• 今から遡ること2003年に巻き起こった”第1次韓流ブーム”。
  • 韓流ブームの火付け役『冬のソナタ』(KBS)は2002年に韓国で放送。日本で爆発的な人気を誇ったものの、韓国ではさほど脚光を浴びた作品ではなかったとか。
  • 今回は、韓流ブームの基盤を作り上げた2002年に注目。SBS・MBC・KBSの年末祭典「演技大賞」で大賞・最優秀演技賞(MBCのみ最優秀賞)に輝いた俳優・作品をご紹介!

今から20年前の2003年に日本で巻き起こった”第1次韓流ブーム”。

このブームをきっかけに、日本では韓国ドラマを視聴する人口がさらに増え、今では第4次韓流ブーム(2020年~)が誕生するなど、その人気は後世に受け継がれている。

韓流ブームの火付け役である『冬のソナタ』(KBS)は、2002年に誕生。日本で社会現象になるほど大人気を博した本作だが、韓国では他作品に比べ、さほど脚光を浴びなかったと言われている。

反対にこの年に制作・放送された作品は、2003年以降に日本でも地上波をはじめ、BS・CSなどで放送されたものの「冬ソナ」以上の人気を得ることはできなかった。

そこで今回、韓流ブームの基盤を作った2002年の韓国ドラマに注目。当時の韓国大手放送局SBS・MBC・KBSの年末の祭典「演技大賞」で大賞・最優秀演技賞に輝いた俳優・作品をご紹介!※MBCのみ「最優秀賞」

2002 SBS演技大賞

2002年12月31日に開催。

SBSでは、スペシャルドラマなど全1話完結のドラマを含む、22作品ものドラマが放送された。

SBS大賞 アン・ジェモ

2002年にSBS作品で大賞に輝いた俳優は『野人時代』で主演を務めたアン・ジェモ。

『2002 SBS演技大賞』で大賞に輝いたアン・ジェモ (画像出典:スポーツ韓国)

同年7月29日から9月30日の約2カ月間放送された全124話の本作は、日本統治時代から独立後の大韓民国第四共和国の怒涛の時代を生きた実在の人物、キム・ドゥハン(金斗漢)を描いた大河ドラマだ。

この作品でアン・ジェモは、青年期のキム・ドゥハンを熱演。韓国のみならず海外でもシンドロームになるほど人気を博し、一躍国民的スターに。

当時24歳(満23歳)だった彼は、歴代受賞者の中で最年少の受賞となり、この記録は2020年時点でも更新されていない。

韓国放送から2年後の2004年にはモンゴルに輸出され、再びシンドロームを巻き起こした本作は、モンゴル内での韓国ドラマ人気に火をつけた作品として挙げられている。

ちなみにアン・ジェモは、第2代モンゴル国大統領のナツァギーン・バガバンディ氏に国賓として招待されたことも。

最優秀演技賞(俳優編) チャン・ヒョク

『大望』や『明朗少女成功記』で2003年のSBSドラマを盛り上げたチャン・ヒョクが、最優秀演技賞を受賞した。

『大望』は下級役人の家庭出身で、国の経済を掌握する野心家のパク・フィチャンを中心に、経済を独占しようとする勢力たちとこれに抵抗する民衆の対決を描いた武闘時代劇。

彼はパク・フィチャンの次男で、兄パク・シヨン(ハン・ジェソク扮)とは対照的な道を歩むパク・ジェヨン役を演じた。

この作品には、今や大物俳優と呼ばれるソン・イェジンやイ・ヨウォン、ハン・ジェソクらが出演している。

一方『明朗少女成功記』は、犯罪者の親のもとに生まれた明るい少女のチャ・ヤンスン(チャン・ナラ扮)の物語を描いたスペシャルドラマ。

チャン・ヒョクは、化粧品会社の企画室長で一匹狼気質の財閥2世ハン・ギテ役を務めた。これまで4度の共演をしている”黄金コンビ”のチャン・ヒョクとチャン・ナラの初共演作でもある。

