現在、韓国をはじめ各国で放送され、大きな話題となっているドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。もちろん、ここ日本でも反響を呼んでいる。そんな話題作が、本国で思わぬ議論を招いているそうだ。

現在、ヒーリングドラマとして、ここ日本でも話題となっている『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(以下、ウ・ヨンウ)』だが、本国の韓国で、思わぬ議論が巻き起こっているようだ。

韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(画像出典:ENAドラマ)

その議論とは、”模倣犯罪への憂慮”。問題を提起したのは、全国障害者保護者団体のユン・ジョンスル代表だ。

8月8日、韓国の複数メディアは「ユン代表が『ウ・ヨンウ』に対して、深い憂慮を示した」と報道。

第10話のキスシーン

第10話のキスシーン(画像出典:ENAドラマ)

ユン代表は、ウ・ヨンウ(パク・ウンビン扮)とイ・ジュノ(カン・テオ扮)がロマンスに発展する内容について、眉間にしわを寄せている。

「女性障害者を持つ保護者は、子どもが性暴力の被害に遭った場合に妊娠することを恐れて、不妊手術を受けさせるケースが多い」

こう切り出したユン代表は、ドラマが描く女性障害者と健常者の“ロマンス”を、保護者として警戒せざるを得ないと強調した。

なぜなら、女性障害者を“模倣恋愛”の相手や“性的対象”にする風潮の蔓延が、障害者への“性犯罪”を引き起こすからだ。

実際、第10話では知的障害を持つ女性に対する、準強姦の嫌疑で法廷に立った男性(健常者)のエピソードが描かれている。

この男性の弁護を担当することになったウ・ヨンウは「2人はお互い愛し合う関係で、性的関係も合意によるもの」と弁論。しかし、被害を主張する保護者は、ウ・ヨンウにこう訴えた。

騙せるとわかったら、すぐ襲われる‥娘のお金も体も、何もかも奪おうとする悪党から、私は我が子を守らなければならない。そんな母親の気持ちも分からないくせに、障害者に“愛の権利”があると? あなた、何様ですか!

このシーンについてユン代表は「これが現実。女性障害者と健常者の交際は、大半は性的なことが目的だ」と語った。

そして、保護者団体の憂慮表明を伝えた韓国メディアは、障害者の“自己決定権”の侵害にも触れる。

ZD Net Korea(zdnet.co.kr)は、上述した保護者による不妊手術と共に、万が一妊娠した場合の中絶も、本人ではなく保護者の意思により行われる実状を伝えた。

韓国保健福祉部(日本でいう厚生省)の実態調査によると、2020年に中絶を選択した女性障害者は全員(100%)が、“周囲による決定だ”と答えているようだ。

障害者と健常者の恋・・ドラマと現実の乖離

障害者と健常者の恋・・ドラマと現実の乖離(画像出典:ENAドラマ)

『ウ・ヨンウ』が描き、多くの人々に感動を与えている“童画”は、現実という“苦難”を甘受しなければならない人にとって、“残虐な物語”なのだろうか。

もちろん、保護者団体の見解に対し「ドラマはドラマとして観ればいいのに」と反発する声もある。これらの議論が『ウ・ヨンウ』が伝えようとしたメッセージを、ぼやかしているのかもしれない。

ただ、本作が韓国社会に投げた“障害者の人権問題”という課題に、障害者と健常者が向き合う機会となった事は、誰も否定できないだろう。

このテーマについてはドラマが終わっても、問い続けたいものだ。






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