一時期は韓国ドラマの定番であった、主人公の幼少期を描いたシーン。しかし最近は、様々な理由により減少してきているという。韓ドラファンなら、「言われてみれば!」と感じた人も多いのではないだろうか。本記事では、減少した理由と韓国内での反応を紹介する。
韓国ドラマといえば、第1~4話程度まで子役が登場し、主に主人公の幼少期を演じるのが 定番の1つであり醍醐味でもあった。
日本にはあまり馴染みのないスタイルで、3-5話頃になるとある日当然、大人になった姿の主人公が登場し、ストーリーが展開されていくのを覚えている人も多いだろう。
日本でも有名な作品を挙げると、SBSドラマ『天国の階段(2003)』では、ハン・ジョンソ(チェ・ジウ扮)、チャ・ソンジュ(クォン・サンウ扮)、ハン・テファ(シン・ヒョンジュン扮)の幼少期を、当時子役だったパク・シネ、ペク・ソンヒョン、イ・ワンが演じた。
また、MBCドラマ『太陽を抱く月(2012)』では、ホ・ヨヌ/ウォル(ハン・ガイン扮)、イ・フォン(キム・スヒョン)、陽明君(ヤンミョングン/チョン・イル扮)、ユン・ボギョン(キム・ミンソ)の幼少期を、当時子役だったキム・ユジョン、ヨ・ジング、イ・テリ、キム・ソヒョンが演じた。
しかし、近年は幼少期を描いた作品が減少傾向にあり、子役は主人公の娘や息子として出演するケースが増えてきている。
韓国のあるドラマ制作関係者は「幼少期のシーンがあることで、登場人物のキャラクターがより明確になり、視聴者のドラマへの没入を高めてきた。また、その後の展開の糸口やどんでん返しを暗示するという役割もする」と、子役のドラマ内における重要性を述べている。
ではなぜ最近のドラマで、幼少期のシーンーー子役の活躍を目にする機会が減ったのだろうか。
あるドラマ評論家は、「最近、多くのドラマが16話から成り、主人公を早く登場させて序盤から視聴率を牽引していく必要性がある」「初めから重要な出来事を勃発させないといけない構成の中で、子役の叙事が入る隙がほぼない」と分析。
そして、「これ以外にもオンラインストリーミングサービスの登場で制作環境が変化しながら、子役としてキャラクターを説明する手法が必要でなくなり描かれなくなった」と付け加えた。
また、”未成年者保護”に対する規制強化も理由の1つだという。
同評論家は、「労働時間の規制や作品の内容が過激なものによっては、カウンセリングなど、子役の保護を目的とした様々な対応が必要。そのため、未成年者保護のために比重を減らすという矛盾が生じている」と語った。
実際、tvN『マウス~ある殺人者の系譜~(2021)』で、子役のキム・ガンフンが劇中サイコパスな子どもを演じ残忍なシーンに出演すると、これに対する非難が提起されたことがある。制作者側の立場とすれば、子役に対し及び腰になるのも理解できる現状があるのだ。
議論の対象こそ違うものの、日本も時代と共にテレビ業界がコンプライアンスの観点から自主規制し、番組自体の面白さが多少欠けてしまったとの一部意見があるのが事実。
また、ドラマの内容で言えば、幼少期から描かれるストーリーを好む人もそうでない人も存在する。
どちらかに極端に偏ってしまうのではなく、今や世界中の人から愛されている韓国ドラマが、これからも変わらず視聴者を楽しませ続けてくれるのを願うばかりだ。
(構成:西谷瀬里)
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