2002年上半期を大いに盛り上げた作品として挙げられる本作は、最高視聴率41.4%を記録。チャン・ヒョクは本作を通じて一躍韓流スターの称号を手に入れた。

最優秀演技賞(女優編) チョン・ドヨン

最高視聴率25.8%をマークした『星を射る』で主演を務めたチョン・ドヨンが、最優秀演技賞に輝いた。

本作は人々に夢を売る芸能界を舞台に、真の人間関係と成功を描いたドラマだ。

チョン・ドヨンは、両親を亡くし兄のパダ(パク・サンミョン扮)と二人暮らしをする独身女性ハン・ソラ役を熱演。芸能界デビュー33年を迎えた彼女の初々しい姿が見られる作品として今もなお、人気を集めているレジェンドドラマの一つ。

放送当時、チョン・ドヨンの「ソンテ~ク・ソンテ~!」(ク・ソンテはチョ・インソンの役名)というセリフをものまねする視聴者も現れ、一時期流行語にもなったとか。

2002 MBC演技大賞

2002年12月30日に開催。

MBCでは、スペシャルドラマなど全1話完結のドラマを含む、64作品ものドラマが誕生した。

MBC大賞 チャン・ソヒ

2002年にMBC作品で大賞に輝いた俳優は『人魚姫』で主演を務めたチャン・ソヒ。

『2002 MBC演技大賞』で大賞を受賞したチャン・ソヒ (画像出典:スポーツ韓国)

全246話編成で最高視聴率47.9%を記録した本作は、幼少期に自身と母ハン・キョンヘ(チョン・ヨンスク扮)を捨てた父ウン・ジンソブ(パク・クニョン扮)への復讐を人生の目標とする娘ウン・アリヨン(チャン・ソヒ扮)の物語を描いた作品だ。

父への復讐に邁進するウン・アリヨン役を演じたチャン・ソヒは「大賞」の他に「連続ドラマ部門 最優秀賞」「ベストカップル賞」「ネチズンが選んだ今年のタレント賞」「記者が選んだ今年のタレント賞」の計5冠を達成。当時、演技大賞最多部門の受賞者にもなった。

受賞のスピーチで彼女は「私はトップスターではないため、心配される方が多かった」と発言。キャスティングまでの道のりや、10年以上無名時代を過ごし助演ばかりだった自身を信じて主演に抜擢した作家やPDに対する申し訳なさ、そして必ず成功しなければならないというプレッシャーなどを含んだコメントでもあった。

連続ドラマ部門 最優秀賞 イ・ジェリョン、チャン・ソヒ

「連続ドラマ部門最優秀賞」は、『商道‐サンド‐』のイ・ジェリョンと『人魚姫』チャン・ソヒの2人が受賞した。

2001年10月~翌年4月まで放送された『商道‐サンド‐』は、18世紀に実在した大商人イム・サンオクの波乱万丈な人生模様を描いた感動時代劇。

『ホジュン 宮廷医官への道』や後作『宮廷女官チャングムの誓い』『トンイ』など名作韓国時代劇をこの世に輩出したイ・ビョンフンPDが演出を務めた。

イ・ジェリョンは、本作でイム・サンオク役を熱演。「MBC演技大賞」での受賞は、1994年に主演を務めた大ヒット作『総合病院』(MBC)以来、8年ぶりのこと。

2001年に行われた「韓国グラミー賞」では、最優秀演技賞(俳優編)に輝いている。

一方、最多受賞を記録した『人魚姫』のチャン・ソヒは「連続ドラマ部門 最優秀賞」も受賞し、一躍”復讐劇の女王”に。

この作品を機に『妻の誘惑』(SBS/2008)や『カッコウの巣』(KBS/2014)、『復讐のカルテット』(SBS/2017)など、最高視聴率20%以上を優に超える高視聴率 復讐ドラマにキャスティングされるようになった。

ミニシリーズ部門 最優秀賞 カム・ウソン、キム・ハヌル

こちらの部門も『I LOVE ヒョンジョン』のカム・ウソンと『ロマンス』のキム・ハヌルの2人が受賞。

全16話編成の『I LOVE ヒョンジョン』は、財閥3世のキム・ボムスと独立プロダクションで演出助手を務めるイ・ヒョンジョンが運命的な出会いを果たす現代版シンデレラストーリーだ。

この作品でカム・ウソンはソンイルグループの後継者で、完璧主義な男キム・ボムス役を演じた。

彼はチェリムとW主演を務めた『愛するあなた』(MBC/1999)で紳士的なイメージで大人気となり、本作でも独身女性と恋に落ちる御曹司役を熱演し2度目の人気を獲得した。

