7月19日、韓国では第1回『青龍シリーズアワード』が開催され、Netflixオリジナルシリーズ『D.P.』が最優秀作品賞を受賞した。リアルな軍の内情を描いたとして、大きな話題を集めたが、そんな物語の立役者の一人が、俳優のキム・ソンギュンだろう。今回は、彼のフィルモグラフィーを少し覗いてみる。
Netflixオリジナルシリーズ『D.P.』が、第1回『青龍シリーズアワード』で最優秀作品賞を受賞した。
7月19日、韓国で開催されたこのアワードは、国内初のOTTオリジナルシリーズ専門授賞式だ。
これから、新たに歴史を作るだろう授賞式の、1番初めに“最優秀作品”として名を刻んだのが、『D.P.』だった。
本作は、脱走兵を捕まえる*陸軍憲兵隊傘下の“軍務離脱逮捕組(D.P.)”を題材にしたもので、軍内で起こっている暴力や暴言、パワハラや人権問題をリアルに描いた衝撃的な作品である。
*陸軍憲兵隊:主に軍隊内部の秩序維持と、交通整理を任務とする部隊。軍事警察とも呼ばれる。
放送が開始されると韓国内で大きな反響を呼び、当時のことについて告発する者や、法律の見直しを訴えるなど、現実社会を動かすほどの影響力を与えた。
チョン・ヘイン、ク・ギョファンをはじめ、ソン・ソック、チョ・ヒョンチョル、ヒョン・ボンシクなど手練れ俳優が顔を揃え、物語のリアリティーを深めている。
そして、チョン・ヘインとク・ギョファンの上司、憲兵隊捜査課軍務離脱担当官、パク・ボムグを演じたのが、キム・ソンギュンだ。
本編最終話では、組織に歯向かったために公命罪で懲戒処分を受けていたが、『D.P.2』ではどんな立場で登場するのか気になるところ。
キム・ソンギュンという名前だけでは、韓国ドラマファンでもピンとくる人が少ないかもしれないが、顔を見れば「あ!」と思うだろう。彼は、tvN『応答せよ1994(2013)』『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜(以下、応答せよ1988)/2015)』でお馴染みの“あの”人物である。
現在42歳(日本年齢)のキム・ソンギュンは、老け顔で強面のため、実年齢より上の役を演じることがしばしば。
それが最も顕著だった役は、『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』のキム・ソンギュン役だ。本作は親役がほぼ実名のため、ここでは便宜上役の方をキム・ソンギュン2とする。
『応答せよ1988』はノスタルジックドラマだからか、公式ホームページの人物紹介には、メインキャストの生まれ年(劇中の現代の年齢も)が記載されているという、ドラマではかなり珍しい記述がある。
キム・ソンギュン2のプロフィールを見てみると、1944年1月29日で1988年当時は44歳。そして、キム・ソンギュンが本作に出演した当時の実年齢は35歳で、9歳も年上の人物を演じていたのだ。
また、妻役のラ・ミランの実年齢は当時40歳、役柄ではキム・ソンギュン2の1つ上で45歳という設定だった。
さらに息子役のリュ・ジュンヨルとアン・ジェホンは共に1986年生まれで、彼らとは6歳しか年が離れていないにもかかわらず、“父親役”を担うことに。
しかし、見た目だけで言えば、あまり違和感がないというのが正直なところである。
そしてこんなエピソードも。
キム・ソンギュンは、2012年に映画『悪いやつら(邦題)』でスクリーンデビューを果たしたのだが、その風貌がいわゆる“本物の反社会組織の人”と間違われたのだという。
本作を手掛けたユン・ジョンビン監督曰く「映画を観た私の周りの人々が、“監督、本物の暴力団組織の人に、出演オファーをしてどうするんですか”と言ってきた」と後に語り、さらに俳優のパク・チュンフンも作品を観た後に、ツイッターで同じような発言をしていたと振り返っている。
見る者を勘違いさせるほど、本物さながらの貫禄と外見を装備していたのは、実に32歳の時である。
役を脱いでしまえば、年相応の雰囲気を持っているだけに、彼のカメレオンぶりが窺える。
ドラマに映画にと多忙な日々を過ごしているキム・ソンギュンが、次に見せてくれる風貌や役柄はどんなものなのか。
視聴者や観客は、意図せず彼の魅力に憑りつかれてしまっている。
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