俳優のイ・ジョンソクが主演を務めるMBC『ビッグマウス』。この劇中、人種差別的な発言が見られたと海外の視聴者から抗議が届いた。これ以前、別のドラマでも同様の事態に陥ったことがあった。いまや韓国ドラマは世界的コンテンツとなっただけに、表現にはさらなる慎重さが必要なようだ。
イ・ジョンソクのドラマ復帰作として話題をさらっている、MBC『ビッグマウス』。この劇中、人種差別を思わせるセリフが登場し波紋を呼んでいる。
議論となったのは、7月30日に放送された第2話。ここでは、天才詐欺師”BigMouse(ビッグマウス)”という濡れ衣を着せられ、刑務所に収容されたパク・チャンホ(イ・ジョンソク扮)の姿が描かれた。
この劇中、パク・チャンホがサイコパス死刑囚を挑発するシーンが登場。
彼は「お前の母親は、お前を産んでからわかめスープを食べたのか? お前のようなサイコパスを産んで、一体何を食べたのか。トムヤムクン?それとも別のスープか?」というセリフを放った。
ここで問題となったのが、セリフの中の”トムヤムクン”。
韓国では昔から、産後に”わかめスープ”を食べる習慣がある。このことから、”生まれた時から普通ではなかった、生まれながらにしてサイコパスだった”という意図を伝えたかったものと見られる。
つまり、”わかめスープ”以外のものを出したかっただけなのだが、それがたまたま”トムヤムクン”だったという訳だ。
だが、このセリフに反応したのがタイの視聴者。彼らは「トムヤムクンを食べてサイコパスになったという発言は人種差別的だ」「気を使ってセリフを書いてほしい」などの反応を見せ、ドラマ側に釈明を要求した。
また、この議論を目の当たりにした韓国の視聴者も「自国のメニューから他のスープを選ぶべきだった」「ユッケジャンの方が良かったのでは」「不快な感情になって当然」「恥ずかしい」といった批判的な反応を見せている。
これ以前、2021年に放送されたSBS(Netflix)『ラケット少年団 』でも同じようなことが起きている。
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インドネシアのジャカルタで開かれた国際大会に出場したシーンで、主人公らが利用するホテルや競技場のコンディションが悪いことをはじめ、試合中にインドネシア側のファンがブーイングを送る様子が盛り込まれた。
バドミントンを”国民的スポーツ”と自負心を持つ、インドネシアの視聴者は、このシーンに対し「インドネシア人を軽蔑した」「インドネシアに謝罪してほしい」と不満を吐露。SBS側は真摯な姿勢を見せ、インドネシア語で謝罪している。
どちらの作品も悪気やネガティブな意図がなく、誇張した”たとえ”として表現しただけであるが、当事者にとっては不快に感じてしまうものだ。
特に韓国ドラマは近年、世界的コンテンツへと成長している。視聴者は韓国国内だけでなく世界中に存在する。それ故、表現に対しては慎重になるべきだろう。
逆に言えば、一行のセリフだけでもクレームがくる。それほどの影響力を持つまでになったとも言える。
この秋も数多くの作品が放送を控えている。世界にいるドラマファンも新作に期待し、放送を待ち焦がれていることだろう。これほど人々を魅了している韓国ドラマだけに、表現方法も慎重にならざるを得ないであろう。
(構成:星野沙)
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