一方キム・ジェウォンとキム・ハヌルが主演を務めた『ロマンス』は、高校で国語の教師として勤務するキム・チェウォンと、高校3年生のチェ・グァヌの恋に不器用な二人の切ない純愛ストーリー。

キム・ハヌルは、教師歴2年目のキム・チェウォン役を演じた。

実はキャスティング段階では、”ヒットメーカー”のキム・ナムジュがチェウォン役を務めることになっていたのだが、CF撮影などが重なりあえなく断念することに。

『ロマンス』出演以前までは清楚な役柄が多かったキム・ハヌルだが、この作品を機にコミカルな役のオファーが殺到。

コメディドラマへの出演が増加し、今では”ラブコメの女王”と言われるまでに。

2002 KBS演技大賞

2002年12月31日に開催。

KBSでは、スペシャルドラマなど全1話完結のドラマを含む、67作品ものドラマが放送された。

KBS大賞 ユ・ドングン

2002年にKBS作品で大賞に輝いた俳優は『明成皇后』で興宣大院君役を演じたユ・ドングン。

『2002 KBS演技大賞』で大賞を獲得したユ・ドングン (画像出典:スポーツ韓国)

全124話編成の本作は、大韓帝国の初代皇帝 高宗の王妃・皇妃だった明成皇后の波乱万丈な生涯を描いた韓国時代劇だ。

ユ・ドングンが演じた興宣大院君は、高宗の父で明成皇后の舅にあたる人物。本作では明成皇后の他に興宣大院君の生涯を扱った物語も登場する。

彼は他作品で興宣大院君以外にも階伯、淵蓋蘇文、李成桂(太祖)、太宗、世祖、燕山君など歴史上の人物を多数演じ、”王専門俳優”として周知されている。

最優秀演技賞(俳優編) キム・サンジュン、ペ・ヨンジュン

「最優秀演技賞(俳優編)」は『光宗大王-帝国の朝-』のキム・サンジュンと、『冬のソナタ』でヨン様ブームを巻き起こしたペ・ヨンジュンが受賞した。

最高視聴率33.7%を記録した『光宗大王-帝国の朝-』は、高麗の基礎を作った高麗第4代王・光宗の半生を描いた時代劇。

キム・サンジュンは本作で光宗役に抜擢され、冷徹な役柄を演じきり一躍名が知られるように。そして彼が持つ迫力のある目の演技は彼のトレンドマークとなった。

一方、韓流ブームの火付け役『冬のソナタ』はお互いに愛し合いながらも「運命」に翻弄される四季シリーズの第2弾。

ペ・ヨンジュンは、本作で寡黙な転校生カン・チュンサン役と、アメリカ育ちの建築デザイナー、イ・ミニョン役に扮した。

周知のとおり彼は、第1次韓流ブームを代表する韓流スターで、日本に初めて「韓流」という概念を伝えた伝播者でもある。

しかし韓国では、ペ・ヨンジュンの代表作は『冬のソナタ』ではなく、1999年放送の『愛の群像』(MBC)や2001年放送の『ホテリアー』(MBC)だといった声も上がっている。

最優秀演技賞(女優編) チェ・ミョンギル、チェ・ジウ

女優編では、『明成皇后』のチェ・ミョンギルと『冬のソナタ』のチェ・ジウが受賞。

今や視聴率の女王と称されるチェ・ミョンギルは『明成皇后』で波乱万丈な人生を歩んだ主人公、明成皇后の晩年を務めた。

1884年に起きた急進開化派によるクーデター「甲申政変」の第81話から登場。

明成皇后の中期を演じたイ・ミヨンの出演回に比べると、視聴率が急落したと言われているものの、チェ・ミョンギルの知的かつ政治面で経験豊富な女丈夫の熱演が功を奏し、最優秀演技賞を受賞した。

一方チェ・ジウは『冬のソナタ』で、チュンサンの初恋相手で建築デザイン会社「ポラリス」で働くヒロイン、チョン・ユジン役を演じた。

彼女は1994年にMBCのタレントオーディションに合格し、芸能界デビュー。韓流スターの称号を手に入れるまで順調な道のりを歩んできたかのように見えるが、挫折の連続だったという。

しかし歴代1位の視聴率を誇る『初恋』(KBS/1997)で徐々に名が知られるように。そして『冬のソナタ』出演以降、数々の作品で高視聴率をマークする大物女優へと成長した。

ダンミ ニュース部

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