日本において、韓国ドラマを扱う動画配信サービスは数多く在する。中でもコロナ禍を追い風に快進撃を見せたのは、アメリカのVOD配信サービスのNetflixだろう。しかしここで、これらサービス形態に課せられたメリット、デメリットが浮き彫りになってきている。
新型コロナウイルスによる自粛生活が続く中、生活の一部として特に愛されたのは動画配信サービスではないだろうか。
この流れを追い風に、アメリカの大手動画配信サービス・Netflix(ネットフリックス)が快進撃を見せているのはご存知の通りだ。

ドラマ『愛の不時着』((C)CJ ENM All Rights Reserved.CJ ENM)
Netflixにより届けられた韓国ドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』は、韓流コンテンツと縁遠かった人にも多く受け入れられ、爆発的な人気を得てきた。同時に、韓国ドラマファンからはオンタイムと同じような環境で視聴を楽しめるとの好評を受けている。
韓国ドラマ界がNetflixと手を組む理由
Netflixで配信され、中でも世界的に人気を博した作品は『愛の不時着』や『梨泰院クラス』、『キングダム』シリーズ、『ザ・キング:永遠の君主』、『サンガプ屋台』、『人間レッスン』などがある。これらはNetflixの制作投資を受けたコンテンツ、あるいはNetflixオリジナルコンテンツだ。
韓国のドラマ制作会社がNetflixと手を組む理由は、何と言ってもドラマ収益だろう。
制作会社はNetflixや放送局の販売だけで損益分岐点を超え、VODやPPLなどの追加的な売上を通じて実質的収益を大幅に上昇させることができる。
もうひとつは、作品のテーマの範囲と自由度が大きく高まるということだろう。
例えば、Netflixオリジナルシリーズ『人間レッスン』は脚本と演出、いずれも良い評価を受けた。しかし、これを地上波放送局で制作するとなると、悪口と暴力が横行した演出で見せることは非常に難しかっただろう。これは『キングダム』シリーズや『保健教師アン・ウニョン』など、他のオリジナルコンテンツにも当てはまる話である。

『キングダム』シーズン2(写真提供:©スポーツ韓国 画像出典:Netflix)
では、韓国の放送局がNetflixと共同制作を選択する理由は何だろうか。
大きく言えるのは、放送局の収益状況の変化だろう。
メインである広告市場はモバイルに移動中であるため、広告売上は下降線を描いている。
広告売上が善戦している放送局でさえ、これに反しドラマ制作費は急増しつつあり、もはや広告売上だけでは手に負えない状況なのだ。自然に地上波放送局のドラマ編成は減少し、停滞期に入ってしまう。
制作、編成と流通を垂直統合したメディア企業は自社のOTTを生かさなければならないが、子会社の制作会社を通じてNetflixにコンテンツ版権を許諾しなければならないというジレンマに陥っている。
*OTT‥動画配信、音声通話、SNSなど、マルチメディアを提供するサービスを総称したワード
生じるデメリットとは
Netflixは韓国ドラマの制作会社や放送局にとって魅力的なプラットフォームである一方、プラスの効果だけをもたらすわけではないようだ。
Netflixは知的財産権であるIP権利を分け合う共同制作を嫌うため、実際のNetflixコンテンツは外注制作形態が多い。これを受け、韓国発のコンテンツが韓国で放送されず、Netflixだけで自主的なコンテンツとしてサービスされるケースが増えることになる。
ということは、韓国国内の放送局はいずれドラマ制作から手を引かざるを得ない状況になり、それにより視聴率というものは意味のない数字、それ以前に概念すら無くなってしまうということになるのではないだろうか。

ドラマ『梨泰院クラス』(画像出典:梨泰院クラス 公式 HP)
また、日本における韓流ドラマブームも影を落としかねない一面を持っている。
これ以前、日本において韓国ドラマブームの火付け役となったのは地上波テレビ局だ。韓流に興味のなかった人に対して、知るきっかけを与えたのが地上波での放送だったと言っても過言ではないだろう。
これに加え、有料チャンネルでの再放送、DVD・ブルーレイ化、そしてレンタルビデオといった形態が日本の韓国ドラマ人気を支えてきた。
しかしNetflixで放送されたドラマの場合、今後10年間はNetflixでしか作品が観られないという状況にあると言われている。
つまり、日本の韓流ファンにとって必須アイテムであるDVD化は当面先送りされる‥というデメリットが生じてしまうのだ。
韓国側からすれば、世界規模で展開しているNetflixと契約することで世界中の視聴者を獲得できるというメリットはある。しかし、それぞれの国によって視聴環境は大きく異なり、さらに各国のファンダムを掴む方法を妨げてしまうという状況を生むことにもなりうる。
動画配信サービスという手法を選択したことで韓国の放送局やドラマ界に大きな変化をもたらし、また変革を投じる一石となっているようにも感じてならない。
いまや世界的ムーブメントともなっている”韓国ドラマ”が迎えている分岐点。果たして、どのような”吉”と出るのであろうか? 今後の進化していく様子を見守っていきたい。
パク・ソジュン
韓国の人気俳優パク・ソジュン。本名はパク・ヨンギュ。1988年12月16日生まれ。
2011年、B.A.P出身バン・ヨングクの楽曲『I Remember』のMVでデビュー。
初出演ドラマは『ドリームハイ2』(2012)。
以降、ドラマ『魔女の恋愛』(2014)、『キルミーヒールミー』(2015)、『花郎<ファラン>』などに出演、”主演俳優”としての地位を固めた。
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