韓国では、ドラマの間にCMを入れることが放送法で禁止されており、その代わりに劇中でPPLと呼ばれる間接広告が入っている。演者が使用していたり、食べているものの商品がズームアップされるのがそれだ。しかしそれが時として、ドラマへの集中力を妨害することがあり、最近韓国で調査された”ドラマ集中を削いだPPL”で1位となったのは『ヴィンチェンツォ』の”あの”食べ物だった。
2021年に大きな話題となり、ソン・ジュンギの第2の最盛期の始まりとも言われたtvN(Netflix)ドラマ『ヴィンチェンツォ』が、”あるもの”に関して不名誉な1位に輝いた。
韓国のコミュニティーポータルサイト・DCインサイドでは、”ドラマ集中力を妨害した突拍子もないPPL(間接広告)は?”というアンケート調査を実施。
その結果『ヴィンチェンツォ』に登場した、中国メーカーのビビンバが1位となった。
これは、投票数14234票中2170票(15%)を占めており、「韓国で売ってない商品の広告をなぜ入れたのか」という声が最も多かったという。また『女神降臨』でも、中国のインスタント火鍋が登場しており、こちらも当時視聴者に嫌悪感を抱かせ話題となった。
(関連記事)『女神降臨』『ヴィンチェンツォ’』PPLから歴史歪曲まで、韓ドラに広がる反中感情
これを耳にしたソン・ジュンギは、放送終了後「”中国PPL問題”で失望した方々に、主演俳優として謝罪するのは正しいと思う」と、謝罪の意を表明。この言動についても賛否両論を呼ぶことに。
2007票(14%)を集め2位となったのは、紅参(ホンサム)製品だ。
『ミセン-未生-(2014/tvN)』『太陽の末裔 Love Under The Sun(2016/KBS2)』『よくおごってくれる綺麗なお姉さん(2016/JTBC)』が、紅参が登場したドラマとして挙げられている。
これらの液状のものを口に加えているシーンは、日本の韓ドラファンの間でも”韓国ドラマあるある”の1つではないだろうか。
この商品に投票した意見で、最も多かったのは「突然健康に気を付け出すのが不自然」「ブランド名の出し方があからさま過ぎて、世界観が壊れる」などだ。それでも、広告効果は高いという結果が出ているそうで、今後もドラマに紅参の登場が予想される。
3位は、1890票(13%)を獲得した”貧しいはずのヒロインが持っているブランドバック”だった。
最近該当の件で、イシューとなった作品は『スタートアップ:夢の扉(2020/tvN)』。職探しをしているはずのダルミ(スジ扮)が、パーティーに参加する時に持っていたものがフランス製の高価なブランドバッグで、価格は韓国で560万ウォン(約56万円)もする代物だったのだ。
(関連記事)「リアリティーに配慮を」新ドラマ ‘スタートアップ’、スジの高級バッグが議論に
ドラマの初回放送で、ダルミは剥げたパンプスをマジックで塗って使っていたシーンがある。この設定を守るには、せめて誰かに“借りた”というシーンがあっても良かっただろう。
主人公が視聴者に人気の俳優の場合、その人にブランドを持たせることで広告効果が上がることは期待できるが、設定を無視したやり方では、拒否感を抱かれても仕方がない。
逆に、違和感なくPPLが登場して好感触だったのが『賢い医師生活(2020・2021/tvN)』に登場した消毒液。病院に当たり前にあるアイテムとして置かれていたことが、ドラマ世界観を壊していなかったと高評価だった。
また最近、思わぬ人気を集めて高視聴率を記録した『社内お見合い(2022/SBS)』も、食品メーカーを舞台にさりげなく商談の席で、食品のプレゼンをさせたことで「PPLをうまく取り入れた良い例だった」と称賛されている。
ドラマ放送中にCМが入る日本では、CMに主人公が登場することが当たり前だ。どんなに素晴らしい作品でも、シリアスなものでも、そこで作品イメージと真逆の出演者が出てくるたびに、思わずため息をつきたくなる。
これを避けるために、あえて録画してCMスキップをする日本の視聴者は多いのではないだろうか。
せっかく良品質の商品でも、アピールの仕方で不買につながるリスクを背負ってしまうだけに、PPLの挿入は慎重に取り入れてほしいものだ。
ソン・ジュンギ
HISTORY D&C所属の俳優ソン・ジュンギ(ハングル 송중기)。1985年9月19日生まれ。
2008年ドラマ『霜花店 運命、その愛』でデビュー。
2010年に出演したドラマ『トキメキ 成均館スキャンダル』で一躍名を広め大ブレイクしたソン・ジュンギは以降、映画『私のオオカミ少年』、ドラマ『太陽の末裔』などに出演し人気を博した。
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