韓国ドラマは、ペ・ヨンジュンを筆頭に数多くの韓流スターが主に牽引してきた。しかし近年は、それ一択ではなくなったようだ。出演者に左右されず、作品性の高さや面白みでドラマを選択する視聴者が増えている。そこで、韓流スターなしに大成功を収めた2022年の作品を紹介してみた。

近年、視聴者が韓国ドラマを選ぶ基準に変化が訪れているようだ。

日本に最初に韓流ブームが訪れた際、俳優のペ・ヨンジュンが“ヨン様ブーム”を巻き起こし、彼を筆頭にイ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、ウォンビンが一世風靡。

ペ・ヨンジュン(右上)、イ・ビョンホン(左下)、チャン・ドンゴン(右下)ウォンビン(左上)は、韓流ブームを牽引した。

韓流ブームを牽引した、ペ・ヨンジュン(右上)、イ・ビョンホン(左下)、チャン・ドンゴン(右下)ウォンビン(左上)(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

その後、クォン・サンウ、ソ・ジソブ、コン・ユなども加わり、ファンは彼ら目当てに出演作品をこぞって視聴した。

2010年代に入ってからは、さらにその数が増え、チャン・グンソクをはじめ、ヒョンビン、イ・ジョンソク、ソン・ジュンギ、イ・ミンホ、キム・スヒョン、パク・ボゴムなどが、日本で高い人気を誇る”韓流スター”に名を連ねた。

まさに第一線で日本の韓国ドラ人気を主に支え続けてきたのは、韓流スターと言われる彼らだった。

しかし最近、韓国ドラマを見るきっかけが、「(出演者に関係なく)面白くて作品性が高いから」という理由に変化している風潮がある。

その好例が、昨年の『海街チャチャチャ(tvN)』や、惜しまれつつ最近最終回を迎えた『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(ENA/以下、ウ・ヨンウ)』だ。両作ともに名の知れた俳優で構成されていたが、韓流スターの絶大なる人気と比較すると、ややおとなしめなキャスティング。

(関連記事)「日本で大人気なのに」韓メディア 第2のヨン様、グンちゃんが現れない理由を考察

さらに振り返ると、下記の5作も元祖韓流スターと呼ばれる役者が出演していないが、2022年に公開され日本で大成功を収めた作品だ。

今、私たちの学校は

まず1作目は、Netflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『今、私たちの学校は』。

『今、私たちの学校は』は、Netflixオリジナルシリーズドラマ。

Netflixオリジナルシリーズ『今、私たちの学校は』(画像出典:Netflix Korea公式Twitter)

1月に公開され、わずか1日でNetflix TVショー部門の全世界TOP10で1位を記録。当然、日本でも絶大な人気を誇り、当時各メディアがこぞって取り上げた。

ストーリーは、ゾンビウイルスが拡散された学校に閉じ込められた生徒たちが、生き残るために手を取り合って死闘を繰り広げる、サバイバル・ゾンビアクション。

比較的フレッシュなキャスティングで、韓ドラファンでさえ初見の俳優が多かったと思われる。しかし、一大ブームを巻き起こしたNetflixオリジナルシリーズ『イカゲーム(2021)』に負けない爆発的人気を博した。

二十五、二十一

2作目は、2月に公開されたtvN(Netflix)『二十五、二十一』。

『二十五、二十一』は、tvNのドラマ。

tvN(Netflix)『二十五、二十一』(画像出典:tvN)

韓国建国以来、類を見ない経済不況に陥っていた1998年を背景に、夢を奪われた若者たちの迷いや成長を描いている。

公開後、Netflixで“今日の総合TOP10(日本)”の常連となり、レトロ感たっぷりな演出と、青春ドラマに留まらないメッセージ性のある脚本が好感を呼んだ。

また登場人物が、時代の重さと真っ向勝負をすると宣言しているような、そんな溌剌さも、視聴者の心を掴んだ理由の1つだと言われている。

既に日本でもファンの多いナム・ジュヒョクが主演を務めたが、彼は“次世代韓流スター”で、実績よりはこれからの活躍が期待されるスターである。しかもむしろ同作で、彼を知った日本人が増えたようだ。

