅力や社会的メッセージ、壮絶な心理戦が期待されている。

腐敗や権力、正義を取り巻く葛藤を、正攻法によって解いていくこれまでの韓ドラとは一味異なるスタイルの作品。ヒョンビン＆チョン・ウソン主演作とあってひときわ注目を浴びているが、作品自体のクオリティーもビッグネームに負けていないようだ。

●韓国配信開始予定日：2025年内

テプン商事 (tvN)

『テプン商事』は、IMF(国際通貨基金)危機によって国民が苦しみ、不渡りや倒産という言葉をよく耳にした時代1997年を背景にしたヒューマンドラマ。父親が残した中小企業“テプン商事”を守るために孤軍奮闘する若き社長の成長と家族の物語だ。

『テプン商事』で主演を務めるジュノ(写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

希望や夢を持つことが難しかった頃の話だが、それでも前を向き懸命に生きようとした者がいたのを現代に伝えるかのように、ジュノ(2PM)扮する主人公が自社の復活を懸けてまい進する。

家族と職員を抱えているという責任や、厳しい現実と戦う姿、自身の人生を立て直そうとする過程と並行して、彼を取り巻く人々との人間模様も見どころになっているのだとか。

●韓国放送開始予定日：2025年内

百回の思い出 (JTBC)

『百回の思い出』は、1980年代を舞台に、切符の受け取りや車内での案内などをしていた日本で言うところのバスガール2人を主人公にした青春ロマンス。

『百回の思い出』で主演を務めるキム・ダミ(写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

乗り物酔いが激しいが生計を立てるために働き、大学進学を夢見るヨンレと、不遇な家庭環境からの脱出を夢見るジョンヒのキラキラとした友情、そして1人の男性を巡る切ない恋を描いた物語だ。

劇中には、ダイヤル式の電話やカラフルな制服、停留所などが登場し、昔懐かしい風景と共にストーリーが展開されるという。若手ながら演技力に定評のあるキム・ダミとシン・イェウンの演技と相まって、これまでにないレトロな感性が光る作品になるのではないかと期待されている。

●韓国放送開始予定日：2025年10月

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