是枝裕和監督の最新韓国映画『ベイビー・ブローカー』が、第75回カンヌ国際映画祭に出品され、主演のソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞した。カンヌ国際映画祭において、韓国人俳優が【最優秀男優賞】を受賞するのは初めてのこと。この歴史的快挙に、海外メディアが韓国映画に注目し始めた。
K-POPに続いて、韓国映画が世界から注目を浴び始めている。
![韓国人俳優として初めてカンヌで最優秀男優賞を受賞したソン・ガンホ](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2022/05/tp-58thcannes-640x1024.jpg)
ソン・ガンホは、韓国人俳優として初めてカンヌで最優秀男優賞を受賞した。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
今回の第75回カンヌ国際映画祭には、韓国作品が5本出品された。
そんな中、是枝裕和監督の最新映画『ベイビー・ブローカー』が、コンペティション部門に出品され、主演のソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞。*また、エキュメニカル審査員賞も受賞し、作品としては2冠の快挙を達成する。
*エキュメニカル:カンヌ国際映画祭の独立賞で、キリスト教関連の団体から「人間の内面を豊かに描いた作品」に与えられる賞
最優秀男優賞を韓国人俳優が受賞するのは初の事であり、韓国映画の新たな歴史にその名を刻むこととなった。
また”復讐三部作”や『お嬢さん』を手掛けたことで知られる、パク・チャヌク監督の映画『別れる決心』も、監督賞を受賞した。
さかのぼること1年前、第93回アカデミー賞では、ユン・ヨジョンが『MINARI』で韓国人俳優として初の助演女優賞を手に入れている。
さらに、2020年のアカデミー賞では、ポン・ジュノ監督が手掛けた『パラサイト 半地下の家族(邦題/以下、パラサイト)』が4冠という偉業を成し遂げており、ここ数年韓国映画の世界的評価は勢いをましていくばかりだ。
そんな快進撃を目の当たりにした海外メディアが、韓国映画に関心を寄せるのは当然だろう。
これらについて、韓国のあるメディアは「韓国映画103年の歴史の、大いなる分岐点になるだろう」と報じている。
また同紙は、「韓国映画は、世界の誰もが共感する普遍性を誇示してきた」とし、それと同時に、繊細な痛みや激しい感情を描いてきたことが評価につながっていると説いた。その評価に倣い、『パラサイト』や『MINARI』が好評を得たとも。
![パク・チャヌク監督は監督賞を受賞](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2022/05/tp-58thcannes2-640x1024.jpg)
パク・チャヌク監督は映画『別れる決心』で監督賞を受賞。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
パク・チャヌク監督はかつて、「韓国の観客は、”そこそこ”の映画では満足しない」と言い、「ジャンル映画の中にも、笑い・恐怖・感動の全てあることが望みであり、映画人の多くがこれに悩まされてきた。でもその結果、映画(のクオリティー)が発展してきた」と説明する。
映画評論家のユン・ソウン氏も「韓国の観客は教養に対する関心が高く、文化的すそ野が広い。ここにニューメディア時代がマッチしたことで、様々なプラットフォームを通して、創意的アイデアが絶え間なく出て来るようになった」と分析した。
今や、エンターテインメント業界でその名を聞かないことのないCJ ENMが、今回受賞した2作品の投資・配給を担っている。
同社はこの27年間で、韓国映画に2兆ウォン(約2000億円)、300本余に投資してきた。その中には『JSA(2000)』や『殺人の追憶(2004)』など、名だたる作品ばかりだ。
こうして、大企業が韓国文化の世界進出、拡張に助力したことは大きい。
CJ ENMは現在も推進中の作品は15本以上で、アメリカとの共同開発も始めているという。
韓国映画が、カンヌやアカデミー賞で作品・俳優ともに常連となる日が、案外近付いているのかもしれない。
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