未成年裁判

3作目は、2月に公開されたNetflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『未成年裁判』。

『未成年裁判』は、Netflixオリジナルシリーズドラマ。

Netflixオリジナルシリーズ『未成年裁判』(画像出典:Netflix)

韓国で深刻化する少年犯罪の実態を、裁判官の目線から描いた見ごたえある社会派ドラマが、第1話から視聴者の心を揺さぶった。

Netflix内の“今日の総合TOP10(日本)”では、連日1位を記録したこともあり、まさに2022年を代表する話題作の1つ。

大物女優であるキム・ヘスが主演を務め、見事な演技を披露し称賛を得たが、韓流スターと呼ばれる人物は登場しておらず、ストーリー自体に魅了された人が多かった。

私の解放日誌

4作目は、4月に公開されたJTBC(Netflix)『私の解放日誌』。

『私の解放日誌』は、JTBCのドラマ。

JTBC(Netflix)『私の解放日誌』(画像出典:JTBCdrama公式Instagram)

出演陣は、イ・ミンギやキム・ジウォン、ソン・ソックと名俳優揃いではあるのだが、日本での認知度や人気度は韓流スターに比べると、ややダウンしてしまう。

しかし、公開後じわじわと注目されはじめ、前出の作品同様に、“今日の総合TOP10(日本)”の常連となる。

野暮な毎日を過ごす3兄妹の愛おしい”幸福蘇生”を繰り広げていく作品だ。代り映えしない毎日から抜け出すべく、3兄妹が奮闘する姿が描かれている。

ドラマなどのレビューサービス『Filmarks』にも、物語に共感し、没入したという感想が多く、見進めるごとに登場人物に愛着が湧いてきたという声も多数上がっている。

私たちのブルース

5作目は、4月に放送されたtvN(Netflix)ドラマ『私たちのブルース』。

『私たちのブルース』は、tvNのドラマ。

tvN(Netflix)『私たちのブルース』(画像出典:tvN)

同作は、韓流スターイ・ビョンホンが出演していたものの、ストーリー全体を牽引する役柄ではなかった。

また、彼をはじめチャ・スンウォン、イ・ジョンウン、ハン・ジミン、キム・ウビン、オム・ジョンファ、シン・ミナなど、韓ドラファンなら知る人も多い豪華キャストが一時話題となったが、公開以降注目されたのは、主に物語のテーマやメッセージ性だった。

様々な人物たちの甘酸っぱくてほろ苦い、人生の物語がオムニバス形式で描かれており、思わず共感し、涙した人もいたほど。

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以上、5作品を紹介したが、この他にも『結婚作詞・離婚作曲3(TV CHOSUN)』、『グリーン・マザーズ・クラブ(JTBC/2022)』が挙げられる。

また、『39歳(JTBC/2022)』はソン・イェジン、『気象庁の人々:社内恋愛は予測不能?!(JTBC/2022)』にはパク・ミニョンとソン・ガンが出演していたが、いずれも元祖と言われる韓流スターではない。

もちろん、作品性の高さだけがドラマを選ぶ基準や人気を得ている理由になっているとは言えないが、最近の話題作の傾向を見ると、その可能性は非常に高いと言えるだろう。

初めて日本に韓流ブームが訪れてから今日まで約20年という月日が流れた。その中で、数々のヒット作を生み出してきた韓国ドラマ。もしかすると、信頼を徐々に積み重ねていき、俳優の名前に頼らずとも、支持を得られるようになってきたのかもしれない。

本記事で紹介した作品は全て、現在Netflixで視聴可能だ。この機会にぜひご覧になってはいかがだろうか。きっと、新たな楽しみ方を感じられるはずだ。

(構成:西谷瀬里)







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