Neflixで配信されている韓国ドラマに、学校を背景とした素材が増えている。学園モノの作品を通じて世間に訴えているメッセージ、そしてそこから見えた学生たちの事情とは‥

“校内いじめ、家庭問題、犯罪‥”最近の韓国ドラマには、学校を背景とした素材が増えている。

これまでも学園モノのドラマや映画は多かったが、そのほとんどが周囲で起きている問題を取り上げ、”パワハラ”や”傍観”など、現代社会の縮小版である学校の現実を淡々と、そして鋭い視線で描き出して、様々な社会問題を視聴者たちに訴えかけてきた。

いじめのシーンが強烈だった『梨泰院クラス』

いじめのシーンが強烈だった『梨泰院クラス』(画像出典:梨泰院クラス 公式HP)

特に、韓国は日本とは比較にならないほどの学歴社会だ。”良い大学に入れば一流企業に就職できる”という考えが残っているため、周囲からの凄まじいプレッシャーによって、学生たちは受験勉強に追われ、そのストレスから学校で問題を起こす者も多く、いじめや暴力などの犯罪、さらには極端な選択をする生徒も増えており深刻な状況だ。

ここでは、上述したような学生の様子を劇に自然に入れ込み、視聴者の関心が高かった3つのドラマを紹介する。そこから見えた韓国の高校生の事情とは‥

『梨泰院クラス』

『梨泰院クラス』

『梨泰院クラス』(画像出典:梨泰院クラス 公式HP)

正義感の強いパク・セロイ(パク・ソジュン扮)は高校生の時、転校したその日に校内でのいじめを発見する。弱い者いじめをしていた学生を殴り、同級生を救った。が、殴った相手が飲食業界のトップ企業・長家(チャンガ)グループの長男、チャン・グンウォン(アン・ボヒョン扮)だった。

大企業の圧力によって、パク・セロイは中卒の前科者にされた上に、父親まで死に追いやられるという怒涛の展開から始まる本作は、”階級社会”、”差別”、”いじめ”、”LGBT”など、現代の社会問題を厳しく反映している。

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『保健教師アン・ウニョン』

『保健教師アンウニョン』

『保健教師アン・ウニョン』(画像出典:保健教師アン・ウニョン 公式HP)

物語の舞台は、とある高校。主人公のアン・ウニョン(チョン・ユミ扮)は、一見どこにでもいる普通の保健教師だが、ある運命を持って生まれてきた。それは、人知れず周囲の人を救うこと。彼女には他の人には見えない、”ゼリー”という欲望の残余物が見えるという特殊能力があり、おもちゃの剣と銃を手にしながら日々ゼリーを退治している。

“ゼリー”という欲望の塊を通じて、人々の悩みを解決していくウニョン。劇中では、学生たちのいじめや同性愛などの社会問題を自然に溶け込ませ、単に”ファンタジー”という一言では語りきれないドラマとなっている。

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『人間レッスン』

『人間レッスン』

『人間レッスン』(画像出典:人間レッスン 公式HP)

金のために罪悪感なく犯罪の道を選んだ高校生たちが、取り返しのつかない過酷な代価を払う過程を描いた『人間レッスン』。

『梨泰院クラス』で注目を集めた俳優キム・ドンヒが主役に抜擢され、犯罪に手を染めた模範生を熱演。真面目な模範生という表の顔の下に潜む衝撃的な姿を精魂込めて表現した。

同作が配信された当時、韓国では”N番部屋事件”という前代未聞の青少年性犯罪が連日報道されていた。そのため、”学園モノ+犯罪”という組み合わせの『人間レッスン』は「未成年者の犯罪を見せ物にしている」などの批判の声も多く寄せられるほどだった。

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韓国の若者たちが、このような学園モノのドラマに熱中している理由は、名誉だけを追って動く韓国社会の問題点を正確についた不便な現実と、高校生たちが感じる困難や負担がリアルに表現されているためだ。

だが、学歴社会という教育制度から繋がるストレス、心の病気にかかる学生たちの様子がドラマの素材として扱われても、高校生たちは今日も相変らず競争に追われている。なぜなら、ヒエラルキーの上位に立つ成功した者が、韓国社会で生き残ることができる唯一の道であるためだ‥



パク・ソジュン

韓国の人気俳優パク・ソジュン。本名はパク・ヨンギュ。1988年12月16日生まれ。

2011年、B.A.P出身バン・ヨングクの楽曲『I Remember』のMVでデビュー。
初出演ドラマは『ドリームハイ2』(2012)。

以降、ドラマ『魔女の恋愛』(2014)、『キルミーヒールミー』(2015)、『花郎<ファラン>』などに出演、”主演俳優”としての地位を固めた。

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