- 『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』からバトンを受け取った、tvNの新土日ドラマ『パンドラ:偽りの楽園』。
- “品のあるマクチャン(ドロ沼劇)”と称された『ペントハウス』の脚本を務めたキム・スンオク作家が制作に関わっている。
- しかし、韓ドラ要素がふんだんに詰め込まれた内容に、韓国芸能コラムニストは「期待より憂慮が大きい」と酷評した。
![3月11日から放送が始まったtvNドラマ『パンドラ:偽りの楽園』](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2023/03/pandra-tvn-1-722x1024.webp)
3月11日から韓国で放送が始まったtvNドラマ『パンドラ:偽りの楽園』(画像出典:tvN)
視聴率20%に迫る人気を見せた『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』の後続ドラマとして、tvN土日ドラマ『パンドラ:偽りの楽園(以下、パンドラ)』の放送がスタートした。
ストーリーは、誰もが羨む人生を生きている上流階級の女性が、失った過去の記憶を取り戻しながら、自分の運命を操っていた黒幕に反逆する破格の復讐劇。
制作に携わるのは、韓国で大ヒットしたSBS『ペントハウス』シリーズのキム・スンオク作家。『パンドラ』には、『ペントハウス』で熱演を披露したイ・ジアとポン・テギュがキャスティングされ、放送前からドラマファンの関心を引きつけた。
そして迎えた3月11日の初回放送。視聴率は全国平均4.9%と、思ったよりも数字が伸びなかった。残念ながら『イルタ・スキャンダル』の勢いを引き継ぐことはできなかったようだ。
![『パンドラ』の主演を務める女優イ・ジア](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2023/03/tvNdrama-twitter-Pandora-2.jpg)
『パンドラ』の主演を務める女優イ・ジア (画像出典:tvN drama 公式Twitter)
『パンドラ』の事前注目が高かった理由は、やはりキム・スンオク作家の存在が大きい。彼女は、韓国ドラマの醍醐味でもある“막장(マクチャン)”を作り出す達人だからだ。
(関連記事) 韓ドラ 視聴率 NO.1請負師!「ドロ沼劇の達人」キム・スンオクのベスト5を調査
“막장(マクチャン)”には、2つの意味がある。まずは、鉱山の坑道の一番奥、最後の部分のこと。そして、様々な薬味を味噌に混ぜたもののこと。
韓国ドラマで「マクチャン」とは、「行くところまで行ったストーリー」「様々な人物の叙事が複雑に絡み合う」といった2つのニュアンスを含んでいる。
一般社会では、「こじれ」という意味で使われており、“マクチャン国会”などのように表現される。
そして日本では、“ドロ沼劇”と訳されることが多く、非現実的で無理が多いストーリー展開のドラマは「マクチャンドラマ」と呼ばれている。
![ドラマ『パンドラ』劇中写真](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2023/03/tvNdrama-twitter-Pandora-1.jpg)
ドラマ『パンドラ』劇中写真 (画像出典:tvN drama 公式Twitter)
実は『パンドラ』の脚本は、キム・スンオク作家ではなく、弟子のヒョン・ジミン作家が担当。キム・スンオク作家は、クリエイターという立場で作品の制作に参加している。
ドラマの内容について、韓国芸能コラムニストのチョン・ドクヒョン氏は「最初から不倫、記憶喪失、陰謀が全編に敷かれた。いわゆる“キム・スンオク師団”の作品らしい始まりだ」と伝えた。
ストーリーの軸は、自分の人生を操作した人たちを探しに出る主人公のホン・テラ(イ・ジア扮)の復讐劇だが、第2話まで放送された段階で、早くも不倫と裏切り、欲望、復讐といった様々な要素が盛り込まれている。
するとチョン氏は「2話までのドラマ構成を見ると、それほど大したことではなさそうなストーリーに、過剰な叙事と演出がうかがえる」とし、「プツプツと途切れる演出が慌ただしく、誇張された叙事とキャラクターに簡単に没頭できなくなる」と苦言。別の話へとすぐに展開する過剰な演出が、視聴者の没入度を下げてしまってると指摘した。
また「まるで決まったゲームに合わせて動いているキャラクターのように、人物から生命力を感じられないのは、叙事と演出、演技が共助した結果」という見解も。
さらにはドラマの制作費が186億ウォンにも及ぶことに触れ「どこにそんなお金をかけたのかは分からないが、残念ながらドラマ2話で表現された世界はあまりにも分かりきっている」「まだ始まりなので全てを予断できないとしても、期待より憂慮が大きいのは仕方ない」と酷評している。
記憶喪失、不倫、黒幕、復讐といった韓ドラ要素が満載の新作ドラマ『パンドラ』。
韓ドラファンには、“品のあるマクチャン(ドロ沼劇)”と称された『ペントハウス』に続く作品になると期待されていたものの、様々な素材をふんだんに盛り込んだがために内容がまとまらず、思わぬ“マクチャン(こじれ)スタート”となってしまったようだ